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あなたの上司は「マジメな人」ですか? 「不マジメな人」ですか? 見極める3つのポイント

横山信弘経営コラムニスト
いい上司なんだけど、不マジメ……。(写真はイメージ)(写真:ペイレスイメージズ/アフロイメージマート)

■ 不マジメな上司たち

「最近の若者は打たれ弱い、こらえ性がない、と言うが、それはむしろ上司のほうだ」

「パワハラより失望したのは、上司に実力がないこと」

先日、興味深い調査結果を目の当たりにした。若者が会社を辞める理由を、多くの経営者、管理者が誤解しているという(日経BP社調べ)。

私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントだ。この調査結果に、激しく共感する。なぜなら、日々そんな上司たちと私は接しているからだ。

企業からオファーがある仕事のうち、最も多いのは、今も昔と変わらず「管理者研修」だ。1,000人以上の管理者とこれまで16年の歴史で関わってきた。その歴史の中で、ハッキリと言えることがある。それは、相手が大企業だろうが、中小企業だろうが、ほとんどの世の中の管理者が「不マジメ」である、ということだ。残念なことに。

研修中に、スマホを触ったり、隣の受講者とお喋りを始めたり、ふんぞり返って悪態をつくような管理者を「不マジメ」と言っているのではない。(そんな人は不マジメではなく、不良だ)

では、何が「不マジメ」なのか?

■「マジメ」か「不マジメ」かは自分で決められない

「私はマジメにやっている」

と自己主張する人がいる。とくに管理者、上司と呼ばれる人は、すぐ口にする。

「社長、私はこれだけマジメに取り組んでいるのに、部下がまるで言うことを聞かないんです」

こんな風に、だ。

しかし「マジメ」か「不マジメ」かは、自分自身で決めるものではない。自己申告で「一所懸命やってる」「努力してる」と言っても、傍から見ているとそうではないことがよくある。

そこで、属人的な判断基準ではなく、ここに数値的な指標をあてはめることで「マジメ」か「不マジメ」かを判別できるようにしたい。

その指標とは「コスト」だ。

■ 3つのコスト

何事も、理解するためには「分解」することが一番である。分解することで、階層を意識して整理できたり、どこに問題があるのか発見できたりする。今回は「コスト」という切り口を用いて分解してみる。

そのコストの概念は、以下の3つだ。

●経済的コスト → お金

●時間的コスト → 時間

●精神的コスト → 労力

マジメか不マジメかを見極めたいなら、自己投資をしているかと自問してみよう。

まず、本を買ったり、自分でセミナーに通ったり、サブスクリプション型の教材で勉強したりして「経済的コスト」をかけているか。会社から本を支給されたら読むけど。会社が行けと言うなら研修受けるけど。というような人。とくに自分の財布からお金を出したくないという人は、かなり「不マジメ」と考えていい。

Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を並べて「VUCA」という。現代は、「VUCAの時代」だと呼ばれて久しい。

VUCAというフレーズを知らなくても、外部環境の変化が激しすぎて、将来を見通せない時代になっていることは、誰だってわかっているはずだ。

そんな不確実性の高い時代だから、自分自身のマーケットバリューを就職先にゆだねる、ましてや上司次第にしてはならない。優秀な若者は皆そう思っている。だからこそ、上司の実力のなさに嘆くのである。

いや、正直なところ、実力がなくても許せる。

許せないのは、正しく自己分析せず、自己投資を怠っている、その「不マジメな姿」のほうなのだ。お金もかけず、時間もかけず、労を惜しんで、自己成長に励んでいない人の下で働くのには耐えられない。いくら過去実績がある人であったとしても。そう思っているのだ。

■ お金を起点にする

タダで、時間をかけず、てっとり早く成果を出したいという射幸心の強い人は「ギャンブル思考」だと言われる。だから「不マジメ」なのだ。(不良ではないけれど)

では「不マジメ」だと何が問題か、わかるだろうか。問題は、ドンドン感度が鈍っていくことだ。世間知らずになり、先入観や思い込みが激しくなっていく。ここが最も致命的と言える。

現状を打破し、期待したとおりの「あり方」を手にするには、それなりの時間がかかるものだ。そのために、お金、時間、労力を、コツコツ費やすクセをつけよう。

コスト3種類(経済的コスト、時間的コスト、精神的コスト)の中で、最も重要で、客観的に評価できるのが「お金」だ。

時間や労力は、どうとでも自己主張できるが、お金は難しい。たとえば本なら、自己投資している人ほど、「本を読む習慣」よりも「本を買う習慣」を大事にしている。

思考パターンが、「本を読むから買う」ではなく「本を買うから読む」という風になっているからだ。自己投資する額ぐらい、事前に予算化するぐらいにならないといけない。役に立つ本があったら読む、いいセミナーがあれば受けるという「たられば」の思考は、人を「不マジメ化」していく。

まず起点を「お金」にすれば、自然と「時間的コスト」と「精神的コスト」はかかってくるので、そこを目安に、上司を評価してほしい。もちろん自分自身が「不マジメ」であるなら、話にならないが。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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