ドラマ「わたし、定時で帰ります。」に覚える違和感とは?

(写真:アフロ)

■「わたし、定時で帰ります。」が最終回

話題のドラマ「わたし、定時で帰ります。」が、今日で最終回を迎えます。

恋愛要素もあり、気軽にドラマ観賞できるいっぽうで、「なぜ働くのか」「会社は何のために存在するのか」という重いテーマも扱います。骨太のドラマです。

時代性にマッチしたテーマですから、視聴率も好調(10%前後で推移)。先週、新潟の地震で延期しましたが、本日の視聴率も注目されます。

さて、このドラマは、バリバリと仕事をこなし、颯爽と定時で帰ることをモットーとする東山結衣(吉高由里子)が主人公です。結衣の父親は、家よりも会社を優先させてきた仕事人間。元婚約者の晃太郎(向井理)も、彼女より仕事を優先する仕事中毒の人。

結衣が定時で帰るのは、このような人たちに人生を翻弄されたくないという考え方があるから。なので共感を持つ視聴者も多いことでしょう。当然「仕事は命を削ってやる」ものではないからです。

■ ドラマに拒絶反応を示す人たち

いっぽう、結衣の父親のような超絶「昭和の価値観」を持った人たちにとっては、タイトルからして拒絶反応を示すに違いありません。

「毎日、定時で帰るなんて、仕事をなめてるのか」

と受け止める人もいるはずです。

しかし「24時間、戦えますか」というリゲインのCMが話題をさらったのは1988年。30年以上も前のことです。昭和どころか、平成も終わり、令和の時代がスタートしています。柔軟な思考を身につけるためにも、このようなドラマが話題になることは、とてもいいことだと私は受け止めています。

■ 実際にネットヒーローズを「残業ゼロ会社」にするには?

私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントです。経営目標を達成させることが仕事ですから、当然、残業削減も手掛けます。

ですから私の思考は、とても現実的。

ドラマはあくまでもドラマですが、実際にドラマのようなやり方で残業を減らすことは、非現実的で違和感があります。社員ひとりに孤軍奮闘させるようなマネをして、いいはずがないからです。

それでは、もし私がドラマの舞台となったWEB制作会社、ネットヒーローズを「残業ゼロ」の会社に変えるのなら、いったいどうするのか。ここで簡単にアイデアを書いてみましょう。

まず、社長が自社を「働きがいのある会社」に変えたいと心から願うなら、現場任せにしないことです。

孤独に耐え、信念を貫く覚悟で、人材の採用や、プロジェクトへの登用、ルール作り、風土形成など、ネットヒーローズは大きな会社ではないのですから、社長みずからがリーダーとなって陣頭指揮するのがキホンです。

組織風土や、個人の価値観を変えるには、長い時間がかかります。ですから、トップダウンで進めなければなりません。

■ 実際に、どうやって変えていくのか?

それでは、具体的にいくつか書いてみましょう。

まず第一に、変えるのは「上」からだと覚えましょう。トップ人事は最重要項目です。社長の方針に沿う人を起用することです。社内にいなければ、外部から招へいすることも選択肢のひとつです。

したがって丸杉のような人に、常務というポストを与えないほうがいいでしょう。組織を変革するときにはスピードが大事。トップ人事を教育・啓蒙している余裕はありません。

次に部長職です。

無謀な仕事を受けるような福永(ユースケ・サンタマリア)を、部長として採用するのは論外。(これがなければ、今回のドラマは成立しませんが)採用できるまで、社長みずからが部長を兼任するぐらいの覚悟で組織マネジメントをします。

サービス残業をつづける吾妻(柄本時生)の教育までは手を出せなくとも、仕事中毒の晃太郎(向井理)とは、社長みずからが面談をつづけ、更生させる必要があります。

ワーカホリックな人は、病的です。私生活を犠牲にして仕事に打ち込んでいるわけですから、中毒状態。脳の「思考プログラム」が書き変わってしまっているため、心掛けで治るものではありません。社長は、カウンセラーになったつもりで相手を肯定し、「3歩進んで2歩下がる」ぐらいのペースでケアすることです。

もし晃太郎がすぐに心を入れ替え、メリハリのある仕事ができるようになったら、強い違和感を覚えますね。あそこまでワーカホリックだと、現実的には難しいはずです。

■ 一社でも多く、生産性の高い会社を

もともと主人公の東山結衣がネットヒーローズに入社したのは、社長の灰原が掲げていた「残業ゼロ」の方針に感動したからです。

このように、時間外労働が多いイメージのWEB制作会社が「残業ゼロ」を打ち出すことで、会社のイメージはとてもよくなります。

そうすると、東山結衣のような、効率のよい働き方をする優秀な人材を惹きつけることができます。ぜひ一社でも多くの会社が、組織一丸となって、生産性を高め、1時間でも多く残業を減らしてもらいたいと思います。