入社してすぐ退職したくなった人たちへ 「ディズニー・ストラテジー」の紹介

「ディズニー・ストラテジー」で心のバランスを保つ(写真:アフロ)

■「最近の若者はすぐに会社を辞める」は間違い

「最近の若者はすぐに会社を辞めるよね?」

つい先日も、このような話をある社長から聞きました。10年前にも、同じようなことを私は耳にしていますから、本当のところはどうなのでしょう。

毎年ゴールデンウィークが明けると、原因不明の体調不振に陥る人がいます。新入社員や新入生であれば「五月病」かもしれません。

厚生労働省は昨年10月、「新規学卒者の3年以内の離職状況」を公表しました。平成27年3月に卒業した新規学卒者の離職状況は、大卒(31.8%)、高卒(39.3%)、中卒(64.1%)という結果。この比率は調査がスタートした約30年前からほぼ変化がありません。

したがって「最近の若者はすぐに会社を辞める」という言い方は適切ではない、と言えるでしょう。昔から、だからです。

冒頭に書いた、会社や学校など、新しい環境に適応できずに発症する「五月病」は、昔から使われてきた言葉です。3年どころか、入社して1ヶ月しか経過していないのに、精神的な苦しみを味わう人は昔からいたのです。

■「五月病」は病院で治す

2年や3年ぐらい経過した後ならともかく、入社後1ヶ月で、体が言うことをきかないほど「拒否反応」を抱いたり、精神的な苦痛を味わうのであれば、かなりの問題です。

おそらく周囲の人に相談しても、「誰だって環境に慣れるのには時間がかかる」「私が入社した10年前はもっと酷かった」等と言い、取り合ってくれないことでしょう。ましてや「もう辞めたい」「会社の選択を間違ったかも」などと言ってしまったら、

「社会人になったばかりなのに、もう泣き言?」

「それぐらいのことで逃げてたら、長い人生やってられない」

と否定されるかもしれません。

親や親族、上司などはもちろん、友人にまで、「たかが1カ月で何がわかるんだ。もう少し頑張れよ」等と言われると、よけいに辛い気持ちになります。気持ちの持ちようで何とかなるのならいいですが、そうでないなら「適応障害」「気分障害」のケースも考えられるので、早めに病院へ行きましょう。

■「ディズニー・ストラテジー」の紹介

私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントです。そのせいで、毎日のように40~50代の経営者、管理者と現場で顔を合わせます。社会に出てから20年以上、仕事をしている人たちです。

その顔ぶれを見ていると、いつもこう思えるのです。どんなに挫折を経験しても「いずれ何とかなるものだ」ということを。なぜなら、経営者や管理者の中には、社会に出てすぐ五月病にかかった人もいれば、2~3年で転職をした人も多くいるからです。

ご自身のキャリアを考えるうえで、「ディズニー・ストラテジー」という考え方があるので参考にしてください。NLP(神経言語プログラミング)では有名なモデルです。

以下3種類のポジションをまず覚えます。

1)ドリーマー(夢想家)

2)リアリスト(現実家)

3)クリティック(批評家)

そして自分の中に、それぞれのポジションが内包されていて、対象やシチュエーションにより、どのポジションをとるかは潜在意識が決めている、と受け止めます。

たとえば、社会に出てばかりのときに、「会社に入ったらコレがやりたい!」「自分の可能性をぶつけてやる」と意気込むドリーマー的ポジションが強すぎたとしましょう。こういう極端なドリーマーは、入社したあと現実を突き付けられ、意気消沈してしまうことがあります。

ここで目の当たりにする「現実」とは、以下の2種類です。

● 社会に出たらやりたいと思っていたことを、なかなかさせてもらえないという現実

● 社会に出たらやりたいと思っていたことを、やれる”実力”がないと気付かされる現実

このような現実に直面しても、リアリスト的ポジションをとることができれば、若くても感情のコントロールができます。腐ることなく、先輩や、先人の成功者の教えを守り、地道に自己投資を繰り返すことでしょう。

正しい「自分資産」を積み上げていけば、いずれ素晴らしい仲間――「関係資産」が手に入り、能力が開花したときに大いなる恩恵をもたらします。

■ いちばんよくないケース

夢が強すぎて、ドリーマーから、クリティック(批評家)のポジションにスイッチすれば、「頑張ったってムダ。こんな会社にいたら人生を浪費するだけだ」と思い込んでしまいます。

クリティックのポジションをとりつづければ、会社や上司の責任にして退職することになるかもしれません。その後、いろいろな社会の先輩たちから助言を受けてリアリストに近付いていけばいいです。しかし、実力のないドリーマーのままだと危険です。

他社へ転職しても、また先述したような現実を目の当たりにして、クリティックな「顔」が出てしまいます。

そのまま現実を直視しなければ、ドリーマーに戻ることはないでしょう。クリティックのポジションが強いままで生きていくことになります。社会に対する夢や希望を持てず、自分に対する期待も感じないままの状態がつづきます。

いちばんよくないケースと言えるでしょう。

■「ディズニー・ストラテジー」を正しく活用する

自分が会社に入る前は”できる”と思っていたことが”できない”と感じると「不幸」な感覚を覚えるのは当然のことです。さらに、入社してすぐに精神的な病を患うと、とても辛い。それが原因で辞めたとしたら、真面目な人ほど悩むはずです。

しかしその経験が、自分のキャリア戦略における「ポジション変化」をもたらす、いいきっかけを与えてくれます。

夢や目標があり、それを正しく批評する目があって、現実的な解を見つけられるものです。ドリーマーであったウォルト・ディズニーには、ディズニーを支えるリアリストとクリティックのポジションをとる仲間がいました。だから素晴らしい成功を勝ち取ることができたのです。

自分の力で、うまくいくためには、それぞれのポジションをバランスよく自分の中に持つことです。

青臭い部分(ドリーマー的要素)が強すぎてバランスを崩してしまったのなら、転職を機に、その他のポジションの配分を変えればいい。それだけです。

入社してすぐ退職したいと思っている人がいたら、「ディズニー・ストラテジー」を思い出してください。キャリア戦略の大事なモデルとして、活用してもらいたいと思います。