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【大型連休】新入社員は遊ぶべきか? 自己研さんすべきか?

横山信弘経営コラムニスト
GWはどう過ごそうかな……(ペイレスイメージズ/アフロ)

■ ゴールデンウイークずっと遊ぶつもり?

「え! ゴールデンウイーク、ずっと遊ぶつもり?」

「そうですが。何か問題でもあるんですか?」

ある大企業の課長(40代)が、今年入社した新入社員に「ゴールデンウイーク、どうするんだ」と何気なく尋ねたら、「友だちとテーマパーク行って、映画館行って、フットサルのトレーニングする予定です」と答えたから、ついつい「ずっと遊ぶつもり?」と言ってしまったのです。

「何か問題でもあるんですか?」と逆質問されても、「大ありだ」とは言えません。「君は新入社員だろ? 他人が休んでいるときに努力するものだ」と説教しそうになるのをグッと堪えるしかありません。もうすぐ令和の時代がくるのですから。

トーマツイノベーションが2018年に実施した新入社員に対する意識調査では、「定時に帰りたい(42.0%)」「週に2~3回の残業まで(39.3%)」という結果となり、ワークライフバランスを重視する傾向は年々強まっています。

そこに来て、この超大型のゴールデンウィークです。2019年度の新入社員は、入社して1ヵ月もたたずにこの大型連休を経験します。

「TesTee Lab」が20代の若者(1200名)に調査したところ、ゴールデンウイークの休日数が10日以上となるケースは39.4%と、約4割に達しました。

学生なども含んだ結果でしょうから、今年入社した新入社員に限れば、過半数は『10連休』という、過去ほとんど誰も経験したことのないような超大型の連休を経験することになるのです。

■ とはいえ、結果は出さなければならない

「入社して2年も経つのに、どうなってるんだ……」

前出した課長が、部下の目標管理シートを見ながらつぶやいています。同期の課長も、ため息交じりにうなずきます。

「うちの課の2人もそうです。2年目と3年目。まったく成果が出ていない。このままでは先が見えないよ」

「しかし、本人たちの危機感はまったくない」

企業の管理職が抱える問題の大半は「部下育成」に関することです。営業職に限りますが、当社が今年実施した「日本の営業実態調査」では、「部下が自分で考えない・思考が浅い」(26.6%)を筆頭に、「部下の成長が遅い」(23.6%%)「部下のモチベーション・意欲が低い」(21.5%)「できる部下とできない部下の差が大きい」(21.0%)と、部下に関することが上位を独占。部下について問題意識をもつ管理職が多いことが分かります。

そのいっぽうで、今年4月から社会のルールが大きく変更されました。新たな残業の上限規制ルールが適用されたのです(建設業、自動車運転業務、医業に従事する医師を除く。中小企業は2020年から)。

私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントですから、たとえ労働時間が減っても、経営目標は達成させなければならないというスタンスです。そこまでしなくていい、という意見をたまに聞きますが、そうであれば目標を下げればいいだけです。

職務満足がMAXになるのは達成感を味わった時です。これは「ハーズバーグの二要因理論」からも言えること。どのような目標を設定するかは時代によって変わっても、目標をつくったのに達成しなくてもいいという価値観が正当化されることはありません。

■ ずっと定時退社で結果が出せるか?

「ワークライフバランスは大事だが、入社した時点からずっと定時で帰っていいのか」

というのは、昭和……いや平成の時代であっても、多くの管理職が思うことです。

入社してずっと定時退社していた、ゴールデンウイークも遊びまくった、という経験をした管理職の方は少数派でしょう。

成果を出すには「質×量」という公式を、誰もが思い浮かべます。資格試験の合格をイメージしていただければいいですが、単に量(勉強時間)を減らしてしまえば合格しなくなってしまいます。

合格することが目標なら、勉強時間の総量を減らした分だけ「質」を上げなければいけません。それは「創意工夫の度合」かもしれませんし、「情熱」や「努力」のレベルかもしれません。

会社側として気を付けなければならないのは、採用した人材の「質」です。昔よりもレベルアップしているかどうかは意識してみるべきです。

超売り手市場になっている以上、自分のポテンシャル以上の企業へ入社できる求職者は、以前よりアップしています。もしも人材の「質」が下がり、労働時間という「量」が減っているのであれば、どのようなリソースで補って成果を出すのでしょうか?

■ 他人が休んでいるときに遊び続けたらAIに置換される

野村総研の発表によると、技術的にはAI(人工知能)やロボット技術が発達していけば日本の労働人口の約49%が代替可能になると言われています。この「置換率」の精度はともかく、AIやロボットによって、今後多くの人の労働が奪われることは間違いなく、絵空事ではありません。

単に働く時間を減らせばみんながハッピーになるのではなく、「働いていない時間」でどれだけ自己投資をするのかが、今後は問われていくことでしょう。

ワークライフバランス、働き方改革というキーワードが市民権を得た今、令和の時代は、ますます自主性を問われる時代となるでしょう。定時後に遊んでもいいし、週末に家族と出かけてもいいし、ゴールデンウィークや夏休みに海外へ旅行してもいい。

しかし、業務中に自己研さんする機会が減っている以上、どこかで主体的にそのような時間を確保しなければ、過去と同様の成果を出すことはできません。そしてそのことを新入社員たちみずからが気付くことはありませんから、やはり、

「他人が休んでいるときにこそ自己投資しろ」

と、誰かが言わなければならないのです。

先述の「TesTee Lab」の調べでは、ゴールデンウイーク中の「予定は決まっていない」(53.1%)、「数日予定が決まっている」(17.0%」という結果になっています。7割の人たちは、予定のない休日が多いわけですから、とくに新入社員の人たちは、何らかの自己研さんに励んでもらいたいと思います。

「何をしたらいいかわからない」

という人も悩まないでください。今の時点では、自己研さんの中身ではなく、自己研さんする「クセ」を付けることが大事なのですから。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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