パワハラ法で「クラッシャー上司」を狙い撃ち! 上司が気を付けたい「言い回し」とは?

パワハラ法が「クラッシャー上司」を一掃する?(写真:アフロ)

■「パワハラ法」が成立?

 厚生労働省は、2019年中に労働施策総合推進法改正法案を国会に提出する予定です。この改正法案で、パワハラ防止を企業に義務付ける狙いがあり、「パワハラ法」とも呼ばれています。

 なぜ今になって法整備を急ぐのか?

 厚生労働省の「労災補償状況(精神障害)」によると、20代が23%、30代が26%となっており、10代も含めると、半数以上を占めていることがわかっています。

 また「時間外労働」との関係をみると、長時間労働と労災との顕著な因果関係は見られません。20時間未満(1ヵ月平均)の時間外労働の人でも精神障害が理由の労災は多く認められており、その数は15%程度にものぼっています。

 労働時間ではなく、職場での人間関係(パワハラ)が一因であることを示唆する結果です。

 日本の労働生産性はOECD加盟国中下位に甘んじており、企業内イノベーションが急務。そのための「働き方改革」です。過去の常識にとらわれない人材、性別や国籍を問わない多様な人材に活躍の場を与えなければなりません。

 ところが、そのような人材の可能性をつぶしてしまうのが「クラッシャー上司」です。

■「クラッシャー上司」とは?

 クラッシャー上司とは、パワハラなどによって、文字通り「部下をつぶす」上司のことを指します。(名付け親は、元・東京慈恵会医科大学精神科教授の牛島定信氏と、筑波大学社会医学系教授の松崎一葉氏)

 私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントです。現場でも、このまま放置しておくと部下をつぶすだろうな、と思われる上司に遭遇することがあります。意欲のある部下に成長機会を与えない。滅私奉公を強要するといった、時代錯誤的な上司たちです。

 ところが、こういった「クラッシャー上司」は自覚していないことが多く、周囲が指摘しても「どこ吹く風」。

「私がクラッシャー上司? パワハラしてる? とんでもない! そんなことは絶対にありませんよ」

 と笑い飛ばされることばかり。声の大きさであったり、態度の執拗さといったわかりやすい要素があればともかく、「言葉の中身」や「言い回し」だけで部下を追い詰めていくことがあるのです。

「私は彼(彼女)のためを思って、言ってるだけですよ」

 こんなことを言って、自覚のない上司が多い。今回は「話の中身」にフォーカスして、クラッシャー上司にならないよう、部下をつぶす独特な「言い回し」について解説していきましょう。

■「クラッシャー上司」の独特な「言い回し」

 どのような「言い回し」を多用すると、部下をつぶしてしまうのか? シンプルに表現すると「理不尽な言い方」です。「理不尽」の反意語は「論理的」ですから、筋が通っていない「非論理的な言い方」をし続けていると部下をつぶしてしまう、ということになります。

 非論理的な発想、言い方の中で、私が注目するクラッシャー上司の表現は「一般化」です。

 物事のある一部分だけに着目し、全体を決めつけてしまう思い込みのことを、「一般化」と呼びます。俗に言う「レッテル」のことです。客観的なデータを集め、信憑性の高い論拠を持たず、「強い先入観」「知識不足」によって物事を決めつけるため、「一般化」の発想で話をされると「受け手」は非常に理不尽な印象を受けます。

 「一般化」の言い方は、例外や、そのほかの可能性を考慮せずに限定してしまいます。そのため、「みんな」「いつも」「だいたい」「全部」「すべて」「全然」という表現がよく含まれます。したがって、部下をつぶすクラッシャー上司の言い方は、

「【いつも】お前はミスばかりじゃないか、【何をやっても全然】ダメだな!」

「【みんな】言ってるよ、君がやってる仕事は【すべて】意味がないってね」

「君が言っていることは、【だいたい】間違っている。【全部】私の言うとおりにすればいいんだ」

……このようになります。「一般化」の特徴的な表現のオンパレードです。

 「部分」にフォーカスして「全体」を評価する言い方ですから、『100%』か『0%』という極端な表現になってしまうのです。部下のポテンシャルが「40%」あるにもかかわらず「0%」だと評価したり、ミスは「100%」部下の責任だと決めつけたりします。

■ 部下の可能性に光を当てる

 「一般化」の表現を繰り返すと、部下の「行動」ではなく「人格」の否定につながります。10%でも20%でも可能性があるなら、その可能性に光をあて、部下の成長を促すことが上司の役割です。

 にもかかわらず「0%」だとレッテルを貼られると、部下は人格ごとペシャンコになります。その結果、部下をつぶすことになるのです。

 上司が部下に先入観を持ったり、妙なレッテルを張ることは、「部下育成」においてご法度です。相手と正しく向き合うことができません。繰り返しますが、「クラッシャー上司」は自覚が足りない。

 部下と話をしているとき、「みんな」「いつも」「だいたい」「全部」「すべて」「全然」といった、決めつけた言い方を多用していないか、気を付けていきましょう。