短く話せば相手に伝わるわけではない……生産性の高い話し方「サクバナ」のコツ

さくさく正確に話す「サクバナ」(写真:アフロ)

さくさく正確に話すことを「サクバナ」

さくさくタスクを処理することを私のコンサルティング会社では「サクタス」と呼びます。成功を意味する「サクセス」と似ているし、何より語感がいいので、クライアント企業の皆さまも率先してこの言葉を使ってくださいます。

※参考記事:超高速で仕事を片付ける「サクタスチーム」のつくり方

さくさくやるべきことを片付けることは「サクタス」。ぐずぐず言って、なかなかタスクを処理できていないことを「グズタス」と呼んでいます。

「サクタス」するときは、話し方も気を付けます。タスクをサクッと処理するためには、誰かに誤解されないよう正確に話すことが必要です。こういうときに「サクバナ」を意識します。さくさく正確に話すことを「サクバナ」と呼びます。サクタスを文化にするチーム(サクタスチーム)では、「グズバナ」は禁止。

※参考記事:生産性が高い話し方「サクバナ」3つのポイント

省略しては「サクバナ」にならない

相手に何をしてもらいたいのか、正確に伝えることで部下は「サクタス」できるようになります。したがって、「サクバナ」できないメンバーが多いとチームの生産性は著しく落ちます。

「サクバナ」するときに気を付けるべきポイントは「省略」して話さない、ということです。生産性を高めるため、短く話そう、短く話そうとする人がいますが、重要なパーツを「省略」して話してしまうと論理性が崩れ、相手に真意が伝わらなくなります。いくつか事例を紹介しましょう。

●「論拠」を省略する

「私の将来は明るくない」

「当社が開発した新商品は売れない」

「こんな目標は達成できない」

「将来は暗い」「新商品は売れない」「目標達成は無理」……これらの結論に対する論拠が省略されています。ですからこの結論は非論理的といえるのですが、この結論を「前提」として話が進むと、会話が論理的にゆがんでいきます。

「私の将来は明るくないよ、だから何もやる気が出ない」

「当社が開発した新商品は売れない。にもかかわらず設備投資を増やすのはおかしい」

「こんな目標は達成できない。目標を設定した社長はどうかしてるよ」

●「比較対象」を省略する

「時間が足りない」

「給料が少ない」

「営業力が弱い」

「足りない」「少ない」「弱い」……これらは比較形容詞ですから、比較対象を省略せずに話さないと、相手に正しく伝わりません。前述した例と同じように、この結論を前提にして話を展開すると会話がゆがんでいきます。

「時間が足りないのに、そこまでは無理」

「給料が少ないから、どうしても不満が解消されない」

「営業力が弱いんだから、全然売れないんだ」

●「結論」を省略する

「君からの連絡がないものだから……」

「仕事がすごくたまってるしね……」

「最近、やる気がなくて……」

いわゆる「言わなくてもわかるよね」的な話し方です。背景や前提条件をお互いが共有していると、「話し手」が結論を省略して話をしても、「受け手」は何となくわかってしまうものです。「だから、どうした?」という突っ込みを入れずに会話が展開されると、当然、会話がゆがんでいきます。

「省略」して話すとチームにストレスがたまる

省略された言葉は会話中に「見えないもの」です。したがって「見えないもの」に意識を向けることはけっこう難しく、スピーディに会話が展開している最中に、その「見えないもの」に意識をフォーカスするためには訓練が必要です。

「省略」して話すと、その場では話が通じているように思えるでしょうが、実は正しく伝わっていないことが多い。

「だから言ったじゃないですか。仕事がたまってるって」「営業力が弱いから売れないって、前にも言ったと思います。聞いてなかったんですか」

このように不満を抱くようになり、とても「サクタス」できるチームとは言えません。さくさくとタスクを処理するためには、「サクバナ」が不可欠です。

「省略」させない話し方

「サクバナ」するためには、相手の話に注意を払い、「論拠」「比較対象」「結論」……など、重要な手がかりが抜けていないかをチェックしながら聞きます。何らかの「省略」を察知したら、以下の要領で相手に質問してみましょう。

●「論拠」の省略 ……「なぜ+具体的に、たとえば」

「当社が開発した新商品は売れない」

「なぜ、そのように考えるのですか? 具体的に、どのあたりが売れない要素となるのでしょうか」

●「比較対象」の省略 ……「何と比較して」

「給料が少ない」

「何と比較して給料が少ないと思っているのでしょうか。同僚と比較して? それとも、自分のライフプランで立てた目標と比べて?」

●「結論」の省略 ……「だから、何?」

「やる気が出ないんですよ……」

「やる気が出ないんだね。それで、何なの?」

「見えないもの」を見えるようにする質問は、正しくペーシングしながら実行しないと「尋問」のようになってしまいます。相手が気分を害し、よけいに話がこじれることもありますから気を付けたいですね。

ビジネスの現場では、正しい「資料」といった仕組みを使ってコミュニケーションをとることが、もっとも手軽で、誰にでもできる解決手段と言えます。(※論拠・結論などが「数値的」に表現された、正しい資料を作ることが前提です)

何らかの問題解決するとき、目標達成するときは、正しい資料を手元においてコミュニケーションをとると、「サクバナ」しやすくなります。「省略」せず話して生産性の高い話し方をしたいですね。