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働き方改革で急増する「フラリーマン」の心理を理解する

横山信弘経営コラムニスト
(ペイレスイメージズ/アフロ)

急増するフラリーマン

働き方改革によって長時間労働が是正されることは、多くの会社員にとって歓迎すべきことでしょう。しかしいろいろな副作用が出ていることも事実です。残業が減ることで給与が減ったこと、帰宅時間が早まり面倒な感情を抱く人が増えたことが代表的な例です。

最近急増しているのがフラリーマン。まっすぐ帰宅するのがいやで、会社を後にしてからフラフラと街をさまよう会社員を最近は「フラリーマン」と呼ぶようです。(フラリーマンのほとんどが男性)フラリーマンの潜在マーケットを意識して、ゆっくり「立ち読み」できるカフェ付き書店や、「ちょい飲み」のメニューを準備する居酒屋が増えているほどです。

なぜ退社したらまっすぐに帰宅しないのか?

フラリーマンが、まっすぐに帰宅しない理由はいろいろあるでしょう。代表的な理由が「一人の時間が欲しい」「家事を手伝うのが面倒」と言われていますが、前者の「一人の時間が欲しい」はあり得ません。残業がたくさんあった時代もフラフラしていたのか、というとそうではない。そういう人もいたでしょうが、特殊な人たちです。長時間労働の時代からフラフラしている人が多いのなら「フラリーマン」などという新しい呼称が最近できるはずがないからです。

理由はひとつだけ。明らかに後者の「家事を手伝うのが面倒」だから、です。

とくに小さい子どもがいる家庭なら、なおさらでしょう。人間の心理として、覚えてほしい現象があります。それは「人の顔を見ると用事を思い出す」という現象です。

このような心理があるから、営業はお客様のところへ足しげく顔を出すべきなのです。関係のできているお客様なら営業の顔を見ることで「そういえば、以前ご紹介いただいた商品なんですが」と思い出したように声を掛けてくれます。営業の顔を見なければ思い出さないことを、お客様は無意識に思い出してくださるのです。(確率が高まる、ということです)

反対に、営業が社内にいると、いろいろな人から声が掛かります。

「ちょっと時間とってくれないか。意見を聞きたいことがある」

「午後から時間あるかな? 商品開発の会議があるんだけど、君も出たほうがいいと思って」

このような感じで。外回りしていれば声が掛からなかったはずなのに、社内にいて顔を見られるから声が掛かる。そして必要もない会議に出席させられたり、余分な仕事を任され、よけいに外回りにいけなくなっていくものです。

日中、喫茶店で新聞を読んでいたり、カフェでパソコンを開いて何となくメールを書いている営業をたくさん見つけることができます。会社に戻るとよけいな仕事を言い渡されるから、そこで時間をつぶしているのです。

フラリーマンの心理はこのような営業と同じです。

家にはやく帰らなければ思いつかないような仕事を、奥様が思いついてしまうから、フラリーマンは面白くないのです。

「はやく帰ってきたんだったら、本なんか読んでないで、子どもをお風呂に入れてちょうだい」

「はやく帰ってきたんだったら、部屋の片づけでもしてよ。私はお手伝いさんじゃないんだから」

「はやく帰ってきたんだったら、お皿ぐらい自分で洗って。なんでもかんでも私にやらせないでよ」

「はやく帰ってきたんだから」「はやく帰ってきたんだから」とばかり言われると、「はやく帰らなければ、やらなくてもいいんだよな」という感情が湧き上がってくるのは当然です。

とくに最近のサラリーマンは、上司から頭ごなしに命令されることがなくなりました。今のご時世、多くの管理職は最低限の教育を受けていますから、部下が「やらされ感」を覚えないように、相手とのペースを合わせたコミュニケーションを繰り返し、関係構築しようと心がけます。

そういう社内風土に慣れた男性が、はやく帰ったばかりに「やってあたりまえでしょ」と上から目線で言われると、強い違和感を覚えるのです。

問題は「やらされ感」

勘違いしてはならないのは、決して子どもを風呂に入れること、部屋の片づけ、皿洗いなど……奥様の手伝いを面倒だと捉えてはいないことです。上司と部下との関係と同じ。上司の接し方が悪いから、やればできることなのに部下のモチベーションが上がらないことはよくある話です。

私の中学生の息子もそうです。朝早起きなので、5時ぐらいに起きて好きな絵を描いていたら妻に「はやく起きたんだったら、お母さんの手伝いをしてよ」と言われつづけました。その結果、息子は早く起きなくなってしまったのです。

「はやく起きなければ手伝わせないことを、手伝うように言わないようにしよう」

と妻に話したところ、しばらくして息子はまた早起きになりました。たまに妻が「手伝ってくれないかなァ」と言うと、息子は喜んで朝の支度を手伝うようになりました。同じ結果を求めるなら、工夫してお互いが気持ちよくできる手段を選択すべきですね。

旦那様がフラリーマンになりそうであれば、できれば奥様には「はやく帰ってきてくれたんだね! ありがとう!」と、笑顔で迎えてあげてほしいと思います。しばらくは「今日は大変だった?」「最近、仕事がんばってるんだね」「いつもご苦労様です」などと優しく接して、場の空気をやわらげます。そして、

「できたら、子どもをお風呂に入れてほしいんだけど、いいかな」

と言ってみます。そうすれば、

「ああ、もちろんやるよ」

「ごめんね。本を読んでるのに」

「いいよ、本なんていつでも読めるんだから」

といった会話になることでしょう。

こうやって数日間接することで相手の態度が変わっていけば、フラリーマンに戻ることはないはずです。夫婦の関係も良好になっていきます。もし、奥さまが相手と正しくペーシングしようと心掛けているのに、しょっちゅう外でフラフラしているのなら旦那様は単なるダメリーマンです。ビシッと言わないと効き目がありませんから、強い態度で接することをお勧めします。

上司と部下との関係も同じです。上司が接し方を工夫しているのに、部下がやるべきことをやらないのなら引き締める必要があるのです。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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