なぜ副業解禁はさらなる「格差」を生むことになるのか?

どれだけの努力をすれば副業で儲かるか?(写真:アフロ)

「大副業時代」の幕開け?

一般企業において、社員の「兼業」「副業」を積極的に認めていく動きがはじまっています。政府が推し進める「働き方改革」の重要なトピックスにも挙げられ、「大副業時代の幕開けか?」という報道も目にします。

政府側の論理でいえば、「キャリアの複線化」「能力・スキルを有する企業人材の活躍の場の拡大」などが「副業解禁」の目的でしょうが、とんでもない。そう簡単に副業で稼げるわけがないし、さらなる格差を生むファクターになりかねません。

そもそも現代の副業とは何なのか? それを理解せずに副業を勧めるのは無責任としかいいようがありません。本業をやりながら、副業をやってみたらいいです。どれほど大変かわかります。

世の中には、どんな副業があるのか?

ところで現在、世の中にはどのような副業があるか、皆さんリストアップできるでしょうか。本業ならいくらでも思いつくことでしょう。なら副業は、いかがでしょうか。

たとえ時短であろうと、本業をしながらできる副業はかなり限られています。(本業のほかに、本業のような仕事をする「兼業」ならわかります。しかし当然、相対的に「長時間労働」になります)

パソコンやインターネットのスキルが高く、しかもクリエイティブなセンスがある人なら、クラウドソーシングなどを利用して空いた時間で稼ぐこともできるでしょう。趣味の写真を生かした副業、オリジナルのLINEスタンプを製作して儲けることも可能です。ただ、日本の就労人口の何パーセントの方が、このように器用なことができるのでしょうか。

副業の書籍や雑誌、ブログを大量にチェックすると、必ず出てくるのが「せどり」です。古本や家電などをアマゾンやヤフオク!などで転売して稼ぐ方法です。この「せどり」で儲けている人はたくさんいます。

アフィリエイトや輸入ビジネスで儲けている人も多いでしょう。流行のYOUTUBER(ユーチューバー)という選択肢もあります。これからの時代、民泊などのシェアリングビジネスでもいいでしょう。当然のことながら、相当な覚悟をもってやらないと成功しませんが。

まず、儲かる儲からない以前に、このような副業を軌道に乗せるまでの「最低必要努力投入量(ミニマム・エフォート・リクワイアメント)」を投下できるのか、ということです。

たとえばブログを書いてアフィリエイトで月10万円稼ぐのに、どれぐらいのコストが必要か、算出できるでしょうか? 経済的コスト、時間的コスト、精神的コスト――この3つのコストを、相当量投下してはじめて成し遂げられることなのです。

そういうことがわからない人は、

「誰でも”せどり”で年収1千万稼げる! 1日10分働くだけ!」

とか、

「輸入ビジネスで、あなたも”億り人”の仲間入り!」

といった煽りのキャッチコピーに騙され、稼げるアフィリエイターの「お客様」になるだけです。

副業と兼業と投資を区別する

不動産や仮想通貨、FXで儲けようとするのは副業ではなく「投資(もしくは投機)」。10年、20年といった長期投資ならともかく、短期間でなら、簡単に結果を出せるはずがありません。代行業やポスティング、データ入力で儲ける……というのは、副業というより兼業に近い。自分の時間を投下してお金をもらうわけですから、前述したように長時間労働になります。また、AIやRPAなどのロボット技術が進化したら、消えていくような仕事とも言えます。

そもそも、副業、兼業、投資、節約、ポイント集めを……混同している人が多すぎます。副業は副業、兼業は兼業、投資は投資です。これらのことが区別できない人は頭を整理することができていません。頭が整理できない人が、独自の力でお金を稼ぐことは難しいでしょう。知識や経験といった「資産」が足りないのです。

副業解禁してもいい。しかし多くの人が期待したとおりに儲けられるのは、ほんの一握りの方々だけです。正直なところ、私はそれでいいと思っています。副業ができる人はすればいいだけですから。心配するのは「本業」をおろそかにして「副業」を意識しすぎ、騙される人が急増しないか、ということ。知識格差が、ますます所得格差につながっていきます。

副業している時間があったらその分、ご自身の市場価値をアップさせたほうが生涯年収はアップします。副業よりも、空いた時間に自己投資をしましょう。「人生100年時代」なのですから、ちゃんと本業がある人は、目先の小銭集めに執着しないことです。

また、”有能な”アフィリエイターたちのカモにならないよう、気をつけましょう。