増え続ける「勘違いワークライフバランス」 ~「ツケ払い退社」する社員が急増中!

「ワークライフバランス」を勘違いしていないか?(写真:アフロ)

■「ツケがたまる」「ツケがまわる」とは?

商品や飲食の代金をその場で支払わず、後から払うことを「ツケで払う」と言います。オンラインショッピングサイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」でも「ツケ払い」のサービスが始まるなど、まだまだこのような商習慣は日本で残っていると言えます。

この「ツケ」という表現は、転じてビジネスの現場でも使われています。目の前のやるべきことをせず先送りし続け、取り返しがつかないほど問題が大きくなってしまった状態を「ツケがたまる」と言います。そしてその問題の大きさのせいで報いを受けることを「ツケがまわる」「今までのツケがまわってきた」などと表現します。

■「時間単位」か「成果単位」か?

働き方改革を進めるにあたって、「時間単位」ではなく「成果単位」で労働を考えていこうという考えが政府の後押しもあって広まりつつあります。私はこのアイデアに一部賛成します。(※「成果」では評価しづらい仕事も多くあるため)

製造や物流、店舗などで働く、いわゆる「ブルーカラー」の方々には想像できないでしょうが、オフィスワークが中心の「ホワイトカラー」の人たちは特に「時間単位」で仕事をすべきではないと私は考えています。「成果単位」と言いますか、「やるべきこと単位」と言いますか。

たとえば、今日「やるべきこと」が【5つ】あったとします。その5つの「やるべきこと」をこなすのに、普通なら【7時間】がかかるとしましょう。想定外の仕事が入らない限り、普通に仕事をこなしていれば定時内で終わる仕事量です。

しかし要領が悪かったり、ダラダラ仕事をして【9時間】かけて仕事をしていると、「時間外労働」が発生します。当然このようなケースでは、上司から「もっと集中して仕事をしなさい」「もっとやり方を工夫しなさい」などと注意されることでしょう。

ところが「ワークライフバランス」を勘違いし、時間が来たら帰宅するという発想の人だったらどうなるか。「9時間」かかって「5つ」のやるべきことをせず、「7時間」かかって「4つ」のやるべきことしかせずオフィスを後にします。ということは【1つ】のやるべきことを「ツケ」にして帰宅した、ということなのです。

当然、この「ツケ」は誰かが支払わなければなりません。先送りしていい仕事であるなら、「翌日の自分」が払うことになるでしょう。しかし先送りできない仕事であるなら、帰宅した後、オフィスに残っている誰かが今日じゅうにその「ツケ」を支払うことになります。

■「1日単位」で仕事をしないホワイトカラー

ホワイトカラーの仕事には、1日単位ではなく、3日単位とか、1週間単位の仕事もあります。「今週金曜日までにやればいい」「来週中に終わらせればいい」という仕事です。こうなると複雑です。どこまで仕事をすれば、今週金曜日までに終わるのか、来週中で仕事が完了するのか、あまり考えずに毎日「定時になったら帰る」を続けていると、締め切りの日になってから慌てることになります。締め切り直前となってはじめて想像以上に時間がかかることがわかったり、突発的な仕事が入ったりしたら、「やるべきこと」を完遂できないケースもあるでしょう。

その様子を近くで見ていた上司は、

「今週金曜日までが期限でしたが、いろいろ想定外のことがあったので来週火曜日まででもいいですか?」

と言われて、納得いくでしょうか。

「その割には毎日定時で帰宅していたじゃないか」

「昨日もおとといも、飲みに行ってただろう? フェイスブックで楽しそうに飲んでる写真、アップしてるの私は知ってるんだよ」

と言いたくなります。

特に、その仕事にどれぐらいの時間がかかるのかまだ見極められない若者、経験の浅い人は「時間単位」で仕事をすべきではありません。最初から時間内に終わりそうもない仕事を依頼する上司がいるなら問題ですが、そうでないなら「やるべきこと」をやり切るまで帰宅すべきではないでしょう。

最初は要領が悪くて残業が続くかもしれませんが、早く帰らなければという意識があるからこそ「定時内に終わらせるにはどうしたらいいか」「ベテランの人に仕事のやり方を尋ねたりして工夫しよう」と思えてくるものです。「やるべきこと」をやらずに帰宅する人は、「ツケ払い」で帰宅しているようなものなのです。

■「ツケ払い」をクセにすると「あたりまえの基準」が落ちる

昨今「ワークライフバランス」を勘違いしている人が増えています。先述したとおり、製造や物流、店舗で働いている人には想像できないことでしょう。「やるべきこと」をやらずに帰宅する? そんな人が世の中にいるのか、と。はい。オフィスワーカーには膨大にいます。

私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントです。企業に入り支援をさせていただいていると、このように「あたりまえの基準」が低い人をすぐに見分けられます。

「ツケ払い帰宅」がクセになっている人は、どのぐらいの時間でどのような種類の仕事が終わるのかイメージできません。考える習慣がないため、作業時間を見積もることができないため、過去やったこともないような新しい仕事をお願いすると、すぐに

「ムリです」

「難しいです」

と、即答します。30秒も、1分も、考えることなく、すぐに返事をするのです。「なぜそんなことをしなくてはならないんですか。そんな時間どこにあるんですか」などと。

私どもは、あらゆる業種業界で支援してきた経験がありますから、「そんなこと、毎日15分もあれば終わることなのに、なぜ『時間がない』と答えるのか。この人は考える習慣がないな」と受け止めます。

「ツケ払い帰宅」を習慣化している人は「ワークライフバランス」を口にする権利がありません。お客様や会社の期待に応えるよう仕事をキッチリこなしてはじめて労働の対価が支払われるのが常識です。「やるべき仕事」をせずに「ライフ」を優先させる人はワークとライフのバランスが崩れています。「ワークライフバランス」ではなく、ワークとライフのプライオリティが逆転している『ワークライフリバーサル』と言っていいでしょう。

「働き方改革」だとか「ワークライフバランス」だとか以前に、「やるべきこと」をやり切ってから帰る。――このあたりまえの習慣を手放さないようにしたいですね。

(参考記事:仕事があるのに残業せず帰る「勘違いワークライフバランス」が増えすぎている

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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