サラリーマンの「副業解禁」に反対! 会社の給料が少ない人は、副業でも稼げない2つの理由

副業のメリットはお金?(ペイレスイメージズ/アフロ)

なぜ企業が「副業解禁」するのか?

一般企業において、社員の「兼業」「副業」を積極的に認めていく動きが始まっています。政府が推し進める「働き方改革」の重要なトピックスにも挙げられており、中小企業のみならず「ロート製薬」など一部の大企業でも、「副業解禁」を公に打ち出す企業が出はじめています。

政府側の論理でいえば、「キャリアの複線化」「能力・スキルを有する企業人材の活躍の場の拡大」などが「副業解禁」の目的。企業側の論理でいえば、「人件費の抑制」「定年後の離職促進」でしょうか。政府側は建前で、企業側が本音。

「副業解禁」を容認する企業は、これ以上、給料をアップできない。退職金を増やせない。定年を迎えたら速やかに離職してもらいたい。だから、あまり会社に頼らず、自分で稼いでもいいよ、という姿勢が透けてみえます。正直なところ、「副業してもいいだなんて、時代も変わったな」「副業してもいいなら、自分は何をしようかな?」なんて呑気に考えている人がいたら、どうかしてると私は思います。

企業側は誰に「副業」してもいいと思っているのか?

先述したロート製薬は1,000人以上の従業員数を抱えます。連結だと6,000に超えます。そのうち、5人とか6人の従業員に副業を認めるのでしょうか。それだと公にした意味がありません。5%や10%ぐらいの人が副業するぐらいに考えたら、50~100人。連結だと300~600人という規模です。

もっと大きな企業が「副業解禁」したら、何らかの副業をする人は1社あたり1,000人とか5,000人とかの規模になるのでしょうか。日本企業の一部が「副業OK」しただけで、「副業人口」は大変な数に膨れ上がります。

しかし、たとえ企業側が公に「副業OK」したとしても、従業員のうちの誰がOKなのか? そしてその人はどんな副業をしていいのか? それを考えたことがあるでしょうか。

私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントです。実際に企業の現場に入り、肌で感じる喫緊の問題は「長時間労働の是正」です。とにかく日本のサラリーマンは勤務時間が長い。「働き過ぎ」の人は一部です。体を壊すほど「働き過ぎ」の人は、実はニュースになるほど多くはありません。体を壊さないが、勤務時間が長いのです。この非生産的な仕事のやり方を変えるのが、日本企業の体質として最も早期に改善しなければならないことです。

「副業解禁」もいいですが、長時間労働している人に副業はムリです。長時間労働して、なおかつ副業するだなんてことをしたら本当に体が壊れてしまいます。ということは、毎日定時で帰る人、時短勤務をしている人が対象ということでしょう。

毎日定時で退社し、その後にレストランやスーパー、コンビニで働いて稼ぐ、ということを考えてみましょう。キツイですね。かなり家計がひっ迫しているサラリーマンしかやらないでしょう。家計がひっ迫している状態ということは、一般的には年収300万円を下回るレベルでしょうか。頑張って自己投資をしてご自身の市場価値をアップし、より良い会社に転職したほうが生涯年収は増えるはずです。

サラリーが著しく低い会社に勤め、さらにレストランでバイト……とかであれば、ご自身の市場価値は加齢とともにドンドン落ちていきます。履歴書が汚くなるだけです。

また、年収がサラリーマンの平均年収400~450万円ぐらいある、というのであれば、副業などせず、身の丈に合った生活をする工夫をした方が健全です。そもそも普通に仕事をしながら、本格的に副業などしたら確定申告などの諸手続きであったり、同僚から「飲みに行こうぜ!」と誘われても「今日はコンビニで副業があるから」などと弁解しなければならないなど、面倒なことが膨大に増えます。

時短勤務の人が副業、ということは、かなり考えにくいと言えます。そもそもなぜ時短勤務なのか、を考えればわかるでしょう。子育てのために夕方4時ごろに退社するような人が、どこで副業するのでしょうか? 幼い子どもを寝かせてから夜10時ごろ家を出て外で副業するのでしょうか。そういう方もいるかもしれませんが、特殊な事情で経済的に困窮しているか、よほどその副業が好きで、やりたくてしょうがない、というレアなケースだと言えます。

(「副業解禁」は、一般的なサラリーマンを対象としているので、レアケースは除きます)

絶対にお勧めしないインターネットを使った副業

レストランやコンビニで働かなくても、パソコン一台あればインターネットで副業できるじゃないか、と言う人がいます。こういうことを言う人は2つのタイプしかいません。

● インターネットの副業で成功した人

● インターネットの副業をやったことがない人

1年や2年ならともかく、インターネットの副業で5年も10年も、そこそこ稼ぎ続けることができるだなんて幻想は持つべきではありません。それができている人は一部の人だけです。商品を仕入れてインターネットで販売して稼ぐビジネスモデルは、本格的にやらないと成功しません。会社勤めでできる人は、よほどその商売が好きな人だけです。寝る間も惜しんでのめり込める人だけがうまくいきます。

インターネットを使い、片手間で稼ぐこともできるでしょうが、そういう人はさらに少ないでしょう。そしてそのごく一部の人は、「インターネットの副業でどうすれば稼げるか?」というノウハウを売って成功しているのです。この現実をどう受け止めるかによって、その人の仕事に対するセンスがわかるというものです。

労働は誰かに貢献するために投下されるべきもの。その「誰か」とは、自分の周囲や社会です。したがって、家族やお客様や地域社会に貢献できる仕事こそ、長く対価が支払われるようになっています。これは不変の社会システムです。「インターネットの副業でどうすれば稼げるか、というノウハウ」を販売する人がいたとして、そのノウハウを売ってそれなりの年収を手に入れる人が日本に1万人も10万人もあらわれるわけがありません。ということは、「うまい話に飛びついて、うまくいかない人」が対象顧客のビジネスモデルであり、知識弱者を相手に儲けている点で誠実さに欠けていると言えるでしょう。

このビジネスでお金を稼ぐことができたとしても、お金以外の報酬は手に入るでしょうか。誰かの不幸の上に成り立つビジネスで、人生が豊かになることはないと私は考えます。

たとえ「副業解禁」の潮流が広がっても、よっぽど器用でない限り、今所属している会社の中で給与を上げていく努力をすべきです。そのほうが一番効率的で健全だからです。今の会社では限界があるというのであれば、まっとうに努力し、ご自身の市場価値をアップさせ、転職するか、起業するのです。そのほうが、自分を助けてくれる多くの信頼資産を獲得することができるでしょう。他人から応援されるという資産は、お金に代えられない大切な財産です。

したがって副業は、

■副業している時間があったらその分、ご自身の市場価値をアップさせたほうが生涯年収がアップすること

■正規の仕事をしながら、副業でも期待どおりの成果を手に入れられる人はごく一部であること

この2つの理由から、一般的なサラリーマンにお勧めすることはできません。