「五月病」に悩んでいる人へ ~1社目をすぐ辞めたとしても、それは「逃げ」ではない

(写真:アフロ)

「最近の若者はすぐに会社を辞める」は間違い

毎年ゴールデンウィークが明けると、原因不明の体調不振に陥る人がいます。新入社員や新入生であれば「五月病」かもしれません。

入社後、3年で30%以上の新入社員が退職するというデータがあります。このデータはここ最近伸びているわけではなく、25年以上も前から変化がありません。大卒(30%)、高卒(40%)、中卒(65%)という各種比率もそれほど昔から変わらないのです。したがって「最近の若者はすぐに会社を辞める」という言い方は適切ではない、と言えるでしょう。

冒頭に書いた、会社や学校など、新しい環境に適応できずに発症する「五月病」は、昔から使われてきた言葉です。3年どころか、入社して1ヶ月しか経過していないのに、精神的な苦しみを味わう人も多いのです。

「五月病」は病院で治す

2年や3年ぐらい経過した後ならともかく、入社後1ヶ月で、体が言うことをきかないほど「拒否反応」を抱いたり、精神的な苦痛を味わうのであれば、かなりの問題です。

おそらく周囲の人に相談しても、「誰だって環境に慣れるのには時間がかかる」「私が入社した10年前はもっと酷かった」等と言い、取り合ってくれないでしょう。ましてや「もう辞めたい」「会社の選択が間違ってたかも」などと言ってしまったら、

「社会人になったばかりなのに、もう泣き言?」

「それぐらいのことで逃げてたら、長い人生やってられない」

と罵られるかもしれません。親や親族、上司などはもちろん、友人にまで、「たかが1カ月で何がわかるんだ。もう少し頑張れよ」等と言われると、よけいに辛い気持ちになります。気持ちの持ちようで何とかなるのであればいいですが、そうでないなら「適応障害」「気分障害」のケースも考えられるので、早めに病院へ行きましょう。

仕事の意味は「幸せ」を掴むこと

「何のために仕事をするのか?」考えたことがありますか。難しく考える必要はありません。仕事の目的は決まっています。それは、誰かを幸福にすることです。幸せにすることです。幸福感というのは「感覚」を指しているので、その人の価値観にとらわれません。脳内物質のドーパミンなどが分泌されれば「快楽」を得られるわけです。悩む必要などありません。

せっかくこの会社に入ったのに、どうしてこうなったんだ。前からやりたかった仕事なのに、なぜ調子を悪くしたんだろうと凹む人もいることでしょう。入社してすぐ壁にぶつかり、「私が本当にやりたい仕事は何だろう?」と自問自答することも多くなるかもしれません。

しかし基本的には、どんな仕事を選んでも構わないのです。仕事は「手段」であり、「目的」ではありません。前述したとおり「目的」は、誰かを幸せにすることです。家族や友人や同僚、お客様たちに幸福感を与え、社会に貢献してはじめて自分も精神的報酬を得るという公式は変わりありません。

それでは、仕事における幸せとは何か? それは「成長の実感」を得ることです。昨日よりも今日、今日よりも明日……。日々成長している自分を実感することで「ドーパミン」が分泌され「快楽」や「幸福感」を覚えるのです。

自分自身だけでなく、家族やお客様が「成長の実感」を覚えると、幸せを感じます。社会の何らかの問題を解決し、社会の発展に寄与することで、社会貢献していることになります。過去よりも、今が少しでもよくなっていると感じるからこそ、今日できていない事柄も、未来ではきっとできるだろうと自分の可能性、社会の可能性を信じることができます。これが幸福感の原理です。

ということは、入社して、自分が会社に入る前は”できる”と思っていたことが”できない”と感じると「不幸」な感覚を覚えるのは当然のことです。今できていることが、将来にはもっとできなくなるかもしれないと感じるのです。ますます「不幸感」が募っていくことになります。

入社してすぐに精神的な病を患うと、とても辛いことでしょう。しかし、たとえそれが原因で辞めたとしても「逃げ」ではありません。調子を戻し、他の会社に入ってうまくいけば、自分の「成長の幅」は、最初からうまくいっている人よりも大きいです。だから幸せの幅も大きいはずです。

反対に、1社目でうまくいっているのに、キャリアアップを考えて他社に転職し、2社目や3社目でうまくいかなくなったほうが悲惨です。「成長の実感」を得られないからです。幸せという感覚は、他者と比較して味わうことではありません。自分の過去と比較して覚えるものです。