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「仕切る」スキル――ファシリテーション能力を身につける2つのポイント

横山信弘経営コラムニスト
場を仕切る力が「ファシリテーション能力」(写真:アフロ)

「ファシリテーション」という言葉を知っていますか。会議やディスカッションの場で、参加者の意見を引き出し、正しい意思決定を促す手法と一般的には言われています。書籍やネットでも、どのようにファシリテーション能力を身につけるか、いろいろな手法が紹介されています。ところが、世の中にある、ファシリテーション能力を磨く方法として紹介されているもののほとんどが、アイデア発想法、問題解決技法と混同されていることも頭に入れておきましょう。ブレインストーミングであったり、ロジカルシンキングなどです。

ブレインストーミングをするときに、その場を仕切る人がファシリテーション能力を身につけている必要はありますが、「ファシリテーション=ブレインストーミング」ではありませんし、そのときに使用する思考法――ロジカルシンキングがファシリテーションスキルでもないのです。

ファシリテーターとは、場を「仕切る」司会者のような存在です。したがって、ファシリテーションは新しいアイデアの創出、問題解決のための議論にも使えるスキルだというだけで、もっと広義な意味も含まれています。

ですから「ファシリテーション=仕切る」と覚えたほうがわかりやすいでしょう。会議や議論の場のみならず、飲み会で盛り上がるために、その場をまとめるときにも使えます。複数の人を集めて、誰かの相談ごとに対して意見を出し合うときにも使えます。ファシリテーション能力はビジネスの場のみならず、友人同士や家族の中でも使用することができるのです。

それでは具体的にファシリテーション能力に必要なポイントを解説します。ポイントは以下の2つ。

■ 場の「空気」を作る

■ 話を噛み合わせる

ファシリテーターは場を仕切るわけですから、「私が仕切る。だから基本的に私の言うことを聞かなければならない」という空気を作りだす必要があります。

「ちょっとみんな聞いて。Aさんが抱えてる職場の問題についてどう思う? それぞれ意見とか出し合おうよ」

友人が集まり、ワイワイガヤガヤ話をしているとき、突然このような発言があったとします。そのときに「Aさんが職場で問題を抱えてるなら、みんなで解決策を考えてやろう」という空気にさせなければなりません。そこにいる人たち全員が発言者に注目し、姿勢を正すような雰囲気にさせることです。発言者の話を聞かず、スマホの画面を見続けていたりする人がいたら、「ちゃんと話を聞こうよ」と誰かが言ってくれる、そんな「締まった空気」が流れはじめることが重要です。

ところが前述した発言をしたにもかかわらず、

「おいおい、どうした。なんで勝手に仕切ってんの!」

「私たちが解決策を出したところで、本当にAさんの職場の問題が解決するわけ?」

「お堅い話はやめて飲もうぜ! 飲めば忘れる! すみませーん、ビールもう一杯!」

こんな風に好き勝手な発言が飛び交うと、話し合いになりません。ファシリテーションどころではないのです。これはビジネスの現場でも同じ。会議中でも一緒です。

「部長、もういいじゃないですか、その話は」

「ここで議論したって、妙案は浮かびませんよ」

と、参加者にナメられた発言をされるようではファシリテーターとして失格です。とにもかくにも、ファシリテーション能力には「場の空気を作る」力が不可欠です。まずこれはおさえておきましょう。

次に必要なのは「話を噛み合わせる」技術です。話が噛み合わないときのパターンは以下の3つ。

● あさっての方向

● 早とちり

● 否定ありき

テーマに沿ってディスカッションがはじまったにもかかわらず、話が「あさっての方向」にそれていくことがあります。ファシリテーターは、それた話をうまく元の場所へと戻すよう誘導できないといけません。

「ところでAさんの職場って新宿にあるよね。新宿といえば、高校時代の先生がゲイバーで働いててさァ」

「え! 本当に?」

「それ面白そう! 高校のときの先生がゲイバーでって何それ?」

このように話がそれていったら、「私もすごく興味あるけど、その話は後でしようよ」などと言って、横道にそれないよう注意を払います。

「Aさんの業界って、ブラック企業が多いよね。だからしょうがないと思う。業界の特性じゃないの」

このように強い先入観を持っている人の発言は「早とちり」の可能性もあります。ちなみに「早とちり」をする人の多くは、他人の話を聞いていません。ですから「さっきAさんがブラックじゃないと言ってたじゃないの。ちゃんと話を聞いてあげて」と誤解を正しく訂正する必要があります。

最後の「否定ありき」は、何をやってもダメ。無駄なものはムダ、という発言を繰り返す人の思考です。

「そういう解決策だとうまくいかないと思う」

「でも、Cさんが言っていた解決策もあるでしょう」

「いや、こういう理由で無理だよ思うよ」

「だからそれは違うってAさんも言ってたでしょう」

「なら、こういう理由でダメだと思うな」

「それはBさんが違うって言ってたじゃないの」

「だったら、こういう理由でやっても意味がないと思う」

「それもさっき議論したじゃないの。そういうことはないって。話聞いてた?」

「とにかく、私が言いたいのは、職場の問題って解決しないってこと。無理なものは無理。ダメなものはダメ」

「否定ありき」の思考の人は、何を言っても「ダメ」「ムリ」「意味ナイ」を繰り返しますので、ファシリテーターとしてはこういう人を説得しようとせず、スルーする度量も必要です。

繰り返すと、ファシリテーション能力を身につけるポイントは以下の2つ。

■ 場の「空気」を作る

■ 話を噛み合わせる

です。ビジネスの現場でも、プライベートな話し合いのときも使えるテクニックですので、ぜひいろいろな方に身につけてもらいたいと思います。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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