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シャープ「副」が付く管理職を廃止! 本当に「副本部長」「副事業部長」などは必要なのか?

横山信弘経営コラムニスト
シャープの新組織体制を発表。管理職半減へ……(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

業績低迷が続くシャープは9月3日、カンパニー制を10月1日に導入するなど組織体制を一新すると発表しました。目玉となるのが、約1100人いる管理職を、約500人の半分以下とする大胆な施策です。意思決定スピードを速くするうえでも、管理職を減らすことは大いに賛成です。注目すべきは、このたび副本部長や副事業部長など「副」が付く役職を廃止すること。現場感覚からすると当然の措置と言えるでしょう。

組織編成には4原則というものがあります。

●専門化(分業化)の原則

●統制範囲の原則

●権限責任一致の原則

●命令一元化の原則

現場でコンサルティングをしていると、この中で特に重要視すべきなのは「統制範囲の原則(スパンオブコントロール)」だと私は考えています。1人の管理職が統制できる範囲はだいたい決まっていて(いろいろな説はありますが)5~8人と言われています。つまり強いリーダーシップを発揮できない限り、直属の部下が10人を超えると統制しづらくなる、ということです。

たとえば「本部長」が1人いて、「副本部長」が3人いて、さらにその下の「部長」が10人いた場合、この時点で本部長は組織の統制をとりづらくなります。形だけ組織になっているだけで、

「本部長はああいうけれど、副本部長の私にも言い分がある」

「本部長の言っていることと、2人の副本部長が言っていることが違う。部長の私はどうすればいいんだ?」

「本部長も副本部長も会議に明け暮れている。部長は私だ。私は私のやり方でやらせてもらう」

このような事態に陥ることは目に見えています。

「権限責任一致の原則」の側面からも、部下は居心地の悪さを覚えることでしょう。「本部長」にどのような責任と権限があり、「副本部長」3人には、どのような責任と権限があるのか?「命令一元化の原則」の側面では、さらに切実な問題にさられます。部下1人に「上司は1人」が大原則であるのに、複数の上司がいると矛盾した命令が起こるものです。

シャープのみならず、飾りのような役職である「副」の付く管理職ポストは、本人も管理職として力を発揮しづらいのです。どの会社においても廃止したほうがよいと私は考えます。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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