苦手な人と「当たり障りのない会話」をする2つのポイント
苦手な人、それほど親密でない人と一緒にいるとき、適度に「当たり障りのない会話」ができると得することが多いと思います。「場の空気」を良くすることができます。お互いの心をオープンにし、関係を構築できたり、本題へスムーズに移行できたりするからです。
そもそも「当たり障りのない」とは、「無難」「害がない」「手堅い」という意味合いです。お互いが共有しているテーマで、無害なものを選択すれば間違いはないでしょう。
それでは、「当たり障りのない会話」をするにはどうすればよいでしょうか。ポイントは2つあります。
● テーマの選択は、マクロな視点からミクロな視点へ
● 個人的な価値観に基づく主張・提案は控える
テーマの選定は「マクロな視点」と「ミクロな視点」で考えてみます。相手との関係の深さによって変化すると言ってもいいでしょう。
1.マクロな視点
・天気
・仕事
・学校
・家族など
2.ミクロな視点
・友人
・職場
・健康
・趣味など
お互いあまり知らない間柄であれば「マクロな視点」を使います。上位レイヤーのテーマであれば、お互い共有している可能性が極めて高いからです。
「最近、けっこう雨が続きますね」
「そうですね。先週も雨が多かったですし」
「毎日、鞄に傘を入れて出勤しています」
「確かに、私も同じです」
「ザ・当たり障りのない会話」と表現してもいいのが「お天気の話」です。話のネタに困ったとき、まずは「お天気の話」から入れば無難です。
「週末も雨でしょうか。外回りが多いので、晴れてほしいですね」
「週末もお仕事ですか」
「ええ。私、分譲マンションの営業をしていますので」
「そうなんですか。マンションの営業を……」
「はい。週末でないと、なかなかお客様にお会いできないですから」
「大変ですなァ」
「いえいえ、そんなことはありませんが」
「天気」のテーマから「仕事」のテーマへとうまく移行しています。さらに、
「週末にお父さんがいないから、子どもはいつも怒ってます」
「お子さんはおいくつなんですか?」
「今、小学校3年生です」
「ああ、小学校3年生なら、週末にお父さんと遊びたいでしょうね」
「そうなんでしょうねェ。ところで……お子さんはいらっしゃるんですか?」
「いや、実は私はまだ結婚していないんです。付き合っている人はいるのですか」
「そうですかァ。付き合っている方がいらっしゃるのならいいですね」
「いやいやいや、まァ……」
このように「家族」や「個人」の話まで展開できたら、関係性は少しずつ深まっていきます。お互い、けっこう知った間柄であれば「ミクロな視点」を取り入れていきます。
「最近、体調はどう?」
「まあまあかな。そっちは?」
「花粉症がキツイよ」
「へえ、この時期に花粉症?」
「そうなんだ。週に2回は病院に通ってる」
「大変だなァ」
初対面の人に「最近、体調はどうですか」などとは聞けないものです。「健康」は、そこそこ関係性ができている相手とできるテーマです。
「そういえば、ゴールデンウィークにAさんに会うよ」
「ああ、Aさんか。元気にしてる?」
「なんか転職したらしいよ」
「どこに?」
「新宿のパスタの店で働きはじめたらしい」
「ああ、そうなんだ。今度、新宿へ行ったら店に寄ってみようかな」
このように、共通の「友人」や「仕事」「趣味」のテーマで会話を進めるのが基本です。
さて、「当たり障りのない会話」をするときに心掛けたいのは、個人的な「主張」「提案」を控えることです。たとえば、
「付き合っている人がいるのですか。それでしたら、早く結婚したほうがいいですよ」
とか、
「Aさん、どうしてパスタの店なんかで働きはじめたんだろう。OLやってたほうが絶対、安定しているのに」
など、です。個人的な価値観にもとづいた主張や提案をしていると、「当たり」や「障り」が出てきてしまうからです。「賛同」されるかもしれませんが「反論」される可能性がある主張をしたら、これはもう「当たり障りのない会話」とは呼べません。たとえ言いたいことがあっても、「場の空気」を乱さないことを目的とするなら、適当に受け流し、表面をなぞるだけの受け答えに終始しましょう。
まとめるとポイントは2つです。テーマはマクロからミクロへ。そして主張や提案はしない、です。