「好きなこと」「やりたいこと」を仕事にしたい人の成功術
昨今、「大好きなことだけやっていれば成功する」「本当にやりたいことだけやって生きていこう」というキャッチフレーズが世間でにぎわっています。同様の書籍タイトルもたくさんあり、興味を持つ人も多いことでしょう。
「やるべきこと(マスト)」よりも、まずは「やりたいこと(ウォント)」に目を向けないと、仕事も長続きしないし、自分に嘘をついて生きていくのは辛すぎる、という発想なのだと思います。
「やりたいこと」なのか「やるべきこと」なのかは別にして、仕事・作業を分解すると、以下の2つになることを覚えておきましょう。
●「プロジェクト」……目標を達成させるための計画、タスクの集合体
●「タスク」……スケジュールに記入できるほどの作業や課題の最小単位
たとえば、自分のやりたい仕事を思い浮かべてみましょう。「一流のプロ野球選手になりたい」「AKB48のようなアイドルのプロデューサーになりたい」「環境に優しい車の開発をしたい」「セレクトショップの経営をしたい」「IT企業の社長になりたい」「スマホのゲーム開発に携わりたい」……どんなものでも構いません。
やりたい仕事が思い浮かばなければ、単純に人生の夢や趣味的なことでもいいでしょう。「海外留学したい」「マイホームを建てたい」「高級車に乗りたい」「北海道を旅行したい」「週末にテニスをしたい」「ダイエットしたい」……どんなことでも構いません。
これら「やりたいこと」はすべて【プロジェクト】になるはずです。このプロジェクトを【タスク】に分解すると、すべて「やるべきこと」に変換されます。このことは絶対に忘れてはなりません。たとえば、「今年、家族で沖縄を旅行したい」と思って計画を立てるとします。これはプロジェクトです。しかし「沖縄旅行」というプロジェクトをタスクに分解すると、こうなります。
◆ 日程を決めるために家族で話し合う
◆ 旅行会社で見積りをもらう
◆ 旅行代金を工面する
◆ 旅行代金を振り込む
◆ 現地のレンタカーを予約する
◆ 空港までの電車の時刻を調べる
……など等、すべての分解されたタスクは「やるべきこと」となります。「やりたいこと」を分解しても「やりたいこと」というタスクにはほとんどならないのです。したがって(あたりまえですが)、「やりたいことだけやっていればうまいく」「好きなことだけやっていれば成功する」という表現は、厳密に言うと正しくありません。「強くやりたいと思うことがあれば、やるべきこともストレスだと感じなくなる」ということが現実なのです。
世の中の多くの人は、たとえ「やりたいこと」があっても、始められないし、続けられないし、やり切ることができません。「いつか家族で海外旅行したいね」「自分もゴルフを始めたいな」「あの俳優が出ている映画、映画館で観にいきたいな」……といった何気ない願望も、意外と実現しないものです。どんなにやりたいことでも、好きなことでも、タスクに分解すると「やるべきこと」が目の前を立ちふさがるからです。
「好きなこと」「やりたいこと」を仕事にしたい、という気持ちは大切にしたらいいと思います。しかしその前に、「やるべきこと」があったらサクサク片付けられる習慣を日ごろから身につけておきましょう。そうしないと、ストレス耐性が落ちていき、「やりたいことをやりたいと思って始めたのに、なぜか続かない。ひょっとしたら、本当にやりたいことじゃないからなのかな?」という大いなる勘違いをしてしまう危険性があるからです。