「嫌味な人」の鼻につく言い方――『当然、君のことだから、◯◯はやってると思うけど』

私は現場に入るコンサルタントです。企業経営者や管理者の方々と接することが多く、彼ら・彼女らの言い方・口癖は熟知しているつもりです。その中で、いつも「嫌味っぽいな」「鼻につくな」と感じる言い方があります。それがコチラ。

「当然、海外留学の経験がある君のことだから、これぐらいの英語ぐらいは理解できると思うけど……」

「当然、意識の高い君のことだから、年初にかかげた会社方針ぐらい、何も見なくても言えるようにはなってると思うけど……」

「当然、君たちのことだから、仕事中にユーチューブなんて観てる人など、誰一人いないと思うけど……」

『当然、君(たち)のことだから、◯◯はやってる/やっていないと思うけど』――という言い方です。冒頭に「当然」と言っておきながら、この発言者は「当然」だと思ってはいません。

たとえば会社の出勤時間が朝の「9時」だとします。就業規則に明記されていますから、9時までに出勤するのは当然ですし、誰もが常識だと受け止めています。にもかかわらず、

「当然、君たちのことだから、毎日9時には出勤していると思うけど」

などと言う人がいるでしょうか。誰もが当然のようにやっていることを指して、このような発言をする人はいないものです。「当然」だと思っていないからこそ、次に「釘を刺す」ような話が続いていきます。

「当然、仕事中にユーチューブを観てる人なんて誰もいないと思うが、万が一、そういう人が出た場合のことを考えて、明るみに出たあとどうなるかを伝えておこう」

こういう言い方になります。そして、このようなことを言われると、多くの人が緊張感を覚えるでしょう。

「仕事に関係のない動画をユーチューブで観ている人が、このオフィスにいるに違いない」

「誰かが仕事中にユーチューブを観ていて怒られたんだろう。マズイな……」

「今日の部長は怒ってるぞ。ヤバイ雰囲気になってきた」

『当然、君のことだから、◯◯はやってると思うけど』という言い方は、「常識に反することをやっている疑いがある」という意味を言外に匂わせています。ですから、このような言い方をされると、多くの人は緊張するのです。ただ、緊張感を持つだけでなく、言葉の意味合いと、醸し出す雰囲気に大きなギャップが発生しているため、緊張感を通り越して強いストレスを感じたり、「嫌味っぽい」「鼻につく」と受け止めてしまう人も多いはずです。

自分よりも明らかにお金を持っている人から、

「あなたは凄くお金持ちね。私もあなたような身分になりたいわ。羨ましい」

などと言われると、普通は腹立たしい気持ちになります。なんて嫌味っぽい人なんだろう。この人と話をしていても楽しくない、という気持ちになっていきます。

私も職業柄、

「横山さんは経営コンサルタントですから、当然このぐらいのことはご存知だと思いますが……」

などと言われることがあります。私はこう言われると、すかさず笑顔でこう切り返します。

「いえいえ。私は知らないことばかりです。未熟者ですから」

重要なことは、笑顔で、堂々と切り返すことです。

「あら、知らないことばかりじゃあ、経営コンサルタントなんてお仕事、務まらないんじゃないですか?」

「いえ、大丈夫です」

「あら、どうして大丈夫なんですか?」

「クライアント企業のニーズに正しく応えることができるからだ、と思っています」

「経営コンサルタントなのに、知らないことばかりじゃあ、正しくニーズに応えられないんじゃないですか?」

「いえ。できますよ」

「本当にできるんですか?」

「はい。できます」

「……何を言ってるのか、よくわかりません。話になりませんね」

「当然、君のことだから……」という発言をする人は「上から目線」ですのでプライドが高く、思考に「一貫性の法則」が働きます。自分の言動を一貫して正当化したくなるため、どんなに反論しても、こちらの言い分は聞き入れられない可能性が高いでしょう。ですから堂々とした態度で、多くを語らないほうがいいのです。

「当然、君のことだから、〇〇はやっていると思うけれど……」と言われて「いや、あの、その……」などとビクビクしていると、さらに見下されていくだけです。できていないのであれば、

「申し訳ありません。できていません」

と即座に謝り、今後の対策を明朗に述べるべきです。できているのであれば、

「はい。大丈夫です。キチンとできています」

とハッキリ言いましょう。返事に窮したり、オドオドした態度をとっていたりすると、相手につけ入る隙を与えてしまいます。そして何度も、「優秀な君のことだから、当然〇〇はやっていると思うけれど……」と言われることになってしまいます。

相手が当然と思っていることと、こちらが当然と思っていることのギャップはあるものです。あまりに嫌味な言われ方をする人とは毅然とした態度で臨むほうがよいですね。

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。メルマガ「草創花伝」は4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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