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「話は変わるけど」と言われても、話を変わらせない方法

横山信弘経営コラムニスト

こちらが話をしているのに、その話を適当にスルーしておいて、「話は変わるけど」と強引に話題を変えようとする人がいます。たとえばこのような感じです。

A:「この前、嵐の櫻井翔が出てたテレビを観てて思ったんだけど、櫻井翔ってやっぱり話がうまいよね。アイドルなのに、司会とかMCとかキャスターやらせても、すごく上手に喋る。感心しちゃった」

B:「ふーん」

A:「有吉と一緒に出てる、『櫻井有吉アブナイ夜会』って番組あるじゃん。あのときに櫻井がさ、こんなこと言ってるの……。それでさ……」

B:「へえ。……で、話は変わるけど、先週の金曜日に行ったカフェって、何て名前だった?」

A:「は――?」

B:「ほら、新しいカフェが青山にできたから行こうって言って、それで一緒に行ったじゃない。何だっけ」

A:「お店はおしゃれだったけど、店員が無愛想だったカフェの話?」

B:「そうそう。あそこにさ、私の高校のときの同級生が働いてるんだって。昨日、LINEが来てビックリしちゃった」

A:「……」

ある話題に対する一定量のやり取りがあったあと、「話は変わるけど」と言われて別の話題へと移行するならともかく、ほとんどやり取りがないのに話題を変えられたら、話し手はなんだか残念な気持ちになることでしょう。

雑談ならともかく、何らかの問題を解決したくて相談しているときに「話は変わるけど」をされたら、とても困ります。

妻:「ねえ、今度の日曜日にお母さんが入院している病院へ顔を出してみない? まだ今年になってから行ってないから」

夫:「ああ……」

妻:「昨日、お姉さんからも電話があって、何か話があるみたいだったし」

夫:「そうだなァ」

妻:「……」

夫:「そういえば話は変わるけど、来週の月曜日から北海道に出張になったから」

妻:「……え?」

夫:「隣の部署のKさんが急きょインフルエンザにかかったみたいで、俺が代わりに出張することになった。まいったよ、他に仕事もたまってるから、急に出張だなんて」

妻:「……」

夫:「子どもたちもインフルエンザ、大丈夫かな。流行ってるみたいだし」

文章で書くと、かなり違和感があるやり取りに読めますが、意外と無神経に話題を変えてしまう人はいます。こういうときに「私の話をちゃんと聞いてよ」「勝手に話題を変えないでよ」と注文をつけると、相手は気分を害し「聞いてるって! お袋の病院に行くって話だろ。顔を出すよ。わかってるって!」などと逆ギレするかもしれません。

そこで、「話は変わるけど」と言われても、話を変わらせない方法を考えてみます。人の話を聞かず、勝手にスルーして自分の話したいことを優先させようとする人は、もともと「感度」が低い可能性があります。相手が「感度」が低く、こちらが「感度」が高いと、ペースが合いません。ですから、ペースを合わせるために、こちらも「感度」を落とすのです。

強引に話題を「変えさせない」ようにすると、相手を怒らせることになるかもしれないので、こちら側も「話は変わるけど」の後に出てきた話をスルーします。そのために心掛けることは3つ。

■ レスポンスしない

■ リアクションしない/相づちを打たない

■ そっぽ向く/気持ちをそらす

相手が「話は変わるけど」と言ってから話す内容を、とにかく聞かないことです。気持ちをそらし、無反応、無関心、無表情でスルーします。そしてまた自分の話したい話題を持ち出すのです。

妻:「ねえ、今度の日曜日にお母さんが入院している病院へ顔を出してみない? まだ今年になってから行ってないから」

夫:「ああ……」

妻:「昨日、お姉さんからも電話があって、何か話があるみたいだったし」

夫:「そうだなァ」

妻:「……」

夫:「そういえば話は変わるけど、来週の月曜日から北海道に出張になったから」

妻:「……」

夫:「隣の部署のKさんが急きょインフルエンザにかかったみたいで、俺が代わりに出張することになった。まいったよ、他に仕事もたまってるから、急に出張だなんて」

妻:「……」

夫:「子どもたちもインフルエンザ、大丈夫かな。流行ってるみたいだし」

妻:「……日曜日は、朝から廃品回収があるから、それが終わってから病院へ行ってみない? 午後からは用事があるから、午前中がいいな」

夫:「え」

妻:「日曜日の朝の廃品回収、覚えてるでしょ?」

夫:「あ、ああ……。覚えてるよ」

妻:「お母さん、果物が好きだから、土曜日にスーパーへ行って買ってくるわ」

夫:「……わかった。ありがとう」

イライラせず、気をそらすためには、火がついた怒りやイライラを一瞬だけ抑える「衝動コントロール」の方法で紹介した「グラウンディング」を使ってみるといいでしょう。「グラウンディング」とは、意識をある物事・事象にフォーカスさせ、怒りやイライラの感情を強制的に他へ向けることです。とっさに身の回りにあるものに目を向け、細かいディテールに意識を焦点化させるのです。

相手がスルーしたら、こちらもスルーする。こちらが感情をコントロールできないと、相手も感情的になってしまう可能性もあるからです。ビジネスの現場でも同じです。「話は変わるけど」と言われても、話を変わらせないよう、うまく立ち回りたいものですね。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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