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LINEやメールで会話するとイライラする「4つの要因」

横山信弘経営コラムニスト

人と話をしていて、この人とはいつも「話が噛み合わない」「会話がゆがむ」と感じることがあります。これを読んでいる方の中にも、周囲に1人や2人はいることでしょう。どんなに雑談であっても、必ず話の論点となる「幹」があります。そして「幹」から「枝」が出て、「枝」から「葉」が出ています。

たとえば相手に伝えたい話の「幹」が、

「アジアカップのヨルダン戦で、サッカー日本代表の香川選手がついにゴールを決めた。良かった」

だとします。これが話の論点です。そしてここから「枝」が出てきます。

「香川選手のゴールをチームメイトたちが祝福していた。感動的で、テレビ観戦していて興奮した」

さらに、この「枝」から、いろいろな「葉」が出てきます。

「ゴールキーパーの川島選手が、自陣ゴール付近から100メートルもダッシュして香川選手を祝福していたのは印象的だった。本田選手も”真司がトンネルを脱出できてよかった、ホッとしている”とコメントしていたよね」

これらの「枝」や「葉」を話してから、もう一度「幹」に戻ります。

「いろいろな意味も含めて、香川選手がゴールを決めたのは、本当に良かった」

……と、こうなります。

この話を聞いて、正しく話を噛み合わせるためには、「幹」に合わせていくことが基本です。

「君は昔から香川選手のファンだったから、すごく嬉しいんだろう。俺もテレビを観ていて興奮した」

となります。この「幹」に合わせたあと、「枝」や「葉」に絡んでいけばいいのです。しかし、相談相手にならない「危険人物」4つの特徴に書いたとおり、いつも話が噛み合わない危険人物は、話の論点である「幹」や「葉」に食いついてきます。そのため、会話がゆがんでいくのです。

顔を合わせて話しているときは、会話の「ゆがみ」を微調整できますが、LINEやメールで会話をしていると、リアルタイムに微調整ができません。しかも、タイムラグがあると、相手にいろいろなことを想像する余地を与えてしまうのです。

先ほどの話題を、危険人物とLINEでやり取りした会話例を書いてみましょう。(LINEでの会話なので、どうしても短文になります)

A:「香川ゴール!最高!川島GK前から100mダッシュ。本田もホッとしたと」

B:「本田の敬礼パフォ、ワロタw」

A:「本田の敬礼て?」

B:「知らないの? 岡崎とやってる」

B:「この動画みて」

B:「本田はポストに当てるのうまいな」

B:「UAE戦で本田は何度ポストに当てると思う?」

Aさんは、「アジアカップのヨルダン戦で、サッカー日本代表の香川選手がついにゴールを決めた。良かった」――この話をメインにBさんと会話をしたかったのですが、一度のメッセージに「枝」も「葉」も含めてしまったため、Bさんは「葉」に食いついてしまいました。

Bさんは「本田」という単語だけをとらえ、本田選手がゴール後に披露した「敬礼パフォーマンス」を思い出したのでしょう。話の論点を強引に「ゴールパフォーマンス」に捻じ曲げています。さらに、Aさんが返信する前に、自分の話の論点まで捻じ曲げ、「本田」という単語で連想して「ゴールをポストに当ててばかりいる」と話題を転換しています。しばらくしてからスマホでLINEをチェックしたAさんは、もうこの会話についていけません。会話がゆがみ過ぎているからです。

メールでも同じような現象が起きますが、LINEではさらに会話をゆがませます。その要因は以下の4つです。

● 会話の「ゆがみ」の微調整をリアルタイムにできない

● 短文であるため、修飾語を省略してしまいがち。微妙なニュアンスが伝わらない

● 相手のレスポンスを待たずに連続してメッセージを送ることができる

● 会話にタイムラグがあるため、相手に話の論点とずれた想像を膨らませてしまう余地を与える

重要なことは、「幹」「枝」「葉」――それぞれが「センテンス」であることです。「ワード(単語)」ではありません。センテンスは、複数のワードを繋げて構成されています。センテンスは「線」であり、ワードは「点」だと考えるとわかりやすいでしょう。センテンスの構成要素が合っていけば、話は噛み合いますが、ワードが合っているだけだと、その「点」を中心に話が捻じれていきます。

いつも会話がゆがむ危険人物とは、たとえ雑談でも電話などのコミュニケーション手段を使ったほうがイライラすることは少なくなります。一番良いのは面と向かって話すことです。雑談ではなく、真剣に相談をしたい、お互い協力し合って問題を解決したい、というケースであれば、なおさらです。危険人物とはLINEやメールだけで会話をしないほうが賢明です。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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