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話が噛み合わない人……必要以上に掘り下げて反応するパターン

横山信弘経営コラムニスト

「話せばわかる」と言いながら、どんなに話をしても話が噛み合わない人はいます。その原因はいろいろなパターンがありますが、今回は、必要以上に難しく考え、やたらと掘り下げたがる人について考察していきます。悩みを相談しているのならともかく、軽い雑談のつもりで話したにもかかわらず、必要以上に詮索・深掘りをしようとする人はいるものです。次の会話文を読んでみてください。

A:「この前、うちの娘が嵐のCDを学校に持っていったら、先生に没収されたみたい。バカよね~、娘ったら」

B:「先生に没収された? 先生なら何をやってもいいんだろうか?」

A:「え?」

B:「CD取り上げられて、まだ返してもらってないの?」

A:「そうだけど……。昨日の話だから、今日には戻ってくるんじゃないの」

B:「その先生って、過去にもそういった横暴なことをしたことあるのかしら」

A:「横暴って……。大げさな」

B:「そういうことって、うやむやにしたらダメだと思う。ちゃんと調べたほうがいいんじゃない? いつやってきた先生?」

A:「今年の4月だと思うけど」

B:「前の学校でもトラブル起こしていたかもしれないよ」

A:「冗談でしょ。会ったけどあるけど、いい先生よ」

B:「何回、会ったことあるの? 1回だけでしょ。1回だけじゃ、化けの皮をはがすことなんてできっこないから」

A:「えええ」

B:「同じクラスのお母さんを集めて、今年になってからどれぐらい生徒のものを没収してきたか調査したほうがいいって」

A:「ちょっとちょっと……」

B:「没収した生徒の私物をネットオークションに出品して儲けてる先生だっているんだから」

A:「考え過ぎよ」

Bさんの不必要な詮索に、Aさんは辟易しています。おそらくAさんは、次のような軽いタッチの反応を期待したのではないでしょうか。

A:「この前、うちの娘が嵐のCDを学校に持っていったら、先生に没収されたみたい。バカよね~、娘ったら」

B:「いま、中学生だっけ」

A:「そうそう。中学1年」

B:「中学1年だったら、アイドルに夢中になってもおかしくないわ。誰のファンなの?」

A:「確か松本潤だったと思う」

B:「やっぱりマツジュンよねェ~。桜井君もいいけど」

A:「娘がふてくされてるから、先生、はやく返してもらえるといいけど」

B:「先生も嵐のファンなんじゃないのォ」

A:「そうかも~」

いろいろなことを難しく考えたり、分析・調査したくなる人はいます。ある意味、職業病の人もいます。私の同業、つまり経営コンサルタントは、その典型例でしょう。以前、同業のコンサルタントと一緒にラーメン屋へ入ったときのことを思い出します。

私:「ここの店は塩ラーメンが美味しいんですよ。550円でこの味なら、お得でしょう?」

知人:「うーん、確かにそうなんだけど、それでこの店はやっていけるんだろうか」

私:「え?」

知人:「安くて美味しいから行列ができているけど、店内にはカウンターしか席がない。ランチの時間帯が11時半から14時半の3時間。この時間の中で、どれぐらい客が回転するか、だよね」

私:「まァ、そうですが」

知人:「メニューが7種類、サイドオーダーが12種類。これだけメニューがあると選択するのに時間がかかり、客の回転率は悪くなる」

私:「はァ……」

知人:「さらに、こんなにもメニューがあると、仕入れにも手間がかかる。このままだと効果効率的な経営から遠ざかっていくだろう。それに、夜も遅くまで営業している。十分な利益が上がらないせいだ」

私:「……」

知人:「ザッと計算すると、あと150円単価を上げるべきだ。つまりこの塩ラーメンを700円にしてトントンだ。このあたりの駅周辺は再開発対象となっているから、土地代も上昇傾向にある。150円アップでは足りないかもしれないが」

私:「もう、ラーメン食べたらいかがですか?」

知人:「競合も多いよね。ここの亭主はSWOT分析をしたことがあるのだろうか。価格優位性だけで勝てる業界だと思えない」

私:「わかりました、わかりました。そんな話を聞いてると、美味しく食べられませんよ」

話を噛み合わせる、ということは、相手の調子に合わせる、ということです。相手が何を望んで話をはじめたのかをいち早く察知し、相手とペースを合わせて(ペーシング)応対することがお互いの関係をよくするうえで重要なことです。

ビジネスの現場においても、よくある話です。会議中、すでに結論が出ているのにもかかわらず、詮索好きな中間管理者が

「それでいいんだろうか?」

「結果がよければ、すべていいのか?」

「スタッフ全員にヒアリングしたほうがよくないか?」

「今回は結果的にうまくいったからよかったものの、そうでなければどうなっていたか?」

重大な事案に関してならともかく、ちょっとしたことでも掘り下げて考えすぎる人はいます。正直なところ、「そこは掘り下げなくてもいいだろう!」「調査・分析すべきところはもっと別にある!」と突っ込みたくなるケースは多々あります。

このような人は、不必要なタイミングで「いつ?」「誰が?」「何を?」「どこで?」「どのように?」「どうして?」……等と「オープンクエスチョン」を繰り出してきます。やたらと難しく考え、詮索しようとする人は面倒くさい人と思われてしまいます。とりわけ軽い雑談に対しては、軽妙なレスポンスができるよう意識していきたいですね。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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