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チームの成績に強く影響する「場の空気」とは?

横山信弘経営コラムニスト
チームの成績が上昇するかどうかは、「場の空気」によって変わる

「場の空気」とは何か?

私は企業に入り込んで目標を絶対達成させるコンサルタントです。研修講師ではなく、実際にコンサルティングして結果を出すわけですから、その際、とても重要視するのが「場の設計」。どんなテクニックよりも、まず「場の空気」を良くすることから支援はスタートします。「場の空気」が悪いと、うまくいくはずのことでも、まったくうまくいかないからです。

今回取り上げる「場の空気」とは、集団の価値観・判断基準のこと。特定の脳の神経細胞(俗称:ミラーニューロン)が原因で、人は近くにいる人の言動のみならず思考までも無意識にモデリングします。「あたりまえ」「普通」「そういうもの」で表現されるような事柄です。良くも悪くも「空気」は目に見えません。誰からも意識されないもの。その「場」において、あたりまえのこと、常識的なことなのですから、無意識のうちに人は価値判断して、動かされていくのです。たとえば以下の事例で考えてみましょう。

「大きな声で挨拶する」

「期限どおりに資料を提出する」

「悩んでいる人がいたら声をかける」

「上司からの依頼を引き受ける」

「目標を達成する」

その「場」にいる人、チームのメンバー、誰もが大きな声で挨拶しているのであれば「大きな声で挨拶する」ことに躊躇する人は少ないでしょう。「上司からの依頼を引き受ける」ことも同じです。それが「あたりまえ」だと感じ、「そういうもの」だと誰もが受け入れているのであれば、多くの人がその価値基準に違和感を覚えません。

ところが場の「空気」によっては、「やらない」「受け入れない」という選択もできます。「目標達成なんて言われてもムリ」「上司から言われたこと全部やってたら日が暮れる」「期限どおりに提出しろと言われてもできないときだってある」と無意識のうちに感じてしまうこともあり得るのです。

「場の空気」を調べる方法

「場の空気」によって価値基準が歪んでいるかどうかを調べる方法はあります。方法は簡単。そのチームの採用面接があったとして、その面接中に提案されて受容できるかどうかで考えてみましょう。

たとえば新しい会社へ入るとき、「当社は全員が目標を達成するが当たり前だと考えている」と面接官に言われて「冗談じゃない。目標はあくまでも目標で、達成できるかどうかなんてわからない」などと反論するでしょうか。たとえば新しいスポーツチームへ入るとき、「練習であっても身だしなみはキチンとしてほしい。だらしない恰好はダメだよ」とコーチに言われて、「試合ならともかく、練習でも身だしなみに気を使うだなんて信じられない」と受け取るでしょうか。多くの場合、「わかりました」とだけ返事をすると思います。

ところがいったんチームの一員となり、周囲が「目標なんてまるで達成する気がない」という素振りを見せていると、いつしかその態度に「感化」されていきます。身だしなみの悪いメンバーが多ければ、自分も許されるだろう、少しぐらいだらしなくても許容範囲だ、と考えていくかもしれません。つまり最初の「価値基準」から少しずつ歪んでくるということです。これが「場の空気」の影響です。

別の例を書いてみます。

たとえば新しい会社へ入るとき、「当社は長く残業した人を評価する。手当は出ないが、それが当たり前だ」と面接官に言われて「そうだな。時間外労働をやったほうが上司からのウケはいいだろう」などと賛同するでしょうか。たとえば新しいスポーツチームへ入るとき、「ユニフォームは1着25万円。練習用と試合用と2着買うように」とコーチに言われて、「チームに溶け込むには当然の経費だ」と受け入れるでしょうか。ほとんどの人が、「残業が多いほうが評価されるなんておかしい」「そんな高額のユニフォームが必要なんて困る」と考えることでしょう。

ところがそれでもチームの一員となり、残業ばかりしている人に上司が「頑張ってるじゃないか」と声をかけている姿を見ると、いつの間にか自分も仕事がないのに残業をするようになるかもしれません。ユニフォームも同じです。メンバー全員が高額なユニフォームを身に着けていて、「高いけど仕方がない」と言っているのであれば、何とかお金を捻出して購入しようとするかもしれません。この場合も、最初の「価値基準」から歪んでいるということです。これも「空気」の影響です。

「空気」の影響は経過した時間に比例して強くなります。現状のチームの空気に疑問を感じたら、いったん時間をリセットして考えてみましょう。もし、時間リセットが難しければ、「場の空気」にまったく馴染みのない人に尋ねてみることをお勧めします。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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