驚くようなキャッチコピー/キャッチフレーズの作り方
驚くようなキャッチコピーは脳に「空白」を作る
世の中には、人を惹きつけるようなキャッチコピーがたくさんあります。新聞や雑誌の記事タイトル、ネットのニュースのタイトルにも興味深いキャッチコピーが並んでいます。商品の広告、映画のポスターでは、キャッチコピーの威力によって、集客やアクセス、そして売上、利益も左右させますから、とても重要なファクターと言えるでしょう。
(※今回はキャッチコピーとキャッチフレーズの違いに関しては言及しません)
目を引くキャッチコピーは、「!」や「?」が頭の中をよぎるものです。特に脳に空白ができると、人間は無意識のうちにその空白を過去の体験で埋めようとします。これを「脳の空白の原則」と呼びます。ところが過去の体験で埋められないような空白ができると、その空白を埋めようとして人は能動的に行動を起こします。ですから、秀逸なキャッチコピーは人を駆り立て、実際に動かすのです。心を動かすのみならず、リアルに行動を起こさせるのです。
キャッチコピーを作るうえで「センス」や「感性」はとても重要ですから、日ごろからセンスを磨くことは大切です。秀逸なキャッチコピーに多く触れることを常に心掛けたほうがよいでしょう。ただ、「心掛け」だと再現性がありません。コンサルタントですから、もっと再現性のあるテクニックを披露したいところです。どんなキャッチコピーを作るうえでも活用できるわけではありませんが、再現性のある方法として考えられるのは「驚くような相関関係を見つける」ことです。
「因果関係」と「相関関係」
「A」と「B」との関係が成立する場合、「原因」と「結果」が明らかであるケースを「因果関係」がある、と表現します。「相関関係」とは、「A」と「B」の変化に類似性があるものの、双方に因果関係が認められない場合を言います。
たとえば、
■ 年間のコンビニ来店者数が増えると、おにぎりの年間売上もアップする (これは因果関係)
■ 年間のコンビニ来店者数が増えると、雑誌の年間売上もアップする (これは因果関係)
■ おにぎりの年間売上がアップすることと、雑誌の年間売上がアップすること (これは相関関係)
「相関関係」とは統計学で使われる語句です。2つの変数の関係を散布図などを利用して調べることで明らかになります。「ビッグデータ」を利用することで、いろいろな相関関係を調べることも可能になってくるでしょう。
先述したとおり、目を引くキャッチコピーを作るためには、鑑賞する人の脳に空白を作ることができればよいのです。しかし、驚かせたいと言っても嘘をつくことはできません。そこで、もしも相応の量の過去データがあれば、珍しい相関関係を見つけるのです。調査機関が公表している統計データなども参考にするとよいでしょう。
驚くような「相関関係」の事例(架空)
以下のような「相関関係」を発見ができれば、興味深いキャッチコピーを作ることも可能です。(以下の事例は架空のものです)
● 夜中にアイスクリームを食べる人は、40代の女性が最も多い!
● 本田圭佑のファンは、アマゾンより楽天でショッピングする!
● 「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」にハマる人は、豚骨ラーメンが好き!
● 小顔にしたがる女性ほど、篠田麻里子ヘアを意識する!
● 愛煙家ほど、スターバックスよりセブンカフェをよく利用する!
(繰り返しますが、すべて架空です)
このような「え! 本当に?」「どうしてそうなの?」と疑問を抱くような相関関係を見つけられるとニュース性が高まります。人を惹きつけるキャッチコピーに仕上がるのです。
明石家さんまさんの「ホンマでっか!?TV」では、まさに「え? 本当に!」という情報が多数紹介され、視聴者の興味・関心を釘付けにします。これらの驚くような情報を、統計データを元にして専門家が見つけ、紹介するという流れで番組が進行しています。
嘘やねつ造はいけませんが、「因果関係」を重ねたり、珍しい「相関関係」を探すことで、驚くようなキャッチコピーを作ることができるでしょう。ただ、それによって集客や売上アップの効果を確実に期待できるかはわかりません。いつの時代もプロモーション戦略に絶対はないですから、常にテストマーケティングが不可欠です。「このキャッチコピーで当たらなかったら、もう諦める!」「このキャッチフレーズにすべてを賭けた!」という余裕のない姿勢がうまくいかない典型例です。キャッチコピーに「遊びの要素」を持たせるためにも、作り手の精神にも「遊び」がなければいけませんから。