組織風土改革の手法と3つのポイント

組織風土を改善として「チームが一体」となれるか?

「組織風土」とは何か?

組織風土を変えたい、組織風土を改善させたい、というニーズはどこの企業にもあるものです。実体のないこの「組織風土」という名の空気によって、組織が実力以上の成果を上げることができたり、反対に本来のポテンシャルを下回るような結果しか出せないこともあるからでしょう。組織風土が劣悪だと、優秀なメンバーで構成されながらも、正しい意思決定ができなくなる「集団思考」「グループシンク」といった状態に陥ることもありますから大切な概念です。それでは組織風土とは何でしょうか? 簡単に解説しますと、組織構成員・メンバーの平均的な価値観のことです。組織によって、これまでに培われた価値観・慣習は異なるため、組織風土を変えようと思っても一筋縄ではいきません。

組織の共通価値観を測る

たとえば、会議中にあるメンバーが「今日コンビニでチョコレートを万引きしたんだけど、あそこのコンビニって万引きしやすいよね」と言い始めたとします。それを聞いたあなたはどのような感覚を抱くでしょうか。「へェ、あのコンビニは万引きしやすいのか」と思うでしょうか。それとも絶句して、他のメンバーと顔をしばし見合わせますか。おそらくほとんどの人は後者であろうと思います。学生であろうが社会人であろうが、たとえ盗んだチョコレートが100円ぐらいの安価な代物であろうが関係ありません。「万引き」は犯罪。許される行為ではありません。「万引きは犯罪だぞ。何を考えているんだ」と問いただす以前に、そのようなメンバーが組織内にいること自体、信じられないと誰もが感じることでしょう。その発言によって会議室は異様な空気に包まれ、発言者以外のほぼ全員が極度の居心地の悪さを覚えるはずです。

次に、会議中に「チョコレート」を取り出して食べはじめたメンバーがいたとします。それについては、いかがでしょうか。「甘いものを食べたほうが脳が活性化するから、いいんじゃないか」と思うでしょうか。それとも「普通、会議中にチョコレートなんて食べるか?」と疑問を感じるでしょうか。多くの人は後者であろうと思います。ただ、「万引き」の事例ほどの違和感を覚えることはないでしょう。私は現場に入り込むコンサルタントです。これまでに数え切れないほどの企業の会議にオブザーバー参加していますが、会議中にチョコレートを取り出して食べた人を見たことはありません。「ブレーンストーミング」のようなディスカッションをするため、あえてチョコやお菓子をテーブルに置き、リラックスしながら議論しましょう、という特別なスタイルの会議の場合は別です。しかし一般的には、チョコやスナック菓子をおもむろに取り出し、むしゃむしゃ食べながら会議に参加する人は極めて稀です。ペットボトルのお茶や缶コーヒーぐらいを飲みながらの参加が一般的でしょう。「万引き」ほどの拒否反応を抱くことはないにしても、そこにいるメンバーたちは、多少の居心地の悪さを覚えるはずです。

続いて、会議に遅れてきた人がいたとし、その理由が「コンビニでチョコレートを買ってきた」だったとすると、あなたはどのような印象を受けるでしょうか。チョコを万引きしたわけでもなく、会議中にチョコを食べるわけでもないのですが、遅刻の理由が「チョコレートの購入」です。それほど強い違和感を覚えないかもしれませんが、多くの場合、「そんな理由で会議を遅刻するなんて、おかしいじゃないか」と言いたくなるでしょう。ただ、「しょうがない奴だな」と思うぐらいで、その場にいづらくなるほどの拒絶感を覚えることはないかもしれません。

最後に、会議に遅れた人がいて、その理由が「お客様への電話対応」だったとしたら、どうでしょうか。「それならしかたがない」と思う人もいれば、「緊急の電話ならともかく、そんな理由で会議を遅刻をするな。気をつけたまえ」と怒る人もいるでしょう。ただ、このシチュエーションはどんな組織にもありがちです。会議の種類によっても、感じ方が異なるかもしれません。会社の株主総会、社長が出席する経営会議、課長が主催する定例会議……。会議の種類によっては「許されない」場合であったり「許容範囲内」の場合もあるでしょう。

このように明文化されたルールがなくても、組織内にただよう「空気感」が組織の行動を抑制したり、意思決定に重要な役割をしています。「空気感」とは、「ここまでは許容範囲内だけど、ここからはさすがにマズいだろう」という組織内で通じる常識的感覚のこと。「万引きが許容範囲内」という組織はまずないでしょうが、会議中における嗜好品の飲食、緊急でも重要でもない私用が理由での遅刻が許容範囲内かというと、微妙な会社もあるはずです。「お客様との電話」が理由での遅刻も同様です。

組織風土を改善する3つのポイント

「空気感」は組織によって異なっても良いと思います。しかしもし今の組織風土を改革したいというのであれば、この組織にとっての常識観――何が「普通」で何が「当たり前」なのかを明らかにし、修正し、統一化していく必要があります。「古い空気」を「新しい空気」に入れ替えていく作業です。それでは組織風土を変えるうえでのポイントをまとめます。

 1)既成概念を凌駕する圧倒的な「量」の刷り込み

 2)6ヶ月以上の中長期的なビジョン

 3)「組織診断サービス」を1回実施するだけではダメ

組織風土改革のポイントとして、まず第一に「組織風土診断サービス」だけに依存するのはやめましょう。組織診断サービスというのは、現状の風土を測定してくれるだけです。組織にとっての本来の常識観を醸成してくれるわけではありません。結局は風土改革の担い手は、経営者や管理者といった組織の長に委ねられます。それに間違って運営すると副作用もあるため十分な注意が必要です。最も大きな間違いは、被評価者を限定して組織診断を実施し、それをそのまま人事評価に活用してしまうことです。最悪の場合、上司と部下、同僚たちが疑心暗鬼になり、お互いの関係をギクシャクさせる事態に発展します。

組織の「空気」を診断・測定する「空気測定器」だけではダメなのです。「空気」を清浄化し、維持する「空気清浄器」が必要です。当社はそれを仕組みとして持っていますが、そのような「空気清浄器」がないのであれば、何と言っても相互コミュニケーションが重要です。もしネガティブな「空気」を入れ替えたいというのであれば、既成の思考の「3倍以上」は刷り込むように働きかけましょう。1回や2回、方針発表会や朝礼で言ったとしても組織内の「空気」が変わるはずがありません。

「目標はあくまでも目標なので、できる範囲でやればいい」

「逆立ちしたってできないような目標を設定した社長がおかしい」

「無理したって、いいことなんてない。給料が増えるわけでもないのに」

という言葉がメンバー間で交わされ、周囲の人が何とも思わないのであれば、その組織の「空気」はかなり後ろ向きになっています。そのため、

「目標達成に向けて当たり前のように取り組む組織のほうが健全だし、楽しい」

「過去の延長線上の目標を設定してしまうと、過去の考え方から脱却することができず、よけいにストレスがかかる」

「時には無理をしないと、無理がきかなくなる」

このような発言を、前述のネガティブ発言の3倍ぐらいはするよう仕向けていきます。「量」で圧倒することで、多数派を形成させられます。「空気」を入れ替えていくのです。ただ、ブームで終わってはいけませんので、6ヶ月や1年は「新しい空気」を入れ続けるようにしましょう。まさに、「長いものに巻かれる」の「長いもの」を作るような感覚で、新しい組織の文化を醸成させていくのです。

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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