時代は変わった 問題解決ができない人たちを企業はどうするべきか

問題解決できない人が増えてきた(写真:アフロ)

問題解決できない人が増えています。なぜ、そうなってしまったのか、それは良いことなのか。社会の変化に合わせて、必要なビジネススキルも変わりますが、同時に大きなリスクを抱えることになります。

問題解決できない人が増えてきた

ビジネス・パーソンのスキルの中でも、問題解決スキルは必須のスキルと言ってもいいものです。しかし、最近のビジネス・パーソンには、このスキルが不十分な人が増えてきました。そう思っている方も多いと思います。

この要因の一つに、1990年代から始まっている社会システムの充実があると思います。私たちが仕事をしたり生活をしたりする時、周囲にあるシステムがしっかりとバックアップしてくれているからです。

例えば、仕事で何か大きな決定をするときには、第三者のレビューがあり、上長による承認システムがあります。問題が発生しないような仕組みが整っているのです。品質管理、リスクマ・ネジメント、コーポレート・ガバナンス、内部統制などの充実です。

また、実際に問題が発生したとしても、すぐにアラートを出す流れができており、それに応じた手順書や事例集もすぐに調べられる環境にあります。実際、何かあれば「ググればいい」と思っている人は多いと思います。イントラネット、社内データの蓄積と共有、スマートフォンなどの充実です。

企業は企業で、従業員に多くを期待しなくなってきています。与えた仕事に集中させるために、勝手な行動を取らないような徹底した官僚的組織を構築しています。そうやって、ビジネスモデルを守る牙城を築いてきました。

問題には2つある

ビジネスで遭遇する問題には、2つの種類があります。1つは答えのある問題で、もう1つは答えのない問題です。問題を解決すると言っても、種類によって手段が全く違っています。問題解決スキルとは、両方のスキルを言うのであって、片方だけで満足してはいけないのです。

答えのある問題は、答えを探す必要があります。思い出したり、調べたり、聞いたりして、答えを探し出す必要があります。その答えには、正しい答えと正しくない答えがあります。正しい答えのみを当てはめるべきです。

答えのない問題は、答えを創る必要があります。発想したり、空想したり、妄想したりして、新たな策を創りだす必要があります。その策には、優れている策と劣っている策があります。状況によって、どちらを当てはめるべきかが変わります。

社会システムがバックアップしてくれるのは、多くの場合、答えのある問題のほうです。サンプル事例があり、模範があり、それに忠実にトレースし、再現できれば解決できるような問題です。

思考停止の悪循環

マニュアルや手順書は、熟練者の思考や行動を形式知化したモノです。本来、脳内で行うべきプロセスをアウトソースし、思考作業を補っているわけです。これは、未熟者のためにあったり、熟練者でも正常な思考ができなかったりした時のためにあるモノです。

これらに頼り切ると、やがて脳は思考する能力を手放します。他力依存型の脳ができあがりです。現象に反応する行動しかできなくなります。マニュアルにない、手順書にない現象が発生すると、思考と行動は停止します。マニュアルや手順書がより充実してくると、思考はますます停止するようになるのです。

では、問題解決ができない人はどうしているでしょう。代わりのスキルとして身に付けているのが、検索スキルと申告スキルです。会議中にクリエイティブなアイデアを発言することはありません。まず、ネットで検索したり、データを閲覧したりして、事例と前例をみつけて、こういうのが過去にあると紹介するだけです。

また、自分で主体的に考えることを諦め、「教えてもらっていない」とか「できない」とか申告し、どこの誰に、何を言えばサポートが得られるかを知っているのです。ここまで来ると、もはや問題解決スキルではありません。

答えのない問題の解決スキルとは

変化の激しい時代は、過去の事例、蓄積やパターンは役に立たないものです。つまり、答えのない事態が発生しやすいということです。もう、すでに大きな変化が始まっている業界や企業もあります。

企業としては、創造的問題解決のスキルを自社内に構築しておくべきです。答えのない問題を解決できる社員を育成し、社内体制を整えておくべきです。問題が発生してからでは、遅いのです。

先日、ある企業から相談を受けました。状況としては、問題が発生してしまっています。当然、社内に創造的問題解決スキルの熟練者はいない状態です。もっぱら、止血することに多くの時間とエネルギーを費やすことしかできません。もっと早いうちから準備しておけばよかったと後悔しても、もう遅いのです。

別の企業は、その逆で、いち早く導入を始めました。私は、スキル教育だけでなく、風土をつくり、制度をつくり、組織をつくりました。今もその企業では、従業員による改善提案が次々と上がってきています。時代の変化に敏感に対応できる企業になりました。

問題解決の専門家を育てる

今日のポイントです。

答えのない問題を解決できるスキルを身につける

企業であっても、個人であっても、いまの充実した社会システムに依存してしまわないように、自らのスキルで賄えるようにしておくべきです。

なぜなら、その社会システムの枠の中でしか生きていけないからです。その枠から出ざるを得なくなる状況が明日にでも訪れるかもしれないからです。もしかしたら、社会システムそのものがなくなってしまうかもしれません。

だから、正しく問題解決スキルを身につけるべきなのです。私が推奨している「ファンクショナル・アプローチ」でもいいし、他の方法論でもいいと思います。とにかく、答えのない問題に直面したときに思考が停止したり、業務が停止したりしないようにすることです。

みんなで羊のように群れるだけでは、目指す地点にたどり着くことは、到底できないでしょう。