【築地から豊洲へ】犯人探しよりすべきこと|改善士の見方

築地市場移転プロジェクトのFASTダイアグラム

築地市場から豊洲市場への移転が延期になりました。そこで、ファンクショナル・アプローチで分析してみました。そもそもの問題は2つ、今すべきことは3つです。

問題は2つある

8月31日に、小池百合子東京都知事が移転延期を公式発表しました。豊洲市場の事業費は、2011年2月の3,926億円から、2015年3月の5,884億円へと増えていること、土壌汚染対策が適切かどうかの確認がまだであることが、主な延期の理由です。

そして、9月10日には、土壌汚染対策の説明内容がおおきく食い違っていたと緊急会見をしました。

しかも、場内の移動手段ターレー(ターレット・トラック)の渋滞発生、解体作業や荷捌きスペースの不備、床の強度不足などを指摘する人もいます。

膨らんだ事業費、汚染に対する安全性、構造の不備、それに、都の情報公開や説明の仕方、変更や決定の不透明なプロセスなど、新たな問題として浮上してきているのです。

いろいろいな問題があるようですが、問題の構造をみれば、問題は2つです。成果の問題過程の問題です。

ビジネスの問題解決と同じ

成果の問題は、与えられた時間とコストの範囲で、要求された性能を満たしているかどうか。いわゆる「QCD」です。問題があるなら、最適解を見つけて、いち早く対処することです。

過程の問題は、変更や追加に対する、検討と決定の手続き(プロセス)が適切だったかどうかです。いわゆる「PDCA」です。問題があるなら、原因を突きつめて、是正することです。

ビジネスで発生する問題解決と同じです。冷静に判断していかないといけません。重要なのは、成果の問題と過程の問題は、分けて考えることです。

いま、すべきことは成果の問題に対する解決です。そのあとで、原因の追及、是正や処分、再発の防止を行うべきです。

たとえていうなら、「病人なら、まず止血」「火事なら、まず鎮火」「災害なら、まず救助」です。そこに至る手続き論や感情論は、二の次です。

手段で議論するのではなく、目的で議論すること

そこで、成果の問題に着目して、ファンクショナル・アプローチを使った分析をしてみました。

この分析法は、すべてのカタチファンクションに置き換えるところが特徴です。置き換えることで、よりクリエイティブに分析でき、議論が深まり、よりよい改善ができるからです。

それを整理したものが、冒頭のFASTダイアグラムです。右に行くほど手段(カタチ)を示し、左に行くほど目的(ファンクション)を示すロジックツリーです。

ここから判ることは、移転において、必ず達成しなければならない事項(キー・ファンクション)が、5つあるということです。それは、次のとおりです。

構造安全性を高める

利便性を高める

衛生安全性を高める

経営負担を減らす

環境負担を減らす

そもそも、現状の築地市場の何が問題だったかというと、2つです。《構造安全性を高める》コトと《利便性を高める》コトです。

この2つの役割が、今の築地では、実現困難な状態に来ているからです。ほっておくと、老朽化による崩壊の危険性と、不便さによる利用離れにつながっているからです。それが、豊洲市場への移転理由なのです。

いま、移転直前となって、確認しなければならないのは、2つのキー・ファンクションが改善されたかどうかと、残りの3つのキー・ファンクションが要求の水準に達しているかどうかです。

改善余地は確かにあった

2011年と2016年の事業費を、この5つのキー・ファンクションに分け、それぞれの達成の度合いを数値化することで、価値を判定することができます。

アプローチ・チャート法
アプローチ・チャート法

あきらかに、《構造安全性を高める》方法と《利便性を高める》やり方の価値が低くなりました(ランクA→ランクC)。改善余地があることを示しています。

プロジェクト・マネジメントができていなかったということです(内訳は【勝手にFA】豊洲市場移転プロジェクト参照)。最適解を見つけて、いち早く対処することです。

今すべきことは3つ

今日のポイントです。

問題解決は、犯人探しよりも、解決が優先

問題解決は、犯人探しをするよりも、問題を解決するほうが優先されなければならないからです。

すぐに始めなければならないことは、3つです。ファンクションの達成の確認必要な改善策の決定、そして、リスケジューリングと費用の計算です。

あとは、オープンに向けて確実に実行することです。

ファンクショナル・アプローチには、「使用者優先の原則」というのがあります。まさに、今すべきことは、使用者の立場に立った判断です。

長い目で見れば、築地市場は新しく生まれ変わるしかないのです。多少の苦労と負担が発生するのは当たり前です。

今を担っている私たちは、次の世代のために、時間とコストと知恵を使って、良いものを遺していく必要があると思います。