そこじゃない!「満員電車ゼロ」の方策

(写真:アフロ)

満員電車は、通勤・通学の人々にとって大きなストレスであり、社会活動から見れば大きな損失が発生してしまっている問題です。

本質はそんなところにはない

小池百合子新都知事の公約でもある「満員電車ゼロ」ですが、それ自体反対する人はほとんどいないでしょう。

しかし、東洋経済ONLINEに掲載された「都知事公約「満員電車ゼロ」は、こう実現する 小池新知事のブレーンが5つの方策を提示」に対して、欠点だらけだと多くの非難が集まっています。

記事には、総2階建て車両に対し、時空間的に密度を高める5方策が示されていますが、これは「方策」ではなく「着眼」のレベルです。

方策とは十分洗練された実行案で、着眼とは洗練する前の思いつきです。

示された5つの着眼は、どれも車両運行の徹底的な効率化を追求するアイデアとして、私は悪くないと思います。

今後、洗練されていけば、欠点のない実現可能な方策になるでしょう。

ただ、本質はそんなところにはないのです。

手段ではなく目的から考えるべき

どの方策も、交通システムの下流である「手段」の部分ばかりなのが残念です。製造業で言うムリ・ムダ・ムラを取り除く案ばかりです。

これは、IETOCのような効率化を目指すアプローチであり、結果として発生した目先の現象に対応しているにすぎないということです。

「そもそも満員電車ゼロは誰のため?何のため?」で考えて欲しいところです。

本来は、まず交通システムの上流である「目的」の部分から考えていくべきです。そこは、ファンクショナル・アプローチの専門家として、強く指摘したいところです。

満員電車は、電車の性能や運行方法も影響しますが、そもそも通勤者の発生量や、通勤の時間的な集中と路線的な集中の問題です。

そういった視点からの方策を考えれば、まだまだ着眼は増えるはずです。

さらに言えば、「そもそも出社は誰のため?何のため?」なのでしょうか。出社する目的や職場、働き方という概念にまで踏み込んだ着眼があってもいいと思います。

満員電車をゼロにするよりも、通勤を減らせば、時間を生みだしたことになります。そのほうが、本質的な効率化になるのです。

記事になっているのはあくまで一部ブレーンのアイデアであり、これから他のブレーンの洗練された方策も出されていくのでしょう。そう思いたいです。

今の段階は、非難するのではなく実現を応援する時です。「満員電車ゼロ」は、多くの人が望んでいることなのですから。

戦術より戦略

今日のポイントです。

戦術的なアプローチより、戦略的なアプローチのほうが大きく、長期的に解決できる。

目の前の現象を何とかしようと考えるのは、戦術的なアプローチです。発生している問題は、本質的に解決していません。

そもそも何を実現したいのかと考えるのは、戦略的なアプローチです。問題の本質がどこにあるのかを捉えることです。