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東京ヤクルトがセ・リーグ連覇!! でも3位はどうなる!?

横尾弘一野球ジャーナリスト
東京ヤクルトの連覇は素晴らしかった。しかも、3位のカギも握っているとは。(写真:アフロ)

 東京ヤクルトが9月25日の横浜DeNA24回戦に9回サヨナラの1対0で勝利を挙げ、マジックを2つ減らして2年連続のセ・リーグ優勝に辿り着いた。2004年に中日で監督に就任した落合博満が、失敗や負けを「するもの」だと受け止めてチームを強化していったことは5日前に書かせていただいた。

【落合博満の視点vol.58】成功のカギは失敗に対する考え方にある

 今季の高津臣吾監督を見ていると、コロナ禍で選手の入れ替えを余儀なくされることがあっても慌てず、特に投手陣に無理を強いなかったことで大きく落ち込まなかったという印象だ。主砲の村上宗隆は日本を代表するスラッガーに成熟し、黄金時代の到来さえ予感させる戦いぶりは本当に素晴らしかった。

 クライマックス・シリーズ(CS)でも断然有利だと思えるのだが、セ・リーグの3位争いはちょっとややこしいことになっている。25日は巨人が1対7で中日に敗れ、67勝71敗3引き分けで3位。阪神と広島は66勝71敗3引き分けで4位に並んでいる。残り試合は巨人が2、阪神と広島は3で、直接対決はない。つまり、この3球団が残り試合にすべて勝つと、69勝71敗3引き分けで同率に並ぶのだ。

 3球団が勝率で並んだ場合、セ・リーグでは「当該球団の対戦成績を合算し、その勝率の高い順にて順位を決定する」と定めている。

 巨人は阪神に10勝14敗1引き分け、広島には13勝12敗。合計で23勝26敗1引き分けの勝率.469となる。

 阪神は巨人に14勝10敗1引き分け、広島には9勝14敗2引き分け。合計で23勝24敗3引き分けの勝率.489となる。

 広島は巨人に12勝13敗、阪神には14勝9敗2引き分け。合計で26勝22敗2引き分けの勝率.542となる。

 つまり、残り試合を3球団とも全勝した場合、3位は広島となる。

 また、1球団が脱落した場合は「当該球団間の勝率が高い球団」となるから、巨人と阪神なら阪神、巨人と広島なら巨人、阪神と広島なら広島が3位になる。なかなか複雑だ。

優勝した東京ヤクルトがカギを握る

 そこで気になるのが、残り試合の対戦相手だ。阪神は何と3試合とも東京ヤクルト。27、28日は神宮球場で、10月2日が甲子園である。広島も29、30日にマツダスタジアムで東京ヤクルトと2試合、10月2日もマツダで中日戦となる。そして、巨人は10月1、2日に横浜スタジアムで横浜DeNAと戦う。

 東京ヤクルトは、村上の本塁打数や三冠王がかかっていることもあり、気を抜いた戦いはしないはずだ。ただ、CSに向けて主力投手には休養を与える公算も高い。そうなると、東京ヤクルトと対戦するのが有利なのか、対戦がないほうがいいのか。東京ヤクルトに13勝11敗1引き分けと勝ち越している巨人としては、何とかCSに進出してファイナル・ステージに勝ち上がりたいところだが、まずは3位に食い込まなければ始まらない。優勝した東京ヤクルトがカギを握る3位争いは、果たして……。

野球ジャーナリスト

1965年、東京生まれ。立教大学卒業後、出版社勤務を経て、99年よりフリーランスに。社会人野球情報誌『グランドスラム』で日本代表や国際大会の取材を続けるほか、数多くの野球関連媒体での執筆活動および媒体の発行に携わる。“野球とともに生きる”がモットー。著書に、『落合戦記』『四番、ピッチャー、背番号1』『都市対抗野球に明日はあるか』『第1回選択希望選手』(すべてダイヤモンド社刊)など。

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