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平成ベストナインを選出――第90回都市対抗野球大会、日本野球連盟設立70周年記念祝賀会が開催される2

横尾弘一野球ジャーナリスト
平成ベストナインの記念撮影では、社会人野球のレジェンドたちも笑顔を見せた。

 7月6日に東京都内のホテルで行なわれた第90回都市対抗野球大会の開催、日本野球連盟設立70周年の記念祝賀会で、平成30年間の社会人ベストナインが発表された。杉浦正則投手(日本生命)、大久保秀昭捕手、若林重喜三塁手(日本石油=現・JX-ENEOS)、西郷泰之一塁手(三菱ふそう川崎-Honda)、工藤賢二二塁手(東芝)に続き、遊撃手からの5名を紹介しよう。

※投手から三塁手は【平成ベストナインを選出――第90回都市対抗野球大会、日本野球連盟設立70周年記念祝賀会が開催される】に掲載しています。

●遊撃手/伊藤祐樹(日産自動車)

社会人ベストナイン遊撃手に歴代最多の3回選ばれ、日本代表で主将も務めた伊藤祐樹。(写真提供/小学館グランドスラム:以下同)
社会人ベストナイン遊撃手に歴代最多の3回選ばれ、日本代表で主将も務めた伊藤祐樹。(写真提供/小学館グランドスラム:以下同)

 兵庫・津名高から福井工業大を経て、1995年に日産自動車へ入社。軽快なフットワークの守りと、粘り強さが光る打撃で定位置を確保し、98年の都市対抗で14年ぶり2回目の優勝に貢献する。この年に続き、都市対抗で4強入りした2001年にも社会人ベストナインを手にすると、03年は三菱ふそう川崎に補強されて黒獅子旗奪還の力となり、キューバで開催された第35回ワールドカップでは日本代表の主将を務め、銅メダルに輝いた。さらに、日本選手権では初優勝の原動力となり、最高殊勲選手賞に選ばれると、遊撃手として最多となる3回目の社会人ベストナインに。

●外野手/高林孝行(日本石油=JX-ENEOS)

都市対抗で1試合3本塁打など、パンチ力も備えたリードオフの高林孝行。
都市対抗で1試合3本塁打など、パンチ力も備えたリードオフの高林孝行。

 立教高3年夏の甲子園に出場し、立教大4年秋には23年ぶりのリーグ優勝。1990年に日本石油(現・JX-ENEOS)へ入社すると、93年の都市対抗準決勝では3本塁打をマークするなど、パンチ力も備えた広角打法で実績を残し、91年に日本選手権、93、95年には都市対抗優勝に貢献する。その間、92~95年に社会人ベストナインを受賞。銀メダルを手にした96年のアトランタ五輪では日本代表のリードオフを担い、97年のインターコンチネンタルカップでは、キューバの国際大会での連勝を151で止めて世界一に輝いた。その年限りで現役を引退。

●外野手/林 稔幸(SUBARU)

若林重喜や西郷泰之に続いて日本代表でも四番に座り、現役18年目のシーズンを戦う林 稔幸。
若林重喜や西郷泰之に続いて日本代表でも四番に座り、現役18年目のシーズンを戦う林 稔幸。

 土浦日大高から立正大を経て、2002年に富士重工業(現・SUBARU)へ入社。独特のフォームから長打を量産するスラッガーとして力をつけ、06年の日本選手権優勝の際には打撃賞に選出される。翌07年の第37回ワールドカップで日本代表入りすると、10年のアジア競技大会準決勝では起死回生の同点3ラン本塁打を放つなど、勝負強い打撃で主軸を担う。11年には都市対抗10年連続出場の表彰を受け、14年の都市対抗では準優勝した。社会人ベストナインは3回手にし、コーチ兼任となった今季も、日本製鉄鹿島の補強として18年連続で都市対抗に出場する。

●外野手/長野久義(Honda)

社会人でプレーしたのは僅か3年だが、目立つ実績と攻守に鮮烈な印象を残した長野久義。
社会人でプレーしたのは僅か3年だが、目立つ実績と攻守に鮮烈な印象を残した長野久義。

 筑陽学園高から日本大に進み、4年時には北海道日本ハムからドラフト4位指名されたものの入団せず、2007年にHondaへ入社。大学時代から日本代表入りしていたスピードのある攻守でレギュラーとなり、この年の社会人ベストナインに選出されると、翌08年には千葉ロッテから2位指名されるもチームに残留する。そして、09年の都市対抗では三番ライトで首位打者賞に輝く活躍を見せ、13年ぶり2回目優勝の原動力になる。2回目の社会人ベストナインを手にし、巨人からドラフト1位指名されて入団。プロでも目立つ実績を残し、今季から広島東洋でプレーしている。

●指名打者/池辺啓二(JX-ENEOS)

インパクトのあるデビューから、10年間で5回の都市対抗優勝に貢献した池辺啓二。
インパクトのあるデビューから、10年間で5回の都市対抗優勝に貢献した池辺啓二。

 智辯学園和歌山高3年夏の甲子園で優勝し、慶應義塾大を経て2005年に新日本石油(現・JX-ENEOS)へ入社した。東京スポニチ大会で新人賞を獲得すると日本代表入りし、三菱ふそう川崎に補強された都市対抗では優勝。若獅子賞に選出され、外野手として社会人ベストナインに輝く。この3賞をルーキーで手にした選手は初めてで、現在でも唯一である。その後も中心打者として実績を残しながら、08、10(東芝の補強)、12、13年の都市対抗で優勝。14年限りで現役を退いたが、10年間で都市対抗を5回制した。10、12年には指名打者で社会人ベストナインに。

 高林とペナントレース中の長野は表彰を欠席したが、他の8名は会社や指導者、チームメイトへの感謝を述べるとともに、社会人野球のさらなる発展に期待を寄せた。09年に活動を休止した日産自動車の伊藤が「私たちも、ここへ戻って来られるように頑張ります」とスピーチすると、会場からは大きな拍手が湧いた。

野球ジャーナリスト

1965年、東京生まれ。立教大学卒業後、出版社勤務を経て、99年よりフリーランスに。社会人野球情報誌『グランドスラム』で日本代表や国際大会の取材を続けるほか、数多くの野球関連媒体での執筆活動および媒体の発行に携わる。“野球とともに生きる”がモットー。著書に、『落合戦記』『四番、ピッチャー、背番号1』『都市対抗野球に明日はあるか』『第1回選択希望選手』(すべてダイヤモンド社刊)など。

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