バブル世代の安倍首相とミレニアル世代のオバマ大統領

安倍首相とオバマ大統領は似ている

日本には、アメリカのように一貫した世代論は存在していないが、世界が歴史を共有するようになった第二次世界大戦あたりから、アメリカの世代論と類似した流れが日本にもできています。

世代論でみると、2008年オバマ大統領が誕生したことで、今後40年間はよりリベラルな時代になると分析されています。しかも、2008年以後のアメリカはそれまでのアメリカとは全く違うほど変化するとされているのです。

アメリカではこの変化の源が、オバマ大統領を誕生させた1980年から2000年に生まれたミレニアル世代といわれています。この世代が2008年あたりから存在感を表すようになり、彼らの価値感が世の中を変えていくのです。アメリカではこの世代変化が認識されているので、大手マスコミは毎日のようにミレニアル世代の動向を報道しています。この世代の攻略が商売の成功では不可欠とみられているのです。

アメリカの世代論を日本に当てはめてみると、多少の違いはありますが、類似点が思った以上に多く見られます。安倍晋三首相は、オバマ大統領同様に、議論することすらタブーであった政策に果敢に挑戦し、日本に変化を起こしています。

アメリカでは、だいたい20年ごと世代が誕生しており、以下のように分析されています。

GI世代;第二次世界大戦時代に徴兵年齢に達した世代

サイレント世代:徴兵年齢に達しなかったけれど戦争体験が幼い脳に刻まれている世代

ベビーブーマー世代:アメリカでは戦争が続くこともあり1945年から1964年生まれ

反抗世代:日本でもX世代、新人類と呼ばれ多世代

ミレニアル世代:1980年から2000年生まれで、物心がついた時からネットに常時接続

日本では、悲惨な戦争の思い出があるということで、GI世代とサイレント世代を一緒にして戦争を体験した世代、そしてベビーブーマー世代は団塊の世代でかなり短かくなります。反対に反抗世代は日本の高度経済成長を目の当たりにしてきた世代で他の世代よりも長い期間になりバブル世代と呼ぶとしっくりきます。常時接続を特徴とするミレニアル世代は日米で同じということになります。日本の世代を特徴で区分すると次のようになります。

戦争を知っている世代

団塊の世代

バブル世代

ミレニアル世代

戦後の日本は、戦争の悲惨さを知る世代が中心になって、猛烈に働き、高度経済成長へと突入していきました。そんななか、戦争を知らないことに罪悪感を抱きつつ平和を楽しむ団塊の世代が登場します。彼らの気持ちは「戦争を知らない子供たちや」「時には親のない子のように」といった歌に現れているように思われます。私は物心ついた時に、この歌を聴き、「なんで不幸に憧れているんだろう」と思ったことを記憶しています。

この風潮は、朝霞自衛官殺害事件を元にした映画「マイ・バック・ページ」にも如実にあらわれています。この映画は、主人公の実話がベースです。そこでは、雑誌記者は1年大学に入るのが遅れて「大学運動」に参加できなかったことを贖罪と羞恥として描かれ、それが、社会転覆をはかる学生に惹かれた理由であると描かれていました。それを見た時に、団塊の世代の現実感なき平和主義思想は、戦争を知らないことへの贖罪意識が発端なのかと感じました。

安倍晋三首相は1954年生まれです。まさしく戦争を知らない世代でありかつ、そこに贖罪を感じない世代です。55年体制と高度成長期が始まる前夜に生まれ、安倍首相の記憶には、日本が成長していくところから始まります。バブル崩壊が始まる1993年、総選挙で自民党は単独過半数が取れず、日本新党の細川護煕党首が首相につき、自民党の55年体制が終焉します。生まれた時からほぼ40年間、安倍首相は日本経済が成長すると疑う余地がない時代に生きていました。

1993年あたりから、団塊の世代は50代を目前として日本の中枢に入っていきます。日本は高齢者が支配する国であるため、戦争を知っている世代はリーダーとして、まだまだ残っていましたが、そのあたりから定年を迎え始めました。2001年から2006年まで首相をつとめた小泉純一郎首相は郵政民営化を成し遂げましたが、第二次世界大戦と絡む議論、集団的自衛権や憲法9条には手を付けていません。安倍首相も第一次安倍政権でも、大きな業績を残すことは出来ませんでした。

しかし、2013年12月に発足した安倍首相はまるで別人でした。第一次の経験を肥やしに学んだとも言えますが、日本社会の世代に変化があったことも大きな要因です。イケイケどんどんの世代、つまりバブル世代が社会の中枢を握り始めていたのです。安倍首相の日本の成長を信じる姿は、成長バブル世代には、「待ってました」とばかりに受け入れられます。実際、バブル時代に流行ったスキーへの回帰が第二次安倍政権以後、始まっています。高級品も売れ高級レストランも満員です。20年間我慢したとばかりに楽しんでいます。安倍首相もそして日本の中枢も、頑張れば何でもできると信じられる世代です。

アメリカに助けてもらうだけの日米同盟では続くわけはなく、関係はギブアンドテイクを当然と考える世代です。この世代は、どちらかというとテイクよりもギブしたい世代でもあります。安倍首相とこの世代がマッチして、今までタブー視されてきた憲法9条の議論が始まり、同時に集団的自衛権は行使が決まり、これまた自民党にはできないと思われていたJAの改革にも身を乗り出し、普天間の辺野古移転にも力が入り、TPPにも参加を決めたわけです。

社会で力を持った世代の支持を得るということは時代の波に乗っているということなのでしょう。日米で影響力の強い世代が異なっていることは興味深い事実です。年功序列といわれるだけのことは日本にはあるということでしょうか。

アメリカでは2025年にはミレニアル世代が社会人の75%を占めるようになります。2008年から始まったミレニアル世代革命はまだまだ続きます。一方、日本のバブル世代は残すところ10年でしょうか。日本でもミレニアル世代の動向が注目されるところです。