沖縄、広島などで「まん防」発出へ

 年が明けてから新型コロナウイルスの感染者が急増している。沖縄、広島、山口などは国に対して「まん延防止等重点措置」の適用を要請し、岸田首相は3県への「まん延防止等重点措置」を適用する方針を表明した。

 沖縄では、6日に県内で確認された新規感染者は981人で、一日あたりの感染者数としては過去最多を記録した。東京では6日に641人、大阪でも505人の新規感染者が出るなど、全国の感染者数が4000人を超えたのは昨年9月以来のこととなる(参考記事:FNNプライムオンライン 2022年1月6日)。

 昨年秋以降、緩やかになった新型コロナウイルス感染者数。それに伴い経済も回復傾向となり、年末年始の飲食業界や小売業界は復調の兆しをみせていた。このタイミングでの感染拡大と「まん防」発出。2年にわたりダメージを与えられ続けてきた飲食業界に、再び打撃となりかねない事態だ。

感染拡大防止と経済活動継続の両立を目指す国

「まん延防止等重点措置」による時短要請はどうなるのか。
「まん延防止等重点措置」による時短要請はどうなるのか。写真:アフロ

 国は「次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像」において、今後は感染拡大を防止しながら、日常生活や経済社会活動を継続出来るように、行動制限の緩和の取組を進めていくという方針を打ち出している(参考資料:内閣官房「新型コロナウイルス感染症対策」)。

 これによれば、第三者認証制度や業種別ガイドライン等の感染リスクを低減させる方策を講じている場合、さらには利用客のワクチン接種歴または検査結果の陰性証明のいずれかを確認する「ワクチン・検査パッケージ」を活用することによって、日常生活や経済社会活動を継続出来るよう、行動制限の緩和の取組を進めていくことになっている。

 具体的には第三者認証制度などで認証されている店に関しては、酒類の提供を認め、21時までの営業時間の短縮または特段の時間制限を設けず営業することも可能となる。さらに「ワクチン・検査パッケージ」を活用した場合には、人数制限も行われない。

国の基準と自治体の判断との乖離

 しかしながら、沖縄県は全域で感染対策を講じている認証店には午後9時までの時短、非認証店には同8時までの時短と酒の提供自粛を要請する方針を打ち出した。山口県では岩国市と和木町の飲食店に対して、認証の有無にかかわらず午後8時までの時短と酒の提供停止を求める方針を決め、広島県も広島市など3市2町で認証店を含む飲食店に、午後8時までの時短と酒の提供停止を要請することとなった。

 国の方針としては感染拡大防止と日常生活や経済社会活動の継続を両立させたい意向だが、地方自治体がそれに事実上NOを突きつけた形になる。山口県の村岡嗣政知事は会見で「国の基準上は特に認証店では酒を出して良いとなっているが、これでは弱い」と指摘。「夜8時まで酒の提供もなしということで、しっかり(感染を)抑え込んでいきたい」と述べている(参考記事:時事通信 2022年1月7日)。

 「まん延防止等重点措置」の最終的な運用に関しては、各自治体の知事に委ねられている。それぞれの地域の感染状況や保健医療提供体制の状況に柔軟に対応するためだが、3県に関してはこれまで同様に経済活動の継続が無視された形になる。

 新型コロナウイルスが日本で感染拡大して2年になる。ワクチン接種率も79%に達し、重篤者数も2021年11月より激減している中で、国が策定した「感染拡大防止と日常生活や経済社会活動の継続の両立」を目指す新たな方針は、現実的かつ合理的な判断だと思われたが、今回の3県の判断によってまたもや飲食店は苦境に立たされようとしている。

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