6府県で緊急事態宣言が前倒し解除へ 飲食業界への救いになるのか?

大打撃を受けている飲食業界では廃業が相次いでいる(写真:アフロ)

6府県で緊急事態宣言前倒し解除へ

 新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、1月から続いている緊急事態宣言。当初は1ヶ月間の予定だったが、東京や大阪など10都府県に関して解除が見送られてさらに期間が延長されていた。しかし、各知事の解除要請に応じる形で岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、福岡県の6府県については、28日をもって宣言が解除されることが決まった。1ヶ月延長した3月7日までの期限を1週間早めることになる。

 飲食業界は観光業界やエンタメ業界と並び、新型コロナウイルスによるライフスタイルの変化に大打撃を受けている業界だ。特に2度目の緊急事態宣言発出以降は、加速度的に閉店や廃業が相次ぎ、雇用も守れなくなっている。さらに食材の生産者をはじめとする取引業者や流通業者にもダメージを与えており、その経済的損失は膨大だ。日本の外食市場規模はおよそ26兆円、そのうちレストランなどの「営業給食」と居酒屋や喫茶店などの「料飲主体部門」の市場規模は22兆円ほどになる。これらの大半が消失してしまうばかりか、関連する産業の市場にも多大な影響を与えることになるのだ。

営業時間短縮要請は宣言解除後もしばらく続く

 今回の6府県での宣言解除によって、飲食業界の業績は回復していくかを考えてみると、緩やかに復調はしていくものの一気に戻ることは考えにくい。まず、大前提として緊急事態宣言そのものは解除されるが、飲食店に対しての営業時間短縮要請は原則として宣言解除後も継続されるためだ。

 地方自治体によってその内容は異なるが、例えば大阪府では飲食店への時短要請について、3月1日から対象区域を府内全域から大阪市全域に縮小して継続することを決定している。期間は21日までの3週間で、営業時間は現在より1時間遅らせて午後9時までにするとしている。協力金は国と地方で負担する1日当たり4万円に加え、大阪市が家賃に応じて1万~3万円を上乗せすることで、一律支給だった従来の協力金に対する不公平感を解消する狙いがある。

 午後8時までの営業時間が9時まで伸びることを歓迎する飲食店は少なくない。仕事が終わって食事をしたいと思っていても、アルコールの提供が午後7時までで8時には完全退店と言われている状態では心理的にも落ち着いてゆっくりと楽しめない。しかしながら、営業は午後9時まででアルコールのラストオーダーが午後8時半(大阪市の場合)となると、仕事が終わって午後7時に入店しても1時間半は楽しむことが出来るので、来客数は増えると考えられる。

 しかしながら、特に居酒屋業態などは従来深夜まで営業して売り上げを立てていた業態のため、午後8時が1時間伸びたところで焼け石に水だ。もちろん、宣言中と比較すれば若干は売り上げが上がるだろうが、そもそもの売り上げには到底及ばない。ある大阪の居酒屋チェーンではいまだ前年と比較して売り上げが50%にも届いていないという。夜に集客出来ない分、ランチ営業やテイクアウトに舵を切る店も増えているが、元々ランチ営業をしている飲食店や弁当専門店などがいる市場へ参入することになるので、激しい顧客の取り合いが必至となってくる。

復調のポイントは大型連休以降か

5月の大型連休以降が復調のポイントになるだろう
5月の大型連休以降が復調のポイントになるだろう写真:アフロ

 ならば、飲食業界の売り上げが回復していくタイミングはいつなのか。まず現在まだ宣言継続中の東京、神奈川、埼玉、千葉の4都県が解除される3月7日以降が一つのポイントになることは間違いない。経済や消費行動はムードによって左右される。緊急事態宣言の全国解除と、ワクチンの接種開始というニュースは確実に消費者の行動に影響を与える。

 しかしながら、前述したように飲食店に対する時短要請は継続される可能性が高く、また新たに2月13日より施行された「新型コロナウイルス対策の改正特別措置法」に併せて新設された「まん延防止等重点措置」では、飲食店の必要な対策として手指の消毒設備の設置、施設の消毒、店舗の従業員への検査勧奨、発熱した人やマスク着用などの対策を取らない人への入店禁止措置などが規定されている。また、政府が対象地域とした都道府県の知事は事業者に休業や営業時間の変更などを要請することができ、正当な理由がなく要請に応じない場合は「命令」できるようになっている。

 そうなるとやはり復調が見込めるのはズバリ大型連休以降、5月に入ってからだろう。ウイルス特有の発生状況と照らし合わせてみても、2020年の3月〜4月はいわゆる「第1波」の真っ只中であり、緊急事態宣言によっていったん収束に向かったのが大型連休明けの5月に入ってからだった(参考資料:厚生労働省ホームページ)。また、特例承認されたワクチンはすでに医療従事者への先行接種が始まっているが、一般人への接種開始は5月とも言われている。すべてのタイミングが合致しているのが5月なのだ。

客側も高い感染拡大防止の意識を

 今回のコロナ禍によって、飲食店の衛生管理意識や感染拡大防止意識は間違いなくアップデートされた。入店時のアルコール消毒や検温に関してはもちろんのこと、パーテーションの設置や積極的な換気はもはや当たり前の光景になった。その一方で、私たち客側の飲食店の使い方はコロナ前と大差ないように感じるのは気のせいだろうか。

 必死になって感染拡大防止に努めている飲食店の中で、大声を出しながら喋っていたり、お酒の回し飲みや料理の回し食いをしている客は少なくない。特に若者客を中心とした居酒屋などで散見されるが、これではいくら飲食店側が頑張って対策しても、その努力は一瞬にして水泡に帰す。私たち客側も飲食店と同じく感染拡大防止への高い意識を持って、感染拡大防止と経済活性化の両立させていく覚悟が求められている。

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