夏にピッタリ!辛さと香りを楽しむ「スパイスバル」の魅力とは?

本格的なスパイス料理と共に酒を飲む。この夏は「スパイスバル」で決まりだ。

スパイスは辛さよりも香り?

大阪で始まったスパイスカレーブームは日本全国に伝播している。
大阪で始まったスパイスカレーブームは日本全国に伝播している。

 ここ数年、都内を中心に「スパイスバル」という名前を目にする機会が増えてきた。本格的なスパイス料理と共にお酒を楽しめるダイニングスペース「スパイスバル」。その流行の背景には「スパイスカレー」などのカレーブームやアジアンブームと、肉バルや餃子酒場など一つのテーマに特化したバルブームがある。人気のカレーやスパイス料理をテーマにしたバル業態が登場するのも当然といったところだろう。

 また、近年のサラダブームではハーブの担った役割が大きかった。これまでドレッシングで変化をつけていたサラダにハーブを加えることで、サラダに「香り」という概念が付加された。ハーブとスパイスの境界線は非常に曖昧だが、どちらも香りを重視した素材であり、女性を中心としたハーブブームが少なからずスパイスブームに影響を与えていることも間違いないだろう。

 スパイスと聞くと「辛い」とイメージする人も少なくないだろうが、スパイスは香辛料の名の通り「辛さ」のみならず「香り」が重視されるもの。スパイスの種類は数多くあるが、実はその大半は「香り」の演出に使われるものだ。辛さを表現するスパイスは大別して「唐辛子」「胡椒」「生姜」などしかないが、香りを表現するスパイスは数多くあり、辛さのスパイスと香りのスパイスを複雑に組み合わせることでオリジナリティあるスパイスを表現している。スパイスの肝は辛さではなくて香りなのだ。

タンドール窯を駆使した料理が楽しめる『マロロガバワン』

『Indo & more マロロガバワン』(新井薬師前)の名物は本格的な「タンドリーチキン」。
『Indo & more マロロガバワン』(新井薬師前)の名物は本格的な「タンドリーチキン」。

 2019年12月、中野新井薬師前にオープンするやいなや、スパイス好きから一気に注目を集めている人気のスパイスバルが『Indo & more マロロガバワン』(東京都中野区新井1-35-12)だ。新井薬師前の人情味あふれる『薬師あいロード商店街』の一角に佇む洒脱な雰囲気のお店。木の質感が温かみを感じさせて開放感のある店内は、一見インド料理を出す店というよりもカフェのような佇まい。

 店主の礒邊和敬さんは長年人気インド料理店で腕をふるってきた人物。インド料理をベースにしつつも、それにこだわることなく地元に愛されるスパイス料理を提供したい、という思いが店名の「Indo & more」に込められている。場所柄、商店街の人々や近隣に住む人たちの憩いの場にもなっている。

 数あるメニューの中でも人気の一品が、厨房に鎮座したタンドール窯を使い、低めの温度でじっくり時間をかけて調理する「タンドリーチキン」。同じくタンドール窯を使ったビリヤニや、20種類のスパイスを駆使した唐揚げ「チキン2020」などを、ワインや自家製サングリアと共に楽しめる。

本格的なスープカレーも楽しめる『spice&smile』

『spice&smile』(荒木町)は昼はスープカレー、夜はスパイス料理を楽しめる店に。
『spice&smile』(荒木町)は昼はスープカレー、夜はスパイス料理を楽しめる店に。

 同じく2019年12月、四谷荒木町にオープンしたスパイスバルが『spice&smile』(東京都新宿区荒木町20-17)。2012年に本郷でオープン以来、札幌スタイルの本格的なスープカレーで人気を博していたが、移転と共にスパイスバルへとリニューアル。テーブル席のみだった本郷時代とは異なり、カウンター席も出来て一人呑みも出来る店になった。

 札幌で本場のスープカレーに出会い、その美味しさに魅せられてカレーの世界に飛び込んだ店主の黒川真緒さん。他にはないオリジナリティあるスープカレーで、一躍カレー好きからの支持を受ける人気店となった。「お客様同士が仲良くなれるような店にしたい」と語る黒川さん。料理はもちろんのこと、会話や出会いを大切にした店にしたいという思いが『spice&smile』という店名に込められている。

 新しい店はビールとハイボールとスープカレーの店として、昼はスープカレーを、夜はスパイスを生かした料理を充実させて、お酒と共に楽しめる場所になった。自慢のカレーやスパイス料理は、素材の味を大切にした優しい味わいのものばかり。食通が足繁く通う街、荒木町で早くもリピーターを生んでいる。

日本酒とスパイスの融合が新鮮な『SPICE BAL コザブロ』

『SPICE BAL コザブロ』(本駒込)の名物は焼鳥店での修行経験が生かされたスパイシーな串焼き。
『SPICE BAL コザブロ』(本駒込)の名物は焼鳥店での修行経験が生かされたスパイシーな串焼き。

 本駒込で人気の『SPICE BAL コザブロ』(東京都文京区向丘2-34-8)は、スパイス料理と日本酒の相性を考える「居酒屋アプローチ」の、スパイスバルならぬ「スパイス居酒屋」。スパイス料理好きにも酒呑みにも愛されている店だ。

 日本酒とスパイス。一見合わなそうな組み合わせだが、日本酒をはじめとするお酒に合うスパイス料理を提供したいというのが、店主の菅原孝三郎さんの創業以来変わらぬスタンス。小ポーションで少しずつ色々と楽しめるのも、カウンターで一人呑み出来るのもその表れだ。

 人気焼鳥店と老舗カレー店で経験を積んだ菅原さんだから、串焼きもカレーも専門店顔負けの逸品揃い。老舗で学んだ技法を生かしつつもスパイスを加えることで、今までの焼鳥やカレーにはなかった新たな魅力と可能性を引き出している。常識にとらわれることなく、揚げ出しや白和え、昆布締めなど日本料理の技法も積極的に取り入れる試みも積極的。人気の串焼きはオリジナル配合によるスパイスでマリネした鶏やラム、サメ、イノシシなどを串焼きで一本から楽しめる。

 辛いものが苦手な人や、エスニック料理などを敬遠してきた人でも大丈夫。個性豊かな「スパイスバル」の世界は、想像よりも敷居が低く気軽に楽しめる。この夏はぜひユニークなスパイスバルでスパイス飲みを楽しんで欲しい。

※写真は筆者の撮影によるものです。

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