飲食店が「選挙割」で投票を呼びかける理由とは?

2012年よりスタートした「選挙割」が徐々に広がりを見せつつある。(写真:アフロ)

投票に行くとサービスが受けられる「選挙割」

投票所で申告すれば選挙管理委員会より交付される投票済証明書。
投票所で申告すれば選挙管理委員会より交付される投票済証明書。

 10月22日投開票の衆議院議員選挙に対して、全国の飲食店や企業などが参加する「選挙割」という取り組みが注目を集めている。「選挙割」とは投票所で申告すると受け取ることができる「投票済証明書」などを店舗で提示すると、割引などのサービスが受けられるというものだ。

 最初の呼びかけは2012年の衆議院議員選挙で、株式会社ワカゾウが横浜市を中心に社会貢献で行った企画「センキョ割」が発端。市民や学生らでつくる「全国センキョ割実施委員会」が主催となり、賛同する店舗や企業、さらにはエリアも拡大し、今や全国にその活動は広がりをみせつつある。(参考記事:飲食業界に広まる「選挙割」とは何か?

 いち早く街全体で選挙割に取り組んで注目を集めているのが下北沢だ。今回の衆院選でも下北沢の飲食店など29軒が参加し、ドリンクやおつまみのサービスや割引などの施策が行われている。投票済証明書の提示以外にも、投票所の看板の前で撮影した写真を提示すればサービスを受けられる仕組みになっている。また愛知県春日井市でも選挙割への取り組みが活発になっている。今回は65店舗が参加して店独自のサービスを提供している。飲食店のみならずマッサージやエステサロン、ディーラーなど参加店の業態も幅広い。

ラーメン店でも独自のサービスを提供

人気ラーメン店でも導入が進む「選挙割」
人気ラーメン店でも導入が進む「選挙割」

 神奈川県秦野市に本店を構え、都内や海外にも店舗展開している人気ラーメン店「なんつッ亭」では、近年低下している投票率の向上に寄与すべく、今回の衆院選で投票した人へのサービスを全店舗にて行っている。投票済証明書を提示すると、トッピングのサービスと創業20周年を記念したスペシャルクーポン券を提供するという。「自分達の国、自分達の未来に関心を持ち、投票こそが国民の声に繋がる一歩」と投票行動を呼びかけている。

 さらに、豚骨ラーメンの人気チェーン「一風堂」でも、昨年夏の参院選に続き今回も日本国内の全店舗(「一風堂」「SHIROMARU BASE」「IPPUDO RAMEN EXPRESS」)で「選挙割」を実施。替え玉や半熟玉子などラーメン店らしいサービスを提供している。選挙権年齢が18歳に引き下げられたこともあり、ラーメン店のこのような取り組みはラーメンを好きな若い世代への訴求が高そうだ。

社会的意義もあり来店動機にも繋がる

 かつては70%を超えていた国政選挙の投票率だが、2014年12月に行われた第47回衆議院議員総選挙が52.66%、2016年7月に行われた第24回参議院議員通常選挙では54.70%と、戦後70年ぶりの大改革であった「選挙権年齢18歳引き下げ」の施策によって、ややその減少に歯止めがかかったものの低率が続いている。そんな中、新党が相次いで誕生し、憲法改正などの重要な問題が争点となっている今回の衆院選は例年になく注目が集まっている。

 商店街や飲食店にとって、消費者に対して政治への関心を高め投票行動を促すことは社会的意義があり、自身のイメージアップにも繋がる。また、社会的に注目が集まっている選挙という一大イベントに関連させることで、独自にイベントを立てるよりも遥かに低予算で訴求力があり、効率良く新たな来店動機を生み出すことが出来る。低下する投票率が上がり、飲食店にも来店客が増え、消費者も得をする「選挙割」は、今後も広がりをみせていくことだろう。(参考記事:飲食業界に広まる「選挙割」とは何か?