【浦和レッズ】汰木康也 10年間の夢と、成長へのチャレンジ

2019シーズン、浦和レッズに完全移籍で加入した汰木康也(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

 個の特長に絶対的な自信を持ちつつ、一方で客観的に自分を見つめながら、プロとしての上昇ステップを踏むことに専心している。

 今季、モンテディオ山形から浦和レッズに完全移籍で加入した攻撃的MF汰木(ゆるき)康也が、シーズン後半戦を迎えた今、自身の成長とチームへの貢献を誓っている。

■天皇杯の流経大戦で7カ月ぶりフル出場

 7月3日の天皇杯2回戦。連覇を目指す前年度チャンピオンの浦和は、流通経済大と対戦した。汰木は浦和に加入後、初めての先発出場を果たした。

 公式戦での先発は、山形に所属していた昨年11月10日のJ2大宮アルディージャ戦以来、8カ月ぶりと間隔が開いていた。移籍してきた浦和では3月から5月にかけて途中出場ながらコンスタントに機会を得ていたが、それも6月を境に減っていた。

 それらが影響し、流経大戦の前半は動きにキレがなく、下克上に燃える大学生の勢いにミスが出てしまう場面があった。

 1-1で迎えた後半も、出だしの時間帯はスムーズな攻撃ができなかった。52分には自陣からのロングパスに抜け出し、GKの位置を目で確認しながら右足でループシュートを打ったが、バーを超えた。決定的と言えるチャンスだった。

 だが、久々の先発で心肺的にきつい状態を乗り越えた後に、本来のプレーを見せる時が訪れた。74分。左サイドから左足で精度の高いクロスを供給すると、MFエヴェルトンがヘディングで合わせて2-1と勝ち越した。久々の長時間出場が、疲労感を忘れさせるプレー感覚を取り戻させていた。

■「最後の方にボールが足に馴染んだ」

「最近は出場時間をあまりこなせていなかった中で、前半は仕掛けの感覚がにぶっているというか、キレを出せませんでした。久々に90分間やり通せて、やっと最後の方に足に馴染んできました」

 汰木はこう言いながら、試合の終盤に見せた強引なドリブルについて触れ、「最後はそういうチャレンジもできて良かった。最初、きつい中で走っていると、足にボールがついてくる感覚が自分はよくあるんです。それを久々に味わえました」と今後への手応えをつかんでいた。

 一方で、52分のシュートシーンについては苦笑いしながら、俯瞰するように振り返った。

「おかしなタッチが一個入ってしまいましたね。完璧に良いボールが来て、決めなければいけないシーンだったのですが、ファーストタッチは完璧だったけど、2タッチ目におかしな方向にいってしまいました」

 実は、これは日頃から課題にして取り組んでいることだという。

「僕は右の角度を苦手にしている部分もあるので、今、練習でチャレンジしているところです。それと、良いときはすごく良いのですが、悪いときは悪いのが続いたり、波が激しい。それを減らさないといけません」

 汰木は独特のリズムで守備をかわしていくドリブルに自信を持っている。「ボールを持ったら誰にも負けないと思っている」との矜恃がある。

 けれども、その武器だけに固執はしない。5月下旬に大槻毅監督が就任してからは出番が減ったが、求められているプレーを習得することで選手としての成長につながるという意識は強い。

「大槻監督はボールのないところを本当に大事にする監督です。自分は今、そこで苦しんでいますが、大槻監督から求められるプレーは絶対に自分にとってプラスになることだと思ってチャレンジしています」

■「早くゴールという形を示したい」

 浦和レッズでのデビュー戦だった3月6日のACLブリーラム・ユナイテッドとの試合。84分から途中出場すると、緩急をつけたドリブルでひょいひょいと相手をかわしてクロスを上げ、橋岡大樹のゴールをアシストして埼玉スタジアムの観衆を大いに沸かせた。以後、背番号24にはいつも声援が降り注ぐ。

「ファン・サポーターからも期待されているので、早くゴールという形を示したいですし、アシストはもちろん、数字以外の沸かせるプレーでも恩返ししていきたい。慌てずに自分のペースで結果を出していきたいです」

■初となる日産スタジアムのピッチへ

 4歳からサッカーを始め、小3から横浜F・マリノスの育成組織である横浜プライマリーに入り、同ジュニアユース、ユースと進んだ。13日の横浜F・マリノス戦に出れば、日産スタジアムでの試合はプロになって初めてとなる。

「そこに立つことを目標に、小さい頃からサッカーをしてきた特別なスタジアムです。チャンスがあればしっかり結果を出せるように準備したいです。シーズンは半分が終わりましたが、焦りを感じないようにして、自分を表現できるようにやっていきたいです」

 天皇杯があった7月3日に24歳になった背番号24。上昇ステップは汗を流した先にある。

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