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【リオ五輪・女子バレー】木村沙織 カギ握る韓国戦への思い

矢内由美子サッカーとオリンピックを中心に取材するスポーツライター
リオ五輪世界最終予選の木村沙織(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

■木村「すごくバチバチした試合になる」

28年ぶりのメダル獲得に沸いたロンドン五輪から4年。女子バレー日本代表はリオデジャネイロ五輪での目標を「ロンドンで獲得した銅メダル以上の色のメダル」としている。

競技は6日午前9時30分(日本時間同日午後9時30分)からスタートする。4大会連続の出場となる日本の初戦の相手は、因縁の韓国。エースで主将の木村沙織が5月のリオ五輪世界最終予選(OQT)で右手小指を骨折したときの相手でもある。

1次リーグは12チームが2組に分かれて行い、各組6チーム中上位4チームが準々決勝に進出する。A組に入った日本は、韓国、カメルーン、ブラジル、ロシア、アルゼンチンの順番で試合を行う。

日本の狙いは1次リーグで3位以内になって準々決勝に進むこと。そのためには、初戦の韓国に勝って勢いを付けること、そして韓国より上の順位になることが非常に重要だ。

ロンドン五輪の3位決定戦では日本が勝ち、今年のOQTでは韓国が勝った。五輪やOQT以外では日本が韓国を圧倒しているのだが、五輪絡みになると突然難敵へと姿を変えるのが韓国だ。木村はどのような思いで、大事な6日の初戦に臨もうとしているのか。

■真鍋監督「初戦で無理をする必要があるのか」

7月上旬にあった五輪代表メンバー決定後の取材日。眞鍋政義監督の口から出た言葉は、衝撃的だった。

「五輪最終予選で負傷した木村の小指がまだ良い状況ではなく、8月6日の韓国戦に間に合わないかもしれない。無理をする必要があるのか、というのもある」

木村が右手小指を骨折したのは5月17日の五輪最終予選・韓国戦だった。ただ、木村はそれ以降も試合に出続け、リオ五輪出場切符獲得に貢献している。しかも、真鍋監督が初戦欠場を匂わせた7月上旬は、骨折折から1カ月以上がたっており、回復のための時間はそれなりにあった。とすれば、どこかのタイミングでケガを悪化させてしまったのか?

真鍋監督の説明により、にわかに状態が案じられるようになった直後に行われた選手囲み取材。注目の木村は“打倒韓国”に燃えていた。

「五輪の初戦が韓国に決まったことで、初戦が一番大事だと思っています。最近の韓国は、OQTと五輪のときは普段と全然違って強いチームになる。日本はOQTでは全然良いバレーができていなかったですし、まずは韓国戦を頭に入れて初戦でしっかり勝てるように頑張りたい」

負傷状況に関しては多くを語らなかったが、その目は確実に韓国戦を見据えていた。

■木村「韓国はロンドンとあまりメンバーが変わっていない」

木村にとっては、韓国がロンドン五輪の雪辱に燃えているであろうこともさらなる警戒材料となっている。

「ロンドンの3決では日本が勝ったのですが、韓国のメンバーはそのときとあまり変わっていない。ロンドンでの悔しさを持っている選手がいると思うので、五輪の初戦はすごくバチバチとした試合になると思う」

ロンドン五輪での日本は下馬評こそ低かったものの、10年世界選手権3位、11年W杯4位という実績はあった。しかし、今回は、14年世界選手権7位、15年W杯5位。

眞鍋監督は、「ロンドン前と違い、今回は世界のベスト4にも入っていない。だから世界の関係者が日本がメダルを獲ると考えていないのは仕方ないと思う」と認める。

だが、ロンドン五輪が示すように、ここ一番での勝負強さそ持っているのが日本。「4年間、このためにやってきた」と前を見据える木村の思いが日本の力となるはずだ。

サッカーとオリンピックを中心に取材するスポーツライター

北海道大学卒業後、スポーツ新聞記者を経て、06年からフリーのスポーツライターとして取材活動を始める。サッカー日本代表、Jリーグのほか、体操、スピードスケートなど五輪種目を取材。AJPS(日本スポーツプレス協会)会員。スポーツグラフィックナンバー「Olympic Road」コラム連載中。

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