オスプレイ事故率 「民間航空機より低い」 産経サイト、一部記述を削除

2014年12月、熊本で行われたオスプレイ試乗会(記事本文とは関係ありません)(写真:アフロ)

【GoHooレポート4月22日】産経新聞は4月20日、ニュースサイトに「一部メディアのオスプレイ叩きに被災者から批判の声 『露骨な政治的パフォーマンスでは…』」と見出しをつけた記事を掲載した。当初、この記事には、オスプレイMV-22の事故率が海兵隊平均より低く、「この数字は大韓航空や中華航空よりも低いという」と記されていたが、同日中にこの部分を含む一部記述が削除された。サイトには、この記述を削除したことや訂正文は記されていない(参照=産経新聞ニュースサイトの記事)。

一部記述が削除された産経新聞ニュースサイトの記事(冒頭ページの一部、当初の掲載時刻は「7時26分」)
一部記述が削除された産経新聞ニュースサイトの記事(冒頭ページの一部、当初の掲載時刻は「7時26分」)

この記事は、熊本地震で在日米海兵隊の垂直離着陸輸送機オスプレイMV-22が支援活動に当たったことについて、複数の日本メディアが批判的に報じたことを問題視したもの。削除された部分は「米当局が明らかにしたMV22のクラスA事故率は1・93で、海兵隊の平均事故率2・45を下回る。この数字は大韓航空や中華航空よりも低いという」と記載されていた。この「クラスA事故率」とは、10万飛行時間あたりの「クラスA」の事故率で、防衛省が2012年に米側資料に基づいて公表されている。米軍独自の基準で、被害総額が200万ドル以上あるいは死亡等の重大な結果を引き起こした場合が「クラスA」とされている(参照=防衛省の2012年9月発表資料)。

一方、民間航空機については、たとえば国際ビジネス航空協議会(IBAC)が10万飛行時間あたりの事故率を公表しているが、米軍の「クラスA」と同様の方法で事故率が発表されている事実は確認できなかった。そのため、MV-22の「クラスA」の事故率が「大韓航空や中華航空よりも低い」という指摘は、裏付けとなるデータがなかった可能性が高い。

産経の記事は当初、20日午前7時26分ごろにニュースサイト上に掲載された後、同日正午ごろに差し替えられたとみられる。記事は22日正午現在、産経ニュースサイトで過去1週間のアクセスランキング1位となっている。Yahoo!ニュースに掲載された記事も、同じ箇所が削除され更新されていたことを確認した。

産経の記事で削除された記述は、以下のとおり(削除されたのは太字部分)。

一部メディアのオスプレイ叩きに被災者から批判の声 「露骨な政治的パフォーマンスでは…」

…(略)…

そもそも、日米同盟がある以上、被災地支援に利用できる米軍の航空機を使用するのは当たり前で、政治的な判断を必要とするのも当然だ。オスプレイ投入を政治利用と腐し、自衛隊の存在そのものに否定的な勢力の論法だと、自衛隊の災害派遣も、自衛隊を正当化する政治利用だということになりはしないか。

こうしたメディアが振りかざすオスプレイの危険性も事実からは遠い。

米軍は事故について、死者や200万ドル(約2・1億円)以上の損害が出た事故をクラスA、より軽微な事故を順番にクラスB、Cとランク付けしている。

米当局が明らかにしたMV22のクラスA事故率は1・93で、海兵隊の平均事故率2・45を下回る。この数字は大韓航空や中華航空よりも低いという。

これまでもオスプレイは沖縄県の普天間飛行場への配備時など、執拗な批判にさらされてきた。しかし、物資輸送をはじめ、災害発生間もない被災地のさまざまな需要に応じるため、オスプレイを活用しない理由はない。主力輸送ヘリCH46と比べ、速度は約2倍、航続距離は約4倍で、積載量も約3倍といずれの性能も上回るからだ。

救援活動での活躍は、ことさらオスプレイの危険性を強調し、過剰ともいえる議論をリードしてきた一部メディアにとっては“不都合な真実”になりかねない。しかし、露骨な反対運動のアピールは、逆に被災者や関係者の怒りや失望を買うだけではないか。

(産経新聞ニュースサイト2016年4月20日07:26掲載)