フジテレビ「字幕と同じ発言はあった」 池上彰特番「編集ミス」で謝罪も批判相次ぐ

フジテレビ(flickr)

番組ホームページに掲載されたお詫び文
番組ホームページに掲載されたお詫び文

【GoHooトピックス】フジテレビは6月29日、5日に放送した特番「池上彰 緊急スペシャル!」で、韓国人が日本についてインタビューで答えているVTRのうち2人について、翻訳の字幕や日本語吹き替えナレーションの内容と異なる映像を誤って使用していたとして、番組ホームページにお詫び文を掲載した。数日前からインターネット上で発言と字幕が一致しないとの指摘が相次いでいたが、フジテレビは「編集作業でのミス」で、2人ともインタビューの別の箇所では字幕と同じ発言をしていたと説明。発言していないことを捏造したのではないかとの疑惑は否定した。ただ、捏造の疑惑は晴れていないとの声や今回のフジテレビの対応は不十分との指摘など、フジテレビの対応への批判が相次いでいる。

特番は「知っているようで知らない韓国のナゾ」というテーマで、韓国人のいわゆる「反日」感情などを取り上げていた。問題のVTRでは、日本大使館前での抗議活動の模様を流した後、ソウル市民の街頭インタビューの映像を放送。学生姿の女性が答える場面では「(高校生)日本が嫌いですよ だって韓国を苦しめたじゃないですか」という字幕が入っていた。しかし、女子学生はこの場面で「文化がたくさんあります。だから、外国の人がたくさん訪問してくれているようです」と話していた。その次の男性が答える場面でも「(30代無職)日本人にはいい人もいますが、国としては嫌いです」という字幕をつけていたが、男性は「過去の歴史を反省せず、そういう部分が私はちょっと…」と話していた。

発言と字幕の不一致を指摘するツイッター投稿
発言と字幕の不一致を指摘するツイッター投稿

フジテレビはお詫び文で「女性は実際に『日本が嫌いです』と答えています」とだけ説明したが、日本報道検証機構が広報担当者に取材したところ、女性は字幕で表示したとおり「韓国を苦しめたじゃないですか」という発言もしていたという。もう一人の男性の発言についても字幕で表示したとおりの発言をしていたと説明している。問題が発覚した経緯については「26日にホームページに寄せられた問い合わせがあって初めて分かった。お恥ずかしながらそれまではミスに気づいていなかった」という。池上彰氏は「番組の企画から携わっていたので、視聴者には大変申し訳ない」と話しているという。

この放送をめぐっては、署名サイト「change.org」で「もうこれ以上捏造はやめてください!」と題するキャンペーンが始まるなど、騒動が広がりつつあった。フジテレビは今回の問題について、お詫び文を既存の番組ホームページに上書きする形で公開しただけで、公式トップページやツイッターなどSNSの公式アカウントでは告知しておらず、プレスリリースも出していないという(29日現在)。

お詫び文が掲載された後も、SNSなどネット上では「字幕と同じ発言部分の映像を公開しなければ信用できない」といった不信の声が渦巻いている。元フジテレビ解説委員の安倍宏行さんも、自ら運営するでニュース解説サイト「Japan In-depth」で、ネット上の批判に対して「感度が鈍すぎる」と指摘。問題の原因については、取材ディレクターが編集作業で発言を取り違えたミスと編集済みVTRをチェックする際に韓国語が分かる人を立ち会わせなかったミスが重なったと推測している(【フジ、池上さん番組で謝罪】~単純ミスでは済まされない~)。当機構にもコメントを寄せ、お詫び文を出した対応についても「謝罪は不十分。時間をかけた割には中身がない」などと厳しい見方を示した。

「Japan In-depth」編集長(元フジテレビ解説委員)安倍宏行さんのコメント

一言でいってこの謝罪は不十分だ。時間をかけた割に中身がない。今回、インタビューの音声とテロップが合致していなかったことが問題なのだが、それを単なるミスとは片づけられない。番組のクオリティを保つ前にはしかるべき人間(今回は韓国語が分かる人)を配備せねばならないが、それを怠ったフジテレビの罪は重い。番組のクオリティを保つことしかフジ再生の芽はない。

(本稿はGoHooトピックス6月29日付記事を加筆修正した)