おでかけ動画メディア「ルトロン」に学ぶ、愛され動画の作り方

今、スマホに最適化された動画メディアが次々と生まれている。ジャンルも、料理、DIY、フィットネス、ニュースと多様化しており、特に料理分野はKurashiruやDELISH LITCHENの2メディアがTV CMを打ち始めるなど、競争は熾烈になるばかりだ。

そんな中、「おでかけ」という独自性の高いジャンルで、高いエンゲージメントを誇るメディアがある。オープンエイト社が運営する「ルトロン」だ。

少し考えると分かるが、「おでかけ」ジャンルは、撮影がスタジオではなく、ロケスタイルになるため、当然制作コストが高くつく。それなのに、なぜ彼らはこのジャンルを選んだのか?また、制作コストやパフォーマンス、さらには今後の展開はどうなっていくのか?オープンエイト社の高松社長に独自インタビューを試みた。

おでかけジャンルを選んだ理由

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―なぜ「ルトロン」を立ち上げたんでしょうか?

なぜルトロンをやっているかということを説明するには、オープンエイトのミッションの説明がまず必要です。

オープンエイトのミッションは「ユーザーの心を動かす体験を作り続ける」です。そして、その入口として「女性」「スマホ」「動画」ということころに特化して、動画のアドネットワーク事業を展開してきました。

そこで感じたことが「動画は人の心を動かせる」という点でした。データを見ても、ユーザーの行動が変わったり、クライアントのブランドリフトが起きています。そこで動画メディアをやろうと思いました。

では動画メディアの中で、どんなことをやるか?メディアにも入口から出口まで、色んなタイプがあります。ただ、インターネットは出口戦略ばかりなんですね。既にやりたいことが決まっているユーザーに対して課題を解決してあげるメディアが多い。

もうそこはやり尽くされていています。ユーザーの欲望を喚起したり、見えないニーズを掘り起こすところをやりたいと思いました。それが動画メディアならできると思いました。

―なぜ「おでかけ」というジャンルを選んだのか?

現在、動画メディアは多くありますが、その中で「おでかけ分野」をやろうと思ったのは、競合がおらず、市場が大きいと思ったからです。

下記の資料をご覧いただけたら、ポジショニングが分かりやすいかと思います。

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制作本数やコンテンツ戦略について

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―制作本数や制作方針を教えてください。

私たちは、月間200本のハイクオリティ動画を制作することにしました。それらの動画は賞味期限の短いフロー型のものではなく、ストック型のコンテンツを目指しました。そして、各SNSアカウントに動画を直接配信する分散型で運用スタートしました。

現在、のべユーザーは約100万人、リーチは4000万人を超えています。

―他メディアと差別化出来ている点はありますか?

圧倒的に高いエンゲージメント率が特徴です。例えばFacebookのデータにおいて週次のエンゲージメント指標は他動画メディアの数%に対して、ルトロンは平均18%以上を維持しています。また一次メディアのReturning Userが40%となっており、ユーザーに愛されている動画メディアになってきていると考えています。

―なぜ高エンゲージメントを達成できているか?

コンテンツの質にあると思っています。私たちは「コンテンツ・イズ・キング」という考えのもと、動画の質を高める施策をガンガンやってきました。その積み重ねが活きているのだと思います。

―コストと品質、このバランスをどうやって実現していますか?

私たちは、品質を高めながら、制作コストを抑える努力をしてきました。品質の高めかたですが、企画、撮影、編集などの各プロセスを分解し、それらの改善を徹底的に行いました。

例えば、撮影なら、企画会議のルール作りや撮影方法などをマニュアル化。動画編集もフォーマット化させることで、大幅に作業時間を短縮。こういった取り組みにより、制作コストを通常の5分の1から、6分の1にまで圧縮することに成功しました。

今後はこれらのプロセスをシステム化することにより、属人的にならないようにしていきます。

金で買ったユーザーは付いてこない

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―メディアをグロースさせるための戦略は、どのように考えられていますか?

分散型メディアを運営するにあたって、ローンチ直後、テスト的にFacebook広告に2000万円投資しました。ページのファン数は獲得できるのですが、オーガニックのいいねやビュー数につながりませんでした。この経験から、お金で買ったユーザーは結局付いてこないんだと感じた次第です。

今はオーガニックで評価されるコンテンツを作ることが重要と考え、「コンテンツイズキング」の考え方で、コンテンツ作りに注力をしています。

―結局コンテンツが良くないと、広告で集客しても意味がないというのは、かなり重要な視点ですね。最後に、ビジネスモデルについて教えてもらえますでしょうか?

3つのビジネスモデルを考えています。1つ目は純広告で、クライアントのイベントや施設のPR予算から行きたくなるような映像を作っていきます。2つ目は送客に対するフィーです。映像を見て、ユーザーが行きたいと思ってくれたら、そこへ行くためのチケット購入ができる、OTAの立ち位置を狙っていきます。最後はアプリ課金です。DB検索するためにお金を払うというような機能に対する課金ではなく、課金することで、割引クーポンが手に入るというような特典に対する課金を考えています。

―今日はスマホ動画全体とルトロンの独自性の見えるインタビューになりました。ありがとうございました。

インタビュー中に、高松社長から何度も話の出た言葉。それは「コンテンツ・イズ・キング」だ。ハリウッドでは昔から言い古された言葉であり、NetflixやAmazonがオリジナル動画に力を入れる理由もそこにあるが、いわゆる短尺スマホ動画の世界も、プラットフォームの強さを決めるのは、動画のクオリティとオリジナリティの時代が到来していることを改めて実感した。

そして、「コンテンツ・イズ・キング」の原則に則って、高品質な動画を制作すれば、当然制作費は高騰する。その費用を支えるだけの収入をどのように作っていくかが、今後のスマホ動画メディアのポイントとなるだろう。「ルトロン」の場合は、広告収入、アプリ課金を狙っていくのに加え、OTA的な送客による収入を狙っていくと言っていたのがどれほど実現できるかがメディアの成否を分けていくだろう。動画メディアの戦いはまだまだ続く。