1.8万RT超え!話題の動画「サバイバル下校」の企画担当者を直撃してみた。

去年公開された「ンダモシタン小林」がYouTube200万回再生を突破、総務大臣賞/ACCグランプリ・インタラクティブ部門グランプリを受賞するなど話題となった小林市が、「サバイバル下校」というPR動画でまたネットを賑わせている。その動画がこちらだ。

小林市のまち並みをひたすら駆け抜ける女子高生に訪れる衝撃のオチに、ネット住民たちは「オチ最高www」「すごいセンス」「とても共感しました!」と賞賛し、動画は公開数日で18,000リツイートを突破した。

そこで、本コラムでは、小林市出身クリエーターである越智一仁氏に早速コンタクトを取り、この動画が制作された経緯や制作秘話などを伺った。

サバイバル下校…実は高校生のアイデアだった

柳内:小林市PR動画「サバイバル下校」が18,000RTされるなど、話題になってます。この動画はどのような経緯で企画されたんですか?

企画担当:昨年から担当している宮崎県小林市のシティプロモーションの一環ですね。「ンダモシタン小林」は移住促進というテーマでしたが、実は昨年も高校生たちと一緒にPRムービーをつくってまして。今回の「サバイバル下校」は、2年目の取り組みになります。

柳内:ということは「サバイバル下校」は、高校生のアイデアなんですか!?

企画担当:そうです!まさしく!

柳内:それは驚きですね!確かに「おばちゃんの話が長い」って高校生らしい視点だし、リアルな悩みそうですね(笑)

企画担当:僕らの頭ではなかなか思いつかない視点だと思いました。素直ですよね。笑

高校生を7チームに分け、アイデアを競争 ポイントは当事者意識

柳内:そのアイデアを形にするにあたって、どのような点に気をつけられたんですか?

企画担当:まず、参加者が29名いたので、7チームに分けてコンペ形式でアイデアバトルを行いました。29人もいるとどうしても全体で一つのアイデアを出すというのは難しいので。そして、7チーム中1つのアイデアしか実制作には至らないのですが、彼らのイメージをすべてビデオコンテまで仕上げてあげることにしました。そうすることで、ひとつの達成感を得ることは出来ると思うんです。

また、彼らのアイデアのコアをなるべく触らないように、彼らが当事者意識を損なわないように、企画から制作にかけて慎重に進めました。細かいコピーや演出などはある程度触ってはいますが。

柳内:参加している高校生のモチベーションをかなり意識されたんですね。全アイデアを映像化するなんて、かなり贅沢です。

企画担当:これは、昨年ロボットのプロデューサーさんに相談したところ、高校生たちのピュアな瞳にやられてしまって「ぜひ全部Vコンにしましょう!」と提案していただきました。笑

ウケる理由は「あるあるボケ」と「映像クオリティ」

柳内:「サバイバル下校」がこれだけ拡散されているのは、どこがポイントだと思いますか?

企画担当:あとやはり、ひとつは盛大な「あるある」ボケを楽しんで頂けているからかなと。採用されたチームは、かなり序盤でこのアイデアにたどり着いていましたが、海外CMみたいな企画を考えてくるなあと感心したものです。

柳内:確かに海外CMっぽいですね。

企画担当:そして、クオリティもその後押しになっていますね。クオリティが高いからこそ、このくだらないボケが説得力をもってくるというか。ちょっと調べて下さった方なんかは、高校生のアイデアがここまでの映像になるなんて!という驚きとともにシェアされていたように感じます。

それと、去年の資産も大きいですね。また、あの小林市が!というフレーズをSNSでよく目にします。

柳内:「誰もが納得のあるある」と「映像クオリティ」の掛け合わせが、人気の理由なのですね。

確かに「ンダモシタン小林」も同じチームで作られてますが、その信用の担保もありそうですね。

ブランディング動画の効果測定方法とは?

柳内:あと、少し堅い話ですが、このような取り組みは効果測定が難しい部分もありますが、どのようにされてますか?

企画担当:効果測定ですが、具体的にはテレビ番組や新聞、雑誌、SNSでの露出などをみんなで逐一チェックしてそれをエクセルにまとめ、あるタイミングで数値をまとめ上げるという感じですね。特筆すべきツイートなどはキャプチャしておいたりもします。

昨年は、移住相談件数、サイト来訪者数、露出番組数、露出換算額、ふるさと納税額などを見ながら、効果を検証した形です。

柳内:なるほど、露出チェックや問い合わせ件数などの定点調査をしているんですね。

企画担当:あと、基本的にはお金をかけずにバイラルさせるのは難しいとお伝えした上で最大限の露出や認知獲得をねらうようにしています。それこそ、自治体と制作チームが一緒になって結果を獲得していくという姿勢なので、具体的にこれくらいの効果を…みたいな話はしておらず、やってみてそれを冷静に分析して次回に役立てるというやり方です。

とは言え、一連の動画制作、特にこの「高校生とつくるWEBCM」は、インナーコミュニケーションの目的もあるので、みんなで一緒になってPRムービーをつくったというニュースが生まれた時点で目的達成でもあったりします。

柳内:しっかりと定量測定をしつつも、小林市との信頼関係のもと、まずは作ってみる、の姿勢で出来ているのはすごいことですね。

また、動画制作を通じて、地元が盛り上がり、インナーコミュニケーションを実現しているというのも面白い視点ですね。

企画担当:小林市は職員さんがとてもパワフルで、自分たちで市民ワークショップを運営していたり、さまざまなグッズをつくったりとPR力がハンパないんです。

動画はその一環になるのですが、自分たち自身でトライアンドエラーをやっているから、僕らの企画に対しても十分な理解をもって接してくれます。自治体のPRがどれだけ難しいかと肌で感じているんだと思います。

そして、そういったバックグラウンドが、このチームの信頼関係につながっているのかと。

特にリーダーの柚木脇さんという方が提唱しているのは「関係人口」という、離れたところに暮らしていても地元に貢献することのできる人材は人口として1カウントしてもいいんじゃないか?という考えで。

僕がまさに地元出身者になるのですが、そういう広い視野があるからこそ僕らが受け入れてもらえているというのもありますね。とてもありがたいと思います。

柳内:地元クリエイターと地元自治体の取り組みの事例はこれからも増えてきそうですね。今日は興味深い話を、ありがとうございました!