ドコモ「dマーケット」が去年比60%成長で勢いに乗ってる件

2016年4月28日、NTTドコモは決算発表を行いました。その際の資料を読み解くと、コンテンツビジネスに携わる人にとって、興味深い事実が見えてきたので、ここにご報告したいと思います。

ざっくり言うと、ドコモのコンテンツ事業「dマーケット」が、昨年比1.6倍の成長を遂げ、コンテンツビジネス業界において存在感を増しているということです。

本記事では、先日の決算発表から「dマーケットがどのように成長しているのか?」を読み解き、その成長要因と将来予想について、考察していきたいと思います。

去年比160%!成長が止まらない「dマーケット」

下図の決算資料を見ると、dマーケット事業の1人あたりの利用料は、1,370円(前年度比123%)。さらに契約者数は1,554万契約(前年度比130%)。つまり、事業売上213億円で、前年度比160%成長でした。

dマーケット契約者数推移
dマーケット契約者数推移
dマーケット一人あたり利用料の推移
dマーケット一人あたり利用料の推移

dマーケットの売上高213億円は、営業収益3.6兆円の通信事業セグメントを持つドコモからすると、インパクトがまだ小さいです。しかし、60%の成長率は、他セグメントにない高さであり、ドコモの事業の中でも「未来の金のなる木」として、期待が高まっている分野と言えます。(下図参照)

ドコモ社セグメント別実績
ドコモ社セグメント別実績

また、60%の成長率というのは、スマホビジネスの中でもかなり勢いのある部類です。スマホ広告の成長率が23.6%ですから、それと比較すると、その成長率の高さが伺えます。

順調に成長中のdマーケットですが、今後もさらに伸びていくと私は予想しています。というのも、dマーケットが扱う電子書籍・音楽・動画分野はデジタルシフトしきれてないからです。

コンテンツ市場に対するネットワーク流通の割合を示す指標として「ネット化率」というものがあります。つまり、コンテンツがどれだけデジタル化したかを示す値です。これをコンテンツ別に見ると、静止画・テキストは22.0%(1兆173億円)、音楽・音声は46.8%(900億円)、動画は2.8%(1,255億円)となっています。動画や電子書籍はネット化比率がまだまだ低く、さらに高まることが予想されますから、dマーケットの成長もそれに伴って成長することが見込まれます。

dマーケット 3つの成長要因

dマーケットの成長要因を分析すると、主に以下の3点が挙げられます。

1.ドコモショップを活用した営業力

2.サービスをドコモユーザー以外にも解放

3.コンテンツ調達力の高さ

1は言わずもがな。ドコモショップ来店時の積極的な営業によって、サービス加入者数を増やしているからです。正直、店舗での営業にうんざりしているユーザーも多いかと思いますが、コンバージョン率が高い対面営業は、dマーケットのひとつの強みと言えます。

2はdマーケットをドコモユーザーのみではなく、その他キャリアのユーザーにも解放したことによって、そのパイを広げたからです。この戦略は、ドコモユーザーならではの特典がなくなる戦略なので、大胆な決断と言えますが、それだけドコモがコンテンツビジネスに比重を置いているという覚悟が見えます。

3は、音楽・電子書籍・動画と、あらゆる分野において、コンテンツを豊富に揃えているからです。これだけのコンテンツを揃えるには、それなりの先行投資が必要になりますが、本業で得た大きな収益をバックに、それを実現しています。

ちなみに私自身も、ソフトバンクユーザーでありながら、dマガジンのユーザーなのですが、月額400円で人気雑誌160誌をスマホで読める満足度はかなり高く、今後も課金し続けるつもりです。

また、この勢いを反映するように、dマガジンは渡辺直美出演のCMの放映も開始。94万回再生を超え、サービス普及を後押ししています。

今後もドコモはdマーケット事業に注力すると思われる

破竹の勢いのdマーケットですが、今後もドコモはこの事業に注力すると思われます。なぜなら、携帯キャリアにとって、コンテンツビジネスは今後の会社の成長のカギだからです。

というのも、携帯キャリアの事業収入の数式は、ざっくり書くと、

契約数 ×( 通話料 + パケット代 + コンテンツ課金料 )

となるわけですが、契約数・通話料・パケ代が横ばいの日本市場において、「伸びしろ」として期待されているのが、dマガジンやdTVのような「コンテンツ課金」だからです。

携帯キャリアは、重要な事業KPIとして、ARPU(1ユーザーあたりが支払う単価)を挙げていますが、その伸びを担うのがdマーケットというわけです。

従って、ドコモは引き続きdマーケットに注力していくものと思われます。

dマーケットはコンテンツ業界でますます大きな存在に

ドコモがコンテンツビジネスに注力すると、どんなことが起きるのでしょうか?本業で稼いだ莫大な利益を、コンテンツの調達コストやアプリの開発費に突っ込むことになります。これにより、他社よりサービスの質が高まれば、さらにユーザー数もサービスARPUも伸びていくことが予想されます。その結果、dマーケットが、コンテンツ系プラットフォームとして、ますます存在感を増していくことが予想されます。儲かる→コンテンツが豊富になったり、アプリの使い勝手が良くなる→さらに儲かるという好循環が生まれるわけです。

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この好循環を生んでいる背景には、携帯回線ビジネスという太い収益源をドコモ社が持っていることは大きいでしょう。安定した本業がある分、大きな先行投資ができるのは非常に強いです。

今後もdマーケット事業がどのような動きを見せるか、コンテンツビジネスに携わるプレイヤーは、注意深くウォッチしていく必要があると感じた次第です。