■梅毒(ばいどく)とは?
性感染症。
病原体はらせん状をした菌「トレポネーマパリダム」である。
性行為により、皮膚や粘膜の小さな傷から侵入することによって感染する。唾液に病原菌が存在している場合もある。一回の性行為で感染する確率は20%以上とも言われている。
梅毒の解説
■症状は?
第1期梅毒
病原体の体内への侵入後、3週間の潜伏期間を経て「第1期梅毒」になる。
初期硬結と呼ばれる小豆~指先ほどの大きさの“しこり”ができる。さらに付属リンパ節が腫れてくる。このとき、痛みが無い場合が多い。
第2期梅毒
第2期に入ると、病原体は血液によって全身へ広がる。その結果、全身皮膚の発疹とリンパ節の腫れをきたす。赤茶色の盛り上がり、手のひらや足の裏の発疹、ピンク色の円形のあざ、肛門周辺や性器などにコブ、喉の奥の腫れ、脱毛症状が出始める。ピンク色の円形のあざはバラの花びらのように見えることから「バラ疹」と呼ばれ、梅毒で現れる特徴的な症状である。
第3期梅毒
第3期に入ると、全身の臓器が侵され、肝、肺、睾丸、大動脈などにゴムのような弾力を持った肉芽腫を形成する。
第4期梅毒
第4期では、病原体が中枢神経系を侵し、脊髄癆と呼ばれる背中、脚の痛み、歩行失調、知覚過敏、間隔以上、排尿障害といった症状が現れる。感染からは20~30年という長い期間の後に症状が現れる。また、進行麻痺(認知症)による記憶障害、判断力低下、不眠、人格の変化なども現れ、この状態になり、治療を受けずに3~5年が経過すると死に至ると言われている。
認知症を引き起こす「神経梅毒」
また、妊娠している人が梅毒に感染すると、胎盤を通して胎児に感染し、死産、早産、新生児死亡、奇形が起こることがあります(先天梅毒)。
梅毒に関するQ&A
梅毒に感染しているとHIV(エイズウイルス)にも感染しやすくなるため、HIV検査もあわせて受けることが望ましい。
■早期発見が重要!
「おかしいな?」「もしかして?」と、心当たりがある人は早めに病院で検査を受けて欲しい。皮膚科、性病科、泌尿器科、婦人科(産婦人科)での受診となり、保険適用か否かは、病院の治療方針などにより様々である。保険適用外の場合でも診察料3000円~5000円、検査代1500円~となっている。
「病院に行くのが恥ずかしい」という人は、検査キットを入手することもできるため、まずは検査キットで検査するのでも良いだろう。
感染していると診断されると、治療は薬の服用となる。
■「今、梅毒が?!」
私が臨床検査技師を目指していた学生の頃、梅毒感染者数は500~600人程であった。しかし、現在の梅毒感染者数は平成29年で5820人と約10倍にも増加している。
性感染症報告数
梅毒を放置しておくと、神経症状や死につながるため、危険な感染症であると言える。
なぜ、今ここまで増加しているのか?
性感染症が増加している要因の1つには「知識・情報の不足」が考えられる。感染経路や予防法など、しっかり知識や情報を得て、自分の身を守って欲しい。