■二人乗りの規制、正しく言えますか?

 さわやかな秋、ライダーにとっては最高のツーリングシーズンがやってきました。この週末は全国的にお天気も良く、最高のバイク日和になりそうですね。

 私もビッグバイクを操るバイク好きの一人です。10月から11月にかけてのこの季節が1年のうちで一番気持ちのいいツーリングの季節だと思っています。

 10月31日(日)には衆議院議員総選挙がありますが、すでに期日前投票を済ませて、「ちょっと遠出でもしてみようかな」と楽しいツーリング計画を立てている人も大勢いらっしゃることでしょう。

 しかし、この時期、バイクのからんだ事故の報道が相次いでいるのも悲しい現実です。特に、最近気になっているのは、「タンデム(二人乗り)」のルールを守っていないライダーが散見されることです。

 10月28日、新東名高速の雁峰第2トンネル内(愛知県)で発生した事故では、大型バイクで軽乗用車に追突した58歳男性のほか、別のバイクに2人で乗っていた16歳と17歳の少年が骨折などの重傷を負ったと報じられました。

<新東名で5台絡む事故…走行中の車に58歳男性運転の大型バイクが追突 別のバイクの少年2人加えた3人重傷>(東海テレビ)

 ところが、このニュースを見て、思わず、「あれ?」と首をかしげた人、多いのではないでしょうか。

 そう、すでにお分かりだと思いますが、事故の因果関係は別として、そもそも、16歳と17歳の少年2人が「高速道路で二人乗り」をしていること自体、ありえないことなのです。

「えっ、なんでダメなの?」

 そう思った方は、ぜひ下記の続きをお読みください。

蒜山高原の紅葉。景色は最高だが道路の落ち葉でタイヤを取られないよう慎重な運転を
蒜山高原の紅葉。景色は最高だが道路の落ち葉でタイヤを取られないよう慎重な運転を写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート

■高速道路のバイク二人乗りの条件は20歳以上、免許歴3年以上

 私がバイクに乗り始めた頃、日本の高速道路(自動車専用道路を含む)は全面的に二人乗りが禁止されていました。しかし、2005年に二人乗りが解禁され、一定の条件を満たしていれば、二人乗りでも高速道路を使って移動できるようになったのです。

 現在、高速道路でバイクの二人乗りを許されるのは、

【高速道路での二人乗り条件】

「年齢20歳以上」かつ「大型自動二輪車免許または普通自動二輪車免許を受けていた期間が通算3年以上」のライダー

 です。

 バイクの排気量は、125cc超(126cc以上)ならOKで、後ろに乗るライダーに年齢制限はありません。

 しかし、これに背くと、「大型自動二輪車等乗車方法違反」となり、違反点数2点、反則金1万2000円が科せられます。違反した状態で人身事故を起こすと、大変なことになってしまいます。

 バイクの免許を取ったら嬉しくなって、つい二人乗りなどして遠くまで走ってみたくなるものですが、今一度、交通の教則にしっかり目を通してみてください。

<参考条文>

道路交通法 第71条の4第1項(大型自動二輪車等の運転者の遵守事項)

■首都高速道路、都心部はほぼ「二人乗り禁止」

 さて、上記の条件を満たしていても、一部例外があります。

 東京都内の首都高速道路においては、「カーブが多く、事故の危険性がある」という理由から、一部区間で自動二輪車の二人乗り自体が禁止されていますので、首都圏を通る場合は十分に注意してください。

(ちなみに、関西の阪神高速などもカーブは多いのですが、こちらは二人乗りOKです)

 以下は、首都高ドライバーズサイトで公開されている、首都高速の二人乗り通行禁止区域のチラシです。

 特に複数台でツーリングに出かけるときは、メンバーの中に二人乗りのライダーがいることをうっかり忘れて、そのまま走行してしまうこともありがちです。

 ツーリングプランを立てるときには、首都高速の二人乗り禁止区間を出発前にしっかりチェックしておくようにしましょう。

(*例外として、サイドカー付きの自動二輪車は、二人乗り禁止標識が表示された区間でも通行が許されています)

★詳細については、下記「警視庁WEBサイト」でもご確認ください。

首都高速道路における自動二輪車の二人乗り規制について 警視庁

■一般道での二人乗りは51cc以上、免許歴1年以上あればOK

 一方、一般道を二人乗りする場合は、高速道路より規制が少し緩くなりますが、以下のライダーに限られています。

【一般道での二人乗り条件】

「小型限定を含む普通二輪免許」もしくは「大型二輪免許」を取得してから1年経過、または通算で1年以上経過している」ライダー

 免許を取って1年経過していないにもかかわらず、二人乗りをして検挙された場合は、上記と同じく「大型自動二輪車等乗車方法違反」が適用され、反則点数2点、反則金1万2000円が科せられます。

 もちろん、原付バイクでの二人乗りは論外です。二人乗りができるバイクは、51cc以上かつ乗車定員2名と定められている車種のみなので気を付けてください。

 一般道には、歩行者や自転車、そして多くの車が行き交い、交差点もたくさんありますので、高速道路に比べれば危険は多いと言えるでしょう。免許の経験年数で判断せず、運転が未熟な間は、他者をバイクの後ろに乗せることはお勧めしません。

 とにかく、人をタンデムシートに乗せる場合、運転をするライダーはもちろん、後ろに乗る側も、こうした規制があることを正しく理解し、バイクの排気量、免許歴などが二人乗りの条件を満たしているかどうかしっかり確認してください。

 そして、バイクの後ろに乗る場合は、万一の事故に備えてウェアやヘルメット、ブーツなど、完璧な装備を心がけてください。

 また、バイク免許を取りたての若者がいるご家庭では、一般道では最低でも1年間、高速道路の場合は3年間の経験を積んでからでないと、人を後ろに乗せてはいけないということを、親子で繰り返し確認しておくことが大切です。

ドイツのアウトバーンで出会った親子の二人乗りライダー(筆者撮影)
ドイツのアウトバーンで出会った親子の二人乗りライダー(筆者撮影)

■バイクでも任意保険は必ずかけておきたい

 バイクは全身で風を切って走れる気持ちの良い乗り物です。その分、身体をガードするものは何もなく、万一事故が起こった場合は、搭乗者が大きなダメージを受けてしまいます。タンデムの場合は、同乗者にけがをさせることがもっとも心配です。

 仮に、単独事故を起こして後ろに乗せた人(家族ではない人)にけがをさせた場合、運転者には同乗者に対する賠償義務が生じます。

 その場合、バイクにかけている自賠責保険が支払いの対象となりますが、金額が保険金額の上限をオーバーした場合は、任意保険がなければ自己負担となります。

『バイクなんかで大きな事故は起こさないだろう』

 もし、そう思っているのなら大間違い。バイクでも重大事故の加害者になるケースは多発しています。

 とにかく、万一のとき、自賠責保険だけでは不十分ですので、バイクに乗る場合には必ず任意保険にも加入することを心がけてください。

 逆に、「二人乗りをしよう」と誘われても、任意保険に入っていないバイクの後ろには絶対に乗らないようにしてください。

 実は、私自身も数年前、秋のツーリング中に単独転倒し、右腕を骨折するという痛い経験をしてしまいました。一歩間違えば大事故につながりかねず、バイク事故の怖さを改めて思い知った次第です。

 秋晴れのもと、みなさんの楽しいツーリングが、どうか無事故・無違反で完走できますように、お祈りしています。

ドイツ・アウトバーンをタンデムでツーリングしたときの1枚(撮影/柳原解雄)
ドイツ・アウトバーンをタンデムでツーリングしたときの1枚(撮影/柳原解雄)