台風からクルマやバイクを守りたい。襲来までにとるべき対策は?

猛烈な台風と高潮が予想されています。水害から車を守るために備えておくこととは?(写真:ペイレスイメージズ/アフロイメージマート)

 大型で猛烈な台風19号が、12日(土)にも日本列島に上陸する予報が出ています。

 風雨の強さもさることながら、ピーク時には高潮と重なるとあって、気象庁は最大級の注意と備えを呼び掛けています。

「まさかこんなところまで水が上がってこないだろう」

「風で車やバイクが飛ばされるなんてありえない」

 多くの人が「自分だけは大丈夫」と過信して、台風被害に遭っています。

 大型の台風が接近する中、水没や飛来物による破損など、最悪の被害からクルマやバイクだけでも守り抜く方法について考えてみたいと思います。

台風によって、車やバイクが、折れた電柱や倒木の下敷きにならないよう、周囲の状況を確認し、駐車場所にも注意を払う必要がある(筆者撮影)
台風によって、車やバイクが、折れた電柱や倒木の下敷きにならないよう、周囲の状況を確認し、駐車場所にも注意を払う必要がある(筆者撮影)

■予測できたはずの水害から愛車を守れなかった悔しさ……

 今年8月末、九州地方で起こった豪雨によって、佐賀県を中心に大洪水が起こり、多くの車が屋根まで水に浸かったことは記憶に新しいと思います。

 当時、愛車が水没した女性は語ります。

「主人が単身赴任中、突然の大雨が降り、車があっという間に水没してしまいました。本当に、頭が真っ白になりました。子供が生まれたのをきっかけに購入し、5年間一緒に過ごした思い入れのある愛車だったのですが……」

 

 また、同じく佐賀県で水害に見舞われた男性はこう語ります。

「車検証が出来上がるのを待っている間の水没でした。車検を新たに取ってこの先もまだ乗り続けるつもりだっただけに、残念です。大雨の予報にきちんと備えるべきだったと悔やんでいます……」

■台風15号でも神奈川県で多数の水没被害車が

 車やバイクが水没すると、エンジンや電気系統がすぐにやられてしまうので、ほとんどの場合、「全損」という扱いになってしまいます。

 修理をする場合は、かなりの高額になることを覚悟しなければなりません。

 前出のお二人は結果的に修理を断念し、車を手放すことに決めたそうです。

 被災地で多数の損害車の買い取りをおこなった株式会社タウに、九州での水害から約1カ月後の状況について伺いました。

「8月末の水害発生後、弊社が佐賀県の多久市と福岡県八女市に設けた臨時モータープールには、約600台の水害車両を保管しております。買い取りを依頼されているものも含めると、既に1500件を超えております」

豪雨による損害車を一時的に保管するため、佐賀県多久市に設けられたモータープール(株式会社タウ提供)
豪雨による損害車を一時的に保管するため、佐賀県多久市に設けられたモータープール(株式会社タウ提供)

 ちなみに、同社によれば、9月9日に関東を直撃した台風15号では、千葉県で約3000台(主に風害)、神奈川県で約2000台(主に水害)、その他の都県で約500台の車が被害を受けた模様とのことです。

 特に、神奈川では水没による修理不能の被害が多かったようです。

 残念ながら多くの方が台風によって、愛車を失ってしまったのです。

■水害が少しでも予想される場合は、早めに車を高い場所に移動する

 先月発生した台風15号でもすでにこれだけの車に被害が出ています。

 接近中の台風19号は高潮と重なり、水害も予想されています。

 とにかく危険が予想される地域では少しでも海抜の高い場所に車やバイクを移動しておくことを勧めます。

 ご自宅の周囲に立体駐車場や高台はありませんか? 

 もしあれば、台風が来る前に移動しておきましょう。

 事前にできる対策としてはそれしかないでしょう。

 ただし、暴風の時間帯とその直後は、絶対に車で外へ出ないことです。

 冠水している道路やアンダーパスも極めて危険です。

 特に日が暮れてしまうと、どこが道なのか全くわからなくなってしまいます。

 命を守るためにも、風雨が強くなってきたら車の運転を控えてください。

■車は強風で簡単に吹き飛ばされる

 昨年、大阪で吹き荒れた台風21号。走行中の大型車が横転したり、飛ばされたりしている映像は衝撃的でした。

 風速50メートル級の風が吹くと、車は簡単に飛ばされてしまいます。

 実際に、今年9月9日の台風15号では、千葉県内にある我が家の近所でも、駐車中の車が数十メートル吹き飛ばされるという被害が発生しました。

 突風や竜巻については予測がなかなか難しいと思いますが、台風はある程度時間を読むことができます。

 車を駐車する場合は、吹きさらしの場所ではなく、建物の影になるような場所を選ぶなど、対策が必要です。

 また、当然のことですが、強風がピークのときは外出を避け、絶対に運転を控えてください。

■自動車保険に車両保険をつけて備える

 自動車保険に「車両保険」をつけている場合は、台風や豪雨など天災によって損害を受けた場合でも、契約した保険金額を上限に保険金が支払われます。

 残念ながら車両保険をつけていない人は、修理代も買い替え費用も全額自腹になります。

 万一のときそれが怖い場合や高額な車に乗っている人は、やはり車両保険をかけておくしかないでしょう。

 契約は途中からでも、残りの保険期間に応じた保険料を払えばOKです。

 どうしても心配だという人は、巨大台風が来る前に契約手続きを済ませておきましょう。

 ただし、地震や津波による被害の場合は、「地震特約」をつけておかなければ保険金が支払われません

 せっかく車両保険をかけるのであれば、あと少しだけ保険料を上乗せして地震特約もつけておくことをお勧めします。

■万一、愛車が台風の被害に遭ったら……

 台風が来る前に、被害が出たときのことを想像したくはありませんが、車が水没してしまうと、その後の処置は思いのほか大変です。

 損害車の買い取り会社の中には、前出のタウをはじめ、通常は値段の付きにくい水没車に力を入れている会社があります。

 実際に過去の実績を見てみると、ディーラーではほとんど価値がないと判断された水没車が、100万円前後で買い取られているなど、被災者にとってはお得な内容の取引が成立しているようです。

 その理由については、以下の記事で説明していますので参考にしてください。

<豪雨によるクルマ水没 自動車保険は使えるのか、高く売る方法は?(2019/9/3配信)>

 万一、愛車が修理不能の被害に遭った場合は、スクラップ代を請求されて終わることがないよう、早めに査定を依頼してみてはいかがでしょうか。

買い取られた水没車は丁寧に洗浄され、海外に輸出。外国で活用されている(株式会社タウ提供)
買い取られた水没車は丁寧に洗浄され、海外に輸出。外国で活用されている(株式会社タウ提供)

 台風の場合は地震と違って、到達時刻や風速が予測できます。

 車を失ってしまうと、経済的な損失だけでなく、大変な不便を強いられ、復興への大きな足かせになります。

 気象庁が3日前から異例の会見まで行い、注意を呼び掛けている巨大な台風19号。

 接近まであまり時間がありません。

 車やバイクを所有している人は、被害を食い止めるため、事前に備えておくことが大切です。