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コインパーキングの ”5大トラブル ” その内容と対処法は?

柳原三佳ノンフィクション作家・ジャーナリスト
無人のコインパーキング。利便性の高さの裏で、利用者のうっかりミスでも多発?(ペイレスイメージズ/アフロ)

 このところ地震が頻発していたので、万一の停電を心配した私は、6月17日、【コインパーキング利用中に停電が起きたらどうなるのか?】という記事を執筆しました。

 その記事をアップして約1時間後、群馬県で震度5の地震が発生。また、同じ時間帯に、東北新幹線が停電によって6時間も運行がストップするという大きなトラブルが発生しました(こちらは地震の影響ではありませんでしたが……)。

 そして翌18日、今度は大阪で震度6弱の大地震が発生し、発災当初は停電も広範囲に及びました。多くのコインパーキングでは、実際に車止めのフラップ板が下がらなくなり、警備会社には出動要請が相次いだそうです。

 もちろん、エレベーター式の立体駐車場や自宅の電動ガレージも同じで、停電時には作動してくれません。

 普段は正常に動くことが当たり前だと思っていても、いざ電気の供給がストップすると、たちまち大変なことになってしまいます。

 地震による停電は他人ごとではありません。日ごろからこうした状況も想定して備えておくことは大切ですね。

 しかし、停電や故障とは違って、利用者自身の不注意によるコインパーキングでのトラブルもかなり発生しているようです。

 そこで、前回に続き今回も、警備会社で無人駐車場の一時対応に当たっている専門スタッフの方にお話を伺い、よくある利用者トラブルから、5つを選んでご解説いただきました。

【1】

駐車スペースの番号を押し間違えて精算

「車が出せないだけでなく、精算機まで故障しているじゃないか!」

「オレはこんなに長い時間停めてないのに、何でこんなに高いんだ!」

 警備会社にはそうした苦情がたびたび入ります。

 急いで現地へ駆けつけると、原因は一目瞭然。利用者の方が自分の駐車スペースとは違う番号を押して精算してしまっているのです。

 よくあるのは、『12』なのに、タッチミスで『2』しか押せていなかったようなケース。また、精算機の場所から離れた位置にある駐車番号を確認し、つい、隣の番号と間違えて押してしまう方も多いですね。

 このミスは頻繁に起こっていますので、十分に気をつけてください。必ずご自身の駐車スペースでで番号を確認し、精算機を押すときも数字のタッチを間違わぬよう気をつけてください。

 ちなみに、お客様の中には、

「間違って払ってしまった駐車料金を返金してほしい」

 とおっしゃる方がおられますが、それはできません。一度精算された駐車料金は、駐車場が関知するものではないのです。そういう場合は丁重に、

「当社では一度精算された駐車料金は返金しかねます。恐れ入りますが、どうしても返金を望まれる場合は、お客様が間違って精算された場所に車を停めておられる方がお戻りになるのを待っていただき、その方から、あなたが支払った駐車料金を払っていただくしかございません」

 と申し上げています。

精算機に向かう前に、駐車位置の番号をしっかり確認!(筆者撮影)
精算機に向かう前に、駐車位置の番号をしっかり確認!(筆者撮影)

【2】

そもそも精算金額が足りていない

「ちゃんと駐車料金を払ったのに、フラップ板が上がらず車が出せない!」

 そんな場合は、クレームの連絡をなさる前に、必ず精算機に戻って金額が足りているかどうかを確認してみてください。

 たとえば、料金分のお金をちゃんと入れたつもりでも、100円足りていない……ということがよくあるのです。

『お金が足りなければ「精算完了」の表示も出ないし、レシートも出てこないんだから、その時点で気づくはずでしょ?』

 そう思われる方も多いでしょう。でも実際に、最後まで確認しないで精算が終了したと思い込み、フラップが下りないことでパニックになってしまう方はかなりいらっしゃいます。

 コインパーキングの精算機とは、どうか最後まで向き合ってくださいね。

【3】

隣の駐車場の精算機で誤精算??

 信じられないかもしれませんが、都会の狭いスペースにいくつかのコインパーキングが隣接しているような場所では、たびたびこのトラブルが発生します。

 つまり、ご自身がクルマを停めた駐車場とは別の、隣の駐車場の精算機にお金を入れてしまうケースです。

 これはもう、どうしようもありません。

 緊急連絡を受けて駆けつけても、そもそも、私たちが管理している駐車場とは別の駐車場の利用者さんなのですから……。

【4】

フラップ板が下がっていることを確認せずに入庫

 コインパーキングに車を入れるときは、必ずその駐車スペースのフラップ板が完全に下がってることを目視で確認してください。ごくまれに、空車なのにフラップ板が上がったままの場合があるからです。

 故障の可能性もありますが、前に停めていた車が精算せずに無理やり乗り越えて出ていったケースも考えられます。

 フラップ板が上がったままだということに気づかず、バックで思い切り入庫し、車が傷ついてしまったと苦情を言われることもありますが、結果的にそれはお客様の責任になってしまいます。駐車場は賠償してくれません。

 ほぼ満車なのに、なぜかそこだけ1台分ぽか~んと空いている、といったパターンは要注意ですね。そこだけフラップ板が上がっている可能性が大だからです。

 「空いていて、ラッキー!」とばかりに確認せず慌てて駐車してしまうと、大変な目に遭ってしまいます。

 ちなみに、フラップ板の故障は同じ機械で起こりがちなので、一度でも体験された場合は、同じ場所に停めるのは避けた方がよいでしょう。

コインパーキング使用時はルールを守りましょう(筆者撮影)
コインパーキング使用時はルールを守りましょう(筆者撮影)

【5】

規定のスペース外に駐車。他車が出庫できず大迷惑

 ゲート式のパーキングでは、ときどきとんでもない場所に車を停める方がおられます。

 たとえば、いくらスペースがあるからと言って、駐車車両の通り道を塞ぐような停め方をされると、それより奥のスペースに停めているクルマが出庫できないという最悪の事態を招いてしまいます。

 無人の駐車場には監視する人がいないので、十分に気をつけましょう。

 こうしたケースで「出庫不能」の被害に遭わないためには、できる限り入り口に近い場所に駐車する、それしかありません。

 な~るほど、よくわかりました。

 コインパーキング利用者によるこうしたミスは、年齢などに関係なく起こっているそうです。

 実際に、私がお世話になっている方も、

「実は……、ボクも、隣の駐車スペースの番号と間違えて、高い駐車料金を払っちゃったことがあるんですよー」

 と、カミングアウトされていました(笑)。

 特に、先を急いでいるときや、少しでも駐車料金を安くしたいと焦っているとき、日が暮れて駐車番号が見えづらいとき、また、地震など災害が起こって動揺しているときなどは、落ち着いて利用するよう心がけましょう。

 万一、出庫できないといったトラブルが発生したときは、緊急連絡先に電話する前にまず、上記のようなミスを犯していないか、今一度、確認してみることをお勧めします。

ノンフィクション作家・ジャーナリスト

交通事故、冤罪、死因究明制度等をテーマに執筆。著書に「開成をつくった男、佐野鼎」「私は虐待していない 検証 揺さぶられっ子症候群」「コレラを防いだ男 関寛斎」「自動車保険の落とし穴」「柴犬マイちゃんへの手紙」「泥だらけのカルテ」「焼かれる前に語れ」「家族のもとへ、あなたを帰す」「交通事故被害者は二度泣かされる」「遺品 あなたを失った代わりに」「死因究明」「裁判官を信じるな」など多数。「巻子の言霊~愛と命を紡いだある夫婦の物語」はNHKで、「示談交渉人裏ファイル」はTBSでドラマ化。書道師範。剣道二段。趣味は料理、バイク、ガーデニング、古道具集め。趣味が高じて自宅に古民家を移築。

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