【自動車保険】ドライブレコーダー特約が人気 メリットは? 個人情報は守られるの?

一瞬の真実を記録するドライブレコーダー。自動車保険の特約として装着する選択肢も(ペイレスイメージズ/アフロ)

 東名高速でのあおり事故で夫婦が亡くなったという報道以降、テレビやネットでドライブレコーダーの映像を見ない日はありません。連日のように衝撃映像が公開され、道路上の事故やトラブルだけでなく、タクシーの車内で逆上し、罵声を浴びせ、運転手に暴行する弁護士の行為には驚かされました。

トラブルになったとき、映像や音声ほど確かな証拠はありません。逆に、そうした瞬間が記録されていなかったらどうなっていただろうと思うと恐ろしくなります。

多くのドライバーがドライブレコーダーの装着を検討し始め、早速取り付けたという話も周囲でよく聞くようになりました。

 私も、『東名バス事故の衝撃映像 「ドライブレコーダー」装着で自己防衛を』『交通事故で泣き寝入りしないために。 ドライブレコーダーを選ぶ重要ポイント』といった記事を書いてきましたが、その後、多くの方から「ドライブレコーダーを保険会社が貸してくれる自動車保険の特約が出ているらしいけど、あれって便利なの? 市販のドラレコとどっちがお得?」といった質問を多くいただきました。

『「ドラレコ特約」関心高まる あおり運転で』という見出しで報じられた「毎日新聞」(2017.11.7)の記事によれば、2017年4月、東京海上日動火災保険が自動車保険の契約者を対象に月額650円で始めた「ドラレコ特約」は(『6月に発生した東名高速道路の夫婦死亡事故の原因が「あおり運転」と報道された』)10月上旬以降、契約が急増している』とのことです。

 そこでまず、この特約の内容と契約者のメリットを見ていきましょう。

保険会社の「事故受付センター」とのやりとりが可能

 この特約は「ドライブエージェントパーソナル(DAP)」です。東京海上日動が契約者に有償で貸し出したドライブレコーダーが損保会社の事故受付センターとつながっており、単に映像や音声を記録するだけでなく、いざというとき双方向のやりとりができる「通信型」のサービスが受けられるというものです。

 例えば、事故などによってレコーダーが強い衝撃を検知したとき、事故受付センターに動画と位置情報などが自動的に送信され、それを受けたセンターが車内にいるドライバーに「おケガはありませんか?」など、瞬時に音声メッセージで呼びかけて状況を確認します。必要に応じて救急車の手配までしてくれるのです。

「ドライブエージェントパーソナル(DAP)」のパンフレットより(東京海上日動火災保険提供)
「ドライブエージェントパーソナル(DAP)」のパンフレットより(東京海上日動火災保険提供)

 こうした「事故対応」のほかにも、運転状況を把握し、危険を察知したらリアルタイムで注意喚起を呼びかけてくれる「事故防止支援」、契約者の運転特性をもとに専用のレポートが提供される「安全運転診断」といったサービスを受けることもできます。

同社のWEBサイトでは、この特約に関してアニメでわかりやすく解説されています。

特約保険料は1か月650円

 特約の保険料は月額650円(年払い=7,480円)。取り付けは契約者で行います。カーショップへ行けば高性能なドライブレコーダーが2万円前後で入手できるので、長年契約を続ける場合は、決して安いとは言えないでしょう。

 また、個人的な本音を言えば、ドライブレコーダーの映像によって、万一のとき示談交渉がスムーズに進むのですから、ドライバーに無料貸与、もしくは保険料を割引きしてもよいのでは? という気もします。

 しかし、前述した通り、このドライブレコーダーは一般的なそれとは違って、保険会社の事故受付センターとつながっています。つまり、いざというときには瞬時にやり取りができる「通信型」という大きなメリットがあるため、万一のとき、ドライバーにとってはありがたい特約といえるでしょう。

 誰も通らないような田舎道で事故に遭ったり、崖下に転落したり、災害時に身動きが取れなくなったときなど、事故受付センターが位置情報から事故現場を即座に把握し、消防に通報してくれるので、その点はとても安心です。

 この特約を付けられるのは、東京海上日動の「トータルアシスト自動車保険」または、「トータルアシスト超保険」の契約者で、対象となるクルマは、自家用普通乗用車、自家用小型乗用車、自家用軽四輪乗用車に限られます。また2017年4月以降の契約であれば、保険期間の途中で付加することも可能です。

(*10台以上の車を所有し「フリート契約」を結んでいる企業向けにはすでに同様のサービスが提供されています)

ドライブ中の全ての情報が保険会社に!

 一方、「双方向の通信型」となると、個人情報がどこまで保険会社に提供されるのか? いろいろ不安があるのも事実です。

 東京海上日動のウェブサイトを見ると「よくあるご質問」]というコーナーに以下のQ&Aが掲載されていました。

Q.

【ドライブエージェント パーソナル(DAP)】オリジナルドライブレコーダー(以下、端末といいます)から取得される情報には、どのようなものがありますか。

A.

当社は、ドライブエージェントパーソナルの提供のために、端末の送信映像および以下の運転情報を取得します。

走行距離、走行時間、速度、位置情報、加速度センサーによる計測値等

 ※上記の運転情報等をもとに安全運転診断レポートを作成します。

加えて、新規サービス・新商品の開発および研究等にも使用します。

また安全・円滑な道路交通社会の発展に資する目的での活用に関し、パイオニア株式会社ならびに自動車技術開発に携わる企業等のうち弊社が提携している企業等への提供ができるものとします。

 上記の回答によると、保険会社が取得する情報は、「走行距離、走行時間、速度、位置情報、加速度センサーによる計測値等」とのことです。

 これらはドライブ中の全ての情報といっても過言ではありません。いつ、どこへ、だれと、時速何キロでドライブしたかという情報が保険会社に提供されるということになります。

 ちなみに、事故受付センターがクルマの衝撃を受けて、もしくはドライバーの手動によって情報を検知した場合は、映像だけでなく「音声」も送られるそうです。

 また、契約者のドライブレコーダーから取得した運転情報は「安全運転診断」に使用されるだけでなく、パイオニア株式会社他、東京海上日動の提携企業にも提供されると書いてありました。

 そこで、具体的な企業名や提供される情報の内容について東京海上日動の広報部に質問してみたところ、以下の回答が返ってきました。

 パイオニア様以外の企業としては、自動車技術開発に携わる企業等(国内外の自動車部品メーカー、自動車技術に関する研究機関等)になります。

(具体的な企業名については申し訳ありませんが、控えさせていただきます)

・提携企業への情報提供は個人が特定できる形ではございません。

・提供する情報の中には映像も含まれます。

契約前に運転情報に関する規約の確認を!

 ちなみに、「ドライブエージェントパーソナル(DAP)」を契約する際には、『ドライブレコーダー型テレマティクス端末等の貸与に関する規約』 という規約に合意することが前提となるそうです。

 この中の第12条「端末等の利用を通じて使用する情報の取扱い」に、運転情報についての規定が記されており、これに合意した時点で契約者は、名前のわからない提携企業や警察、検察など捜査機関への情報提供を全て承諾していることになります(12条の5と6に明記)。

 ドライブレコーダーが記録する映像や音声、また運転情報の取り扱いが気になる方は、必ず『ドライブレコーダー型テレマティクス端末等の貸与に関する規約』の12条(以下)にしっかり目を通し、確認してから契約しましょう。

『ドライブレコーダー型テレマティクス端末等の貸与に関する規約』の第12条。(「ドライブエージェントパーソナル」のパンフレットより抜粋/東京海上日動火災保険提供)
『ドライブレコーダー型テレマティクス端末等の貸与に関する規約』の第12条。(「ドライブエージェントパーソナル」のパンフレットより抜粋/東京海上日動火災保険提供)

 東京海上日動に続き、年明けからは損保ジャパン日本興亜もドライブレコーダー特約の販売を開始します。

 自動車保険に付加されるこうした特約をどうとらえるか? メリット、デメリットをどう見るか?

 それはまさに契約者の判断次第です。

 ドライブレコーダーの装着は、自身を守るためにも大切な取り組みです。まだつけていない人は、自分で購入して取り付けるか、もしくは、通信型のドライブレコーダー付き自動車保険に委ねるかを検討し、早めに決断することをお勧めします。