【ライヴ・レビュー】テンプルズ 2017年11月16日/東京・新木場スタジオコースト

Temples / 2017年8月12日、サンフランシスコ公演(写真:Shutterstock/アフロ)

現在進行形のUKロックを代表するバンドのひとつ、テンプルズが2017年11月に日本公演を行った。

2013年11月、Hostess Club Weekenderで日本に初上陸して以来、これがなんと7回目の来日(の筈)となる彼ら。2017年7月にもフジ・ロック・フェスティバルに参戦したばかりだが、早くも大阪・名古屋・東京を回る単独ジャパン・ツアーで帰ってきた。

あまりに頻繁な来日、しかも約3ヶ月半という短いインターバルゆえに不安もあったものの、東京公演の動員は良好。後方に一部閉鎖エリアもあったものの、アリーナは観衆で埋まっており、ゲストのGLIM SPANKYがステージを降りる頃には早くも肌が心地よく汗ばんでいた。

テンプルズの音楽は、1960年代のサイケデリック・ロックと21世紀のポップ・テイストをクロスオーヴァーさせ、20代のアドレナリンをありったけ注入したものだ。ジェームス・バッグショーのヴォーカルとギターを中心に、トーマス・ワームスレイのベース、サム・トムズのドラムス、アダム・スミスのギターがひとつの塊となって、聴く者のハートにダイレクトヒットする。

そして彼らのサウンドのマジックは、古い世代のロック・ファンにも訴求するオールドスクールな味わいだ。ファースト・アルバム『サン・ストラクチャーズ』(2014)発表時に、サウンド・プロダクションについて「ジョー・ミークに似たやり方だった」とジェームスは語っている。トルネイドーズのヒット曲「テルスター」を手がけた名プロデューサーであるミークの名を挙げただけで思わず「オッ?」となってしまう年季の入ったロック・リスナーも少なくないだろう。

テンプルズの楽曲をあえて過去の先達のものと比較するならば、ザ・ローリング・ストーンズ「黒くぬれ!」、ヤードバーズ「ハートせつなく」、トラフィック「ペーパー・サン」、そしてビートルズ「トゥモロー・ネヴァー・ノウズ」...1960年代のスウィンギング・ロンドンを彩ったブリティッシュ・サイケ&ビートだろう。彼らのデビュー時に使われた“ノエル・ギャラガーやジョニー・マーが絶賛、ザ・ローリング・ストーンズの2013年、ロンドン・ハイド・パーク公演のゲストに抜擢”という売り文句も、非常に納得のいくものだ。彼らのステージは、まるで1967年にロンドンで開催された伝説のサイケ・イベント『14アワー・テクニカラー・ドリーム』(ピンク・フロイド、ソフト・マシーン、プリティ・シングス、トゥモローなどが出演)にタイムスリップしたかと錯覚してしまうほどだった。

『ヴォルケーノ』CDジャケット/Hostess Entertainment HSE-4012 現在発売中
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だが、彼らの音楽を最も魅力的にしているのは、そのタイムレスなソングライティングだ。バンド結成から5年、まだフルレンス・アルバムは『サン・ストラクチャーズ』(2014)と『ヴォルケーノ』(2017)の2作しか発表していない彼らだが、そのライヴは早くもグレイテスト・ヒッツと呼ぶに相応しい充実したセット・リストとなっている。

勿体ぶることなく、1曲目から「サン・ストラクチャーズ」に突入、場内の温度が一気に上昇する。2曲目、早くも新作のハイライト・チューンのひとつである「サーテンティー」の荘厳なイントロにも大きな声援が湧き上がった。

フジロックでの1曲目だった「カラーズ・トゥ・ライフ」、グラム・ロックを彷彿とさせる「キープ・イン・ザ・ダーク」、歌メロのフックが耳を捉えて離さない「ストレンジ・オア・ビー・フォーガットン」、ほのかなオリエンタルの香りで魅せる「メズマライズ」など、ステージから目を離す瞬間などありはしない。ラストはテンプルズの物語のはじまりとなった「シェルター・ソング」で締め括られた。

これだけしょっちゅう日本を訪れながら、そのたびに多くの観衆の心を魅了するのは、彼らの古くて新しいUKサイケ・ロックの中毒性によるものだ。禁断症状が出る前に、ぜひまた彼らのサウンドを全身に巡らせて欲しい。

Temples/提供:Hostess Entertainment
Temples/提供:Hostess Entertainment