【インタビュー】ヘヴィ・メタル群狼旅団:パワーウルフが映像作/CD『ザ・メタル・マス・ライヴ』を発表

POWERWOLF / photo by Tim Tronckoe

ヘヴィ・メタル群狼旅団:パワーウルフが、2015年ヨーロッパでの狩猟の記録を収めた映像作品/CD『ザ・メタル・マス・ライヴ』を発表した。

ヘヴィでメロディアス、一体となって歌えるコーラスに加えてヨーロッパの人狼伝説に根差したホラー調のコンセプトと白塗りメイクなどが人気を博し、アルバム『プリーチャーズ・オブ・ザ・ナイト(陰翳礼賛)』(2012)が母国ドイツのナショナル・チャートで1位を獲得した彼らだが、本作にはチェコ『マスターズ・オブ・ロック』・ドイツ『サマー・ブリーズ』フェスティバル、そしてドイツのオーバーハウゼンでのクラブ・ギグという3公演をフル収録。トータルなんと約6時間にわたってエクストリームなエンタテインメントの真髄を見せつけてくれる。

世界のメタル・シーンに牙を食い込ませるときが来た。ギタリスト、マシュー・グレイウルフの野生の呼び声を聴け!

ヘヴィな音楽とホラーなイメージは、年齢や性別を問わず楽しめる

Matthew Greywolf / photo by Jenny Dorn
Matthew Greywolf / photo by Jenny Dorn

●『ザ・メタル・マス』は3公演のフル・ライヴを収録した、まさにヘヴィ・メタルの映像巨編ですね。

うん、『ザ・メタル・マス』はパワーウルフにとって大きなターニング・ポイントなんだ。もう何年も前から、世界中のファンに「ライヴ・アルバムを出して欲しい」と言われてきた。どのツアーでも、どこかの会場でライヴを録ってリリースすればそれなりのセールスを望めたかも知れない。でも、俺たちは振り返るべき歴史のある作品にしたかった。2年前、バンドの結成10周年を迎えて初めて、ライヴ・アルバムを出すことを意識するようになったんだ。全曲が最高の、強力なセットリストを組むことが出来たし、それをドキュメントしたかった。バンドにとっては最初の12年の集大成であり、新しいビギニングだ。特に日本ではまだプレイしたことがないから、音楽とヴィジュアルを同時に知ってもらえるこの作品で、俺たちの歴史はここから始まると言っていい。

パワーウルフ『ザ・メタル・マス・ライヴ』(詳細は下記)
パワーウルフ『ザ・メタル・マス・ライヴ』(詳細は下記)

●3公演について、それぞれ解説して下さい。まずドイツの『サマー・ブリーズ』フェスについて。

収録されたライヴはどれも俺たちにとってスペシャルなものだけど、『サマー・ブリーズ』は本当にエモーショナルな経験だった。実はパワーウルフのデビュー・ライヴが2005年の『サマー・ブリーズ』だったんだ!数ヶ月前にファースト・アルバム『Return In Bloodred』を出したばかりで、レコード会社がブッキングしてくれたショーだった。午前10時、一番手として出演して、100人ぐらいのお客さんの前でプレイしたよ。コスチュームも自分たちで手作りしたのを覚えている。それから10年、ヘッドライナーとして戻ってくることが出来たのは、本当にスペシャルな瞬間だった。『サマー・ブリーズ』も当時は規模が小さかったけど、俺たちと一緒に成長してきたんだ。パワーウルフにとって故郷のようなフェスだよ。

●チェコの『マスターズ・オブ・ロック』フェスは?

『マスターズ・オブ・ロック』に初めて出演したのは2011年だった。やはり早い時間帯だったな。パワーウルフがドイツ国外でプレイした最初の野外フェスティバルのひとつだから、思い入れがあるんだ。2015年にはヘッドライナーとして出演したけど、ちょうどアルバム『ブレスド&ポゼスド(狂気崇拝)』の発売日だったんだ。新曲と新しいステージ・セットをワールド・プレミア披露する最高の舞台だった。チェコのお客さんもすごく熱気に溢れていて、エキサイティングなショーだったね。

●ドイツのオーバーハウゼンでのショーは?

オーバーハウゼン公演は、当初撮影する予定ではなかったんだ。夏のフェスティバル・シーズンが終わってから『ウルフズナハト』ツアーを行って、どの公演もソールドアウトになって凄い盛り上がりだった。それである夜中、ツアーバスでバンド全員で「このツアーからのショーを撮影してもいいんじゃない?」ということになって、急遽カメラ・クルーを集めて、ラフな形で撮影することにしたんだ。ビッグなプロダクションもないし、2台のハンドカメラと2台の設置カメラだけで撮った映像で、1990年代の海賊ビデオみたいな仕上がりだよ(笑)。それでもインドア・ショーには野外フェスと異なるダイナミクスがあるし、パワーウルフのクラブ規模のライヴを楽しんでもらえると思う。

●若い女性ファンが最前列にかなりいますね?

パワーウルフのファン層はすごく幅広いんだ。子供から老練のメタル・ファン、普段メタルを聴かないけどパワーメタルだけは好き...というファンもいる。男女比のバランスも良いよ。いろんな層の人々に聴いてもらえるのは、とてもハッピーなことだ。最近気付いたのは、リスナー層が若返っていることだ。ライヴ会場には13歳、14歳のファンが集まってくる。

●パワーウルフのファン層が幅広いのは何故でしょうか?

ラウドでヘヴィな音楽とホラー調のイメージは、年齢や性別を問わず楽しめるものだからね。それに『プリーチャーズ・オブ・ザ・ナイト(陰翳礼賛)』(2012)がドイツのナショナル・チャートで1位を獲得したことで、普段ヘヴィ・メタルを聴かない層に我々のことを知ってもらえたと思う。彼らはヘヴィ・メタルの“スタイル”が好きなのではなく、パワーウルフ以外のメタル・バンドを知らずに会場を訪れるから、ごまかしが効かないんだ。21世紀において音楽は人工的で機械的なものになっている。俺たちは最高にエキサイティングで汗の飛び散るステージを見せているんだ。その興奮とスリルには代わりがない。パソコンやスマホでは、同じ経験は出来ないよ。パワーウルフは、それ自体がひとつのコンセプトなんだ。もちろん音楽が中心だけど、視覚的なプレゼンテーション、バンド全体のフィーリング...トータルなアーティストでありエンターテイナーだと考えている。

キリスト教徒でもサタニストでもない。メタルが俺たちの宗教だ

Attila Dorn / photo by Jenny Dorn
Attila Dorn / photo by Jenny Dorn

●パワーウルフというバンド名は、これ以上ないほどヘヴィ・メタルですね!

うん、俺たちのサウンドを表現するのに、これ以上ないバンド名だと確信している。狼はヘヴィ・メタルを象徴する動物だ。神秘的で、飼い慣らすことが出来ない。パワーウルフはピッタリだったんだ。

●デビュー以来、ほぼ全作品のジャケットに狼が登場しますが、名前はありますか?

いや、ないんだ(笑)。アイアン・メイデンの“エディ”みたいな名前はなくて、ただの“ウルフ”だよ。西部劇みたいに“ウルフ・ウィズ・ノー・ネーム”というのも良いかもね。

●狼はヨーロッパではキリスト教伝来以前の自然崇拝の対象でしたが、それはあなた達の宗教観を反映しているのでしょうか?

古代宗教についてはアッティラ(ドルン/ヴォーカル)が詳しいから、彼が答えてくれるかも知れないけど、俺自身はあまり関係ないと考えている。パワーウルフは決して宗教的なバンドではないし、キリスト教徒でもサタニストでもない。俺たちのTシャツのバックプリントを見たことがあるかい?“Metal is religion”と書いてあるんだ。“メタルが宗教”だよ!

●それでも“アーメン&アタック”、“ハレルヤ”、“マター(聖母)マリア”など、キリスト教的フレーズをモチーフに使っているのは、どんな意図があるのでしょうか?

俺たちはキリスト教文化圏に生まれ育ったし、特定の宗教を信じていなくても、多大な関心を持っているんだ。多くの人々は何らかの形で宗教に接しながら生きているし、それを歌詞にすることで、価値観を共有することが出来る。ただ俺たちは 自分たちの信条をリスナーに押しつけたりすることはない。宗教について歌うけど、宗教的なバンドではないんだ。サバトンだって戦争について歌うけど、戦場で戦ったりしないし、戦争を賛美したりしないだろ?それと同じさ。

●サバトンはヨーロッパのメタル界で絶大な人気を誇るバンドですが、彼らと交流はありますか?

うん、彼らとは友達なんだ。2011年に一緒にツアーをやったし、それ以降もあちこちのフェスのバックステージででよく顔を合わせてきた。彼らがドイツで企画した『ノッホ・アイン・ビア』フェスにも出演したよ。

●パワーウルフは白塗りメイク(コープスペイント)のせいでブラック・メタルとも関連づけられることがありますが、ブラック・メタルに親近感はおぼえますか?

うーん、そうでもない。俺たちはブラック・メタルやKISS、キング・ダイアモンドよりも、古典演劇から影響を受けてきたんだ。古代ギリシャの演劇では、役者がメイクや仮面をするのが常だった。そうすることで彼らは別人になりきることが出来たし、観客を別の世界に連れていったんだ。パワーウルフのライヴは音楽とヴィジュアル、ステージ・セットを含めた、ひとつのトータル・パフォーマンスだ。古典演劇に通じる要素があるんだよ。

●リンゼイ・ケンプやマルセル・マルソーのようなパントマイム・アーティスト達も白塗りメイクをしていましたね。

その通り!キーボード奏者のファルク(マリア・シュレーゲル)もステージ上でパントマイムのような動きをしているし、パワーウルフの世界観と似ていると言えるだろう。

●一方「レザレクション・バイ・エレクション(=勃起による再臨)」「コリウス・サンクトゥス(=聖なる睾丸)」など性的あるいは下ネタもしばしば登場しますが、パワーウルフの世界観においてセックスはどのような位置を占めていますか?

俺たちは音楽をシリアスに捉えているけど、そのメッセージまでシリアス過ぎないように気をつけているんだ。ちょっとしたユーモアを欠かさないようにしている。セックスを題材にするときもあまり生々しいものではなく、ジョークのようにしているよ。まあバンドの中には、“セックスが宗教”だと主張する奴もいそうだけどな(笑)!

●「ウェアウルヴズ・オブ・アルメニアの“フッ!ハッ!”という掛け声はジンギスカンの「ジンギスカン」を彷彿とさせるもので、またコーラスの部分が旧ソ連の軍歌「ポーリュシカ・ポーレ」を思わせますが、これはユーモアと捉えるべきでしょうか?それともシリアスなオマージュでしょうか?

“フッ!ハッ!”はアクシデントみたいな形で曲に挿入されたんだ。最初に書いたときはまだ掛け声はけど、リハーサル・ルームでプレイするうちに、誰かが酔っ払ってジョークみたいに叫んで、それがあまりにピッタリはまっているんで、そのまま使うことにしたんだ。その段階で「ジンギスカン」が頭にあったかは判らないな。冷静に分析するよりも、パーティー・フィーリングを重視したんだ。「ポーリュシカ・ポーレ」についても、あの曲から直接的なインスピレーションを受けたわけではなく、アルメニアを題材にするにあたって、東欧的なイメージを求めたんだ。具体的に「ポーリュシカ・ポーレ」を意識してすらいないんだよ。単に“それっぽい”メロディなら何でも良かったんだ。

●パワーウルフの歌詞はドイツ語・英語・ラテン語を駆使していますが、それでどんな効果を得ることが出来ますか?

アッティラが複数の言語で歌えるというのは、俺たちにとって大きなアドバンテージだと思う。異なった言語を使うことで、曲に異なった味わいを与えることが出来る。それに同じメッセージを伝えるのでも、3種類の表現から曲に最も向いたフレーズを選ぶことが出来るんだ。メインとなる歌詞は英語だけど、ラテン語は荘厳でスローなパートだったり、ビッグなコーラスに向いている。「クロイツフォイア」をドイツ語で歌ったのは、偶然の産物だったんだ。この曲のメロディを書いたときに、どうしてもドイツ語のフレーズが染みついて離れなかった。じゃあ無理して英語の歌詞を書く必要もないと考えて、そのままドイツ語で行くことにしたんだ。 俺たちは何語で歌うことにも抵抗はないんだよ。必要があればフランス語やイタリア語、あるいは日本語で歌ってもいい。アッティラは日本語を話せないから、その前に何度か日本に行って勉強しなければならないけどね!

●それではぜひ日本をツアーしながら日本語を習得して下さい!

そうだね。俺たちにとって日本でプレイすることは、到達すべき最大のゴールのひとつなんだ。今年いっぱいは『ブレスド&ポゼスド』に伴うツアーで、新作アルバムは2017年に出すつもりだから、そのときぜひ日本に行きたいね。パワーウルフが日本でプレイするとき、バンドの歴史の新章が始まるんだ。

POWERWOLF / photo by Jenny Dorn
POWERWOLF / photo by Jenny Dorn

ザ・メタル・マス・ライヴ / パワーウルフ

バンド日本公式サイト ワードレコーズ

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