最近、保育や学校管理下などでの食事中に、パンによる幼児、小学生の窒息の事例が続いている。

事例1:2021年6月15日午前11時半ころ、北海道芽室町の認可保育所で、1歳9か月の男の子が給食で出された3センチのコッペパンのかけらを食べていたところ誤ってのどにつまらせた。パンをはき出そうとしている男の子に気づいた保育士が、のどにつまったパンを取り出そうとしたが一部しか取り出せなかった。男の子は病院に搬送され、7月6日の時点でも集中治療室で治療を受けている。当時、現場には3人の保育士がいたが、一緒にいた園児9人の世話をしていて男の子から数分間、目を離していた。園を運営する理事長は「男の子やご両親につらい思いをさせてしまい大変申し訳なく思っている。原因の究明を行うとともに事故を教訓に改善を進めていきたい」と話している。

給食中パン詰まらせ一時意識不明 北海道の保育園:共同通信

事例2:2021年6月20日、静岡県で、ベビーカーに乗せた状態で乳児にパンを与えたところ、当該パンを喉に詰まらせた。

消費者安全法に基づく重大事故等以外の消費者事故等の事故情報データバンク登録について:消費者庁

事例3:2021年7月7日、新潟県佐渡市の市立小学校で、5年生の男児が給食中に米粉パンをのどに詰まらせて重体となっていた事故で、同市教育委員会は11日、男児が同日死亡したと発表した。市教委によると、7日午後0時25分ごろ、給食中に学童が米粉パンをのどに詰まらせた。当時教室には21人の学童と担任教師1人がいた。各学童はそれぞれの机で前を向いて食べるよう指導されていた。亡くなった男児がどのようにパンを食べていたかわかっていないという。パンは楕円形で、長さ約12センチ、厚さ約4センチ。異変に気付いた教師が、男児をうつぶせにして背中をたたいたり、仰向けにして胸骨を圧迫したりして吐かせようとした。男児は少しはき出したが、まもなく気を失った。救急車が到着するまで養護教諭が心肺蘇生を試みたが、意識は戻らなかった。教育長は「痛恨の極みです。安心安全であるべき学校で痛ましい事故が起きたことを大変重く受け止め、再発防止に努めます」と語った。

給食のパン詰まらせ重体の小5、亡くなる 新潟・佐渡:朝日新聞デジタル

 ニュースでは、「県下では初めてのケースである。十分に検証を行って、二度と同じ事故が起こらないようにする」と教育関係者は述べていたが、パンによる窒息はこれまでに何件も起こっている。また、検証を行うと述べているが、クラス全員、前を向いて食べていて、この子どもがどのような食べ方をしていたかを見ていた人はおらず、「検証を十分に行う」と言っても、窒息の正確な原因はわからない可能性が高い。

 痛ましい事故が起こり続けているが、食品による子どもの窒息事故は、これまでにもよく知られており、消費者庁からも下記のとおり報告が出ている。

食品による子どもの窒息・誤嚥事故に注意!:消費者庁

 誤嚥・窒息が起こりやすい年齢、原因となった食品が示され、パンによる窒息も挙げられている。

今後やるべきことは

 検証は、食品の検討と、食べ方の検討の二つの面からの検討が必要だ。食品の検討では、食品の形状、可能なら口から取り出されたパン片を3Dスキャナーで記録し、パンの粘着度、硬度など、計測が可能な方法で物性を測定して記録しておく。 

 食べ方に関しては、子どもの歯の生えている状況、普段からの食べ方(早食い、口に頬張ることが多い、など)、これまで食べ物でむせることがよくあったか否かなどの情報を集める。これらの情報を継続的に収集する「食品による窒息サーベイランス」を国レベルで構築し、定期的に検討して対策を考えることが望ましい。

小学生向けの教材を作った

 毎週開いているSafe Kids Japanの傷害予防ミーティングで、今回の窒息死の予防について議論した。乳幼児に対しては、保護者が危険性が高い食品を知り、それらは与えない、あるいは小さく切って与えることが必要となる。小学生になると、保護者や教員が見守っていたり、食べ方の指導をしても子どもの窒息を防ぐことは難しく、子ども自身に窒息のメカニズムと危険な食べ方を知ってもらうことが必要だ、という結論になった。そこで、「Safe Kids ニュース」として発信することにした。

動画:窒息予防の「は・ひ・ふ・へ・ほ」

 動画の対象は、小学校低学年の子どもとし、1分半くらいの長さで、危険な食べ方をわかりやすく伝えることにした。ひらがな:は行の「は・ひ・ふ・へ・ほ」に当てはめて、覚えやすくした。

は:早食いはしない

ひ:ひと口で頬ばらない

ふ:ふざけない

へ:ぺちゃくちゃしゃべらない

ほ:ほうり上げて食べない

 小学校の給食の前に、この動画を数か月に1回、流すといいのではないか。

 今後、このニュースを小学生に見てもらい、子どもたちから感想を聞いて修正していく予定である。この1分48秒の動画を、ぜひ、拡散させて下さい。よろしくお願いいたします。