宇治市にある三室戸寺へのアクセスは、京阪電車宇治線に三室戸駅があるのでわかりやすい。駅から1キロ約15分の道のりを進むと三室戸寺門前に到着する。

 三室戸寺は西国観音霊場十番の札所で、本山修験宗の別格本山。宝亀年間(770~780)に、三室戸寺の奥の岩淵より千手観音菩薩が現われたことにより、光仁天皇の勅願が下って創建された。現在はなんといっても「花の寺」として多くの参拝者を集める寺院となっている。

 広大な庭園には4月下旬〜5月上旬に20000株の平戸ツツジ、霧島ツツジ、久留米ツツジ等が咲くことから『ツツジ寺』、6月には30種・20000株の西洋アジサイ、額あじさい、柏葉アジサイが咲き乱れることから『あじさい寺』、6月下旬より8月上旬には200鉢の色とりどりの蓮が咲き競うことから『蓮の寺』とも称される。

 この3つの花に加えて今年(2022年)は、しだれ梅が美しい梅苑も新たに公開されて、春には大きな話題を呼んだ。

 この時期見頃のアジサイの中には「ハート型のアジサイ」が毎年のように現れるため、それを写真に収めようと多くの参拝者がカメラを向ける。今年は不動明王の周りを花で飾ったり、鉢植えにアジサイを浮かべるなど、アジサイの見せ方が毎年進化しているから驚きだ。

このようなハード型に見えるアジサイを探す参拝者は多い
このようなハード型に見えるアジサイを探す参拝者は多い

様々な色のアジサイを育て庭る三室戸寺ならではの演出
様々な色のアジサイを育て庭る三室戸寺ならではの演出

 花以外にも宝勝牛狛ウサギ狛ヘビ(宇賀神)と三つの動物が本堂付近に配されており、それぞれ干支参りでも人気を博している。

近年設置された宇賀神は、金運を呼ぶということで触って参拝する人が多い
近年設置された宇賀神は、金運を呼ぶということで触って参拝する人が多い

 三室戸寺の参道を少し下ると左へと曲がる道が見えてくる。路面の色が茶色で塗られており、その路面の色を目印に進むと迷わなくていい。

 ほどなく見えてくる京都翔英高校の裏側、道沿いに大きな縦長の石が立っている。「蜻蛉石」と呼ばれるもので、平安後期に刻まれたとされる阿弥陀三尊が残っている。正面に阿弥陀如来坐像、向かって右の面に観音菩薩、向かって左の面に勢至菩薩が刻まれ、その足元には平安貴族の女性がお参りしている姿も見える。

横には宇治十帖の蜻蛉之古蹟の石碑も立つ
横には宇治十帖の蜻蛉之古蹟の石碑も立つ

 さらに進むと平成10年に開館した宇治市源氏物語ミュージアムが見えてくる。模型や映像により光源氏や「宇治十帖」の世界を分かりやすく紹介しており、貴族が使用していた牛車のレプリカは人気のひとつだ。

 また常時3000冊以上もの蔵書をとりそろえ、見るだけではなく、実際に文章を読んで楽しむこともできる。カフェも併設されているので一休みするにもぴったりだ。

宇治市源氏物語ミュージアムの入口は、平等院の鳳凰堂をイメージして造られた
宇治市源氏物語ミュージアムの入口は、平等院の鳳凰堂をイメージして造られた

 ミュージアムを出るとさわらびの道へ。源氏物語の現代語訳も行った与謝野晶子が選んだ源氏物語の歌碑の前を通ると、世界遺産の宇治上神社が見えてくる。

 国宝の本殿は、1060年代の木材が使われていることがわかっており、日本最古の本殿建築。まさに源氏物語の時代から伝わる貴重な建築といえる。拝殿には寝殿造の遺構も見ることができる。

国宝の拝殿。屋根の作りに縋破風という寝殿造の特徴がみられる
国宝の拝殿。屋根の作りに縋破風という寝殿造の特徴がみられる

 最後に本殿が重要文化財の宇治神社の境内を抜けると、朝霧橋の袂には宇治十帖のモニュメントが設置されている。

向かって左が匂宮、右が浮舟、二人が船に乗って宇治川に出るシーンを再現
向かって左が匂宮、右が浮舟、二人が船に乗って宇治川に出るシーンを再現

 宇治川を渡って平等院へ行くのもよし、京阪電車の宇治駅へ向かって、宇治橋の袂に平安時代末から店を構える通園でお茶をするのもよし、宇治散策をぜひ満喫してほしい。