TwitterやTikTokなどSNSはフェイクニュースなど問題コンテンツにどう対応するつもりなのか

(写真:ロイター/アフロ)

 私事ながら、私はアカウントをBANされて以来、たまに野次馬的な感じでのぞく以外は積極的に利用することもなくなって久しくなってしまいました。ほぼ一日中見ていたTwitterですが、生活から無くなってみると案外あっけないものです。そのTwitter社、今度はなにやらこの年末年始に盛大な街頭広告を展開しているのが目にとまりずいぶんとまた金をかけて宣伝するものだなと感心したのですが、こうした展開に至った経緯についての記事が出ていました。

ツイートで日本の正月をジャック。「社運を賭けた」ツイッタージャパンの狙い(フォーブス ジャパン 20/1/7)

 なるほど、社運を賭けるほどに金をかけたということなんでしょう。社運がかかるほど日本の正月をジャックしたところでTwitter社にどんなメリットがあるのか興味津々でありますが、個人的には記事の一番最後にある次の文章が心に刺さりました。

ツイッターは利用者が安心して健全な議論に参加できるよう、最優先事項として有害なアカウントへの対応に取り組んできた。(中略)以前は利用者から報告された場合にのみ悪意のあるツイートかどうかを調査していたが、それでは十分ではないと理解し、昨年より利用者からの報告だけでなく、積極的な強制執行にも優先して取り組んできた。

出典:フォーブス ジャパン

 なるほど、私は有害なアカウントだったので強制執行されてしまったということなんでしょうね。

 誠に残念なことです。

 一方でTwitterにお騒がせな書き込みをして世界的な規模で波紋を起こしつつ何らお咎めのない人も中にはいるわけでして、このあたりの待遇の差はやはり個人的にはなかなか納得しづらい部分もありますが、これもまた世の中すべてが理屈だけでは通らない仕組みであることを改めて思い知るところでもあります。

 まぁ、今の時代にもっともTwitterで言いたい放題自由気ままで無敵なのは米国大統領のトランプさんなんでしょう。

トランプ米大統領の「イラン攻撃の議会への事前通告はツイートで十分」に批判高まる(ITmedia 20/1/6)

Twitterは、以前トランプ氏が北朝鮮の金正恩氏を揶揄するようなツイートを投稿した際も、その投稿を削除することも、アカウントを停止することもなかった。同社は昨年10月、テロの促進や個人に対する直接的な威嚇などを行った場合は世界のリーダーであってもツイートを削除したりアカウントをブロックすると説明した。

 ここまでTwitter社が掲げる規約を完全無視するような傍若無人ともいえる使い方をしてもトランプさんのアカウントがBANされないのは、やはり結果的にTwitterのPRとしてこれ以上インパクトのある存在は他に無いからなんだろうと理解しているわけですが、それは私の心が歪んで穿った見方をしすぎなのでしょうか。なんせ世界帝国である大正義アメリカの大統領にして、Twitter最高の知名度を誇る最凶の悪質利用者であることは間違いなく、文字通り思ったことをそのまま書き放題、場合によってはツイート一個で外交関係が破滅的になり、場合によっては爆弾が落ちるきっかけまで作り、一般の記者会見やメディア報道よりも早く事件を知らせるトランプさんの(いい意味での)暴虐ぶりは、これぞTwitterと思える部分すらあります。

 もちろん、Twitter社としても実のところトランプさんの利用の仕方には頭を抱えているということはあるのかもしれませんし、こうした氏の問題のある部分を公に晒すことでいくらかでも社会の役に立とうとしているという側面もあるのかもしれません。よくは知りませんが。

 あまり起きてほしくないですが、今後いくばくかの可能性がある話としては、事実上の宣戦布告がTwitter上で行われるなどという事態が想像できてしまいます。北朝鮮との外交に関するトランプさんのツイートには、金正恩さんを「ロケットマン」と揶揄するというか、馬鹿にする表現もあったうえで、具体的なアメリカと北朝鮮の外交内容の一端まで綴ったものがありました。今回のイランでの司令官ドローン爆殺事件にしても、また、トランプさんの中国・韓国訪問も、その重要さとは裏腹にトランプさん自身がまるで自身の旅行記を書くように気軽にSNSに書いて公開してしまっている恐ろしさすらも感じさせます。

 重大な事件や戦争のような事態も含めて、そういう重篤な状況が発生することはなんとしても避けてほしいしまったくもって望まないことではありますが、この人ならやってしまいそうな予感もありなかなか怖いものがあります。そのときにTwitter社ははたしてそのツイートを残すのか消してしまうのか。おそらく中の人達はあり得る事態としてどうすべきかを円形脱毛症になるほどに悩んでいたりするのかもしれないですね。

 また、昨今ではフェイクニュース問題も含めて、SNSやニュースサイトの信頼性についてデジタル。プラットフォーム事業者の側が積極的に関与・介入するべきという風潮が出てきました。この場合のデジタル・プラットフォーム事業者にはGoogleやFacebookだけでなく、Twitter、TikTok、Telegram、LINEなども含まれることになり、事業者も広く見ているし、負わせられる責任も大きい扱いになるわけです。その一方で、我が国には言論・表現の自由があり、また、別に裁判を経て白黒付いたわけでもない一介の国民による情報発信の内容が、デジタル・プラットフォーム事業者の監視によって「これはそのままで良い」「これは削除」「このアカウントはBAN」と恣意的にされて良いのかという議論はどうしてもついて回ります。

 日本の場合は、過去にゲーム内掲示板などで未成年者が多数遊ぶゲームで、望ましくない買春などの未成年者略取事案が後を絶たなかったことから、EMAなる団体が組成され、ゲーム内掲示板で不正な交流がないかどうか有人で監視させられ、そのコストはソーシャルゲーム会社が持ち回りで分担しすべて支払うという構造までありました。しかしながら、当時はあまり「これは事実上の通信の秘密を侵害する、検閲にあたるのでは」という議論もなされなかったばかりか、いまや未成年売買春も含めた未成年者略取の場としてTwitterやTelegram、LINEも含まれており、さらにはTikTokでは望ましくない未成年者のコンテンツなども流通してしまっている状況であるにもかかわらず、これらが海外事業者である場合には日本の法執行が及ばないという理由で事実上放置されてしまっている現状があります。

 「EMAのときと同じようにTwitterも日本国内での不穏当な未成年の売買春発言を取り締まれ」と日本が声高に叫んだところでTwitter社はスルーするでしょうが、その割に正月に広告ジャックするような社運の賭け方をする状況を見て「そのカネを広告宣伝費に突っ込むのであれば、未成年者略取などの被害防止対策やフェイクニュース問題に取り組むCSR活動をTwitter社には求めるべきじゃないのか」という気持ちもなくはありません。

 同様に、売上が急拡大しているとされるTikTokも悪質動画の数では常に問題になる状況であるだけでなく、TikTok内で人権違反状態の続く香港問題について中国共産党に批判的な動画を一時削除するなどの行動に出て、実質的に検閲を行える体制であることが割れてしまいました。各サービスが、何に力を入れようとしていて、何ができて、何をしたくないと思っているのかが一番よく分かるテーマなのが、このデジタル・プラットフォーム事業者に対する発言内容の規制なのではないかなと思います。

TikTok美容動画に忍ばせた中国批判、運営元があっさり謝罪した理由(Newsweek 日本語版 19/12/17)

 それにしても、Twitterに限らずSNSという仕組みを扱うデジタル・プラットフォーム事業者は、かなり面倒な局面に立たされつつある時代になりました。今年はこれまで以上にいろいろと素敵なことがありそうな予感がします。