「アナと雪の女王2」でディズニーがTwitterを使い盛大なステマで大失態の件

問題となった映画「アナと雪の女王2」の公式サイト

 Twitterアカウントをバンされたままですのであくまで後追いで知った話なんですが、どうやらディズニーから依託されていた広告代理店がTwitter上で盛大なステマを仕込んだのがバレて、結果的にディズニー自身がかなりみっともない状況に陥ってしまったようです。

 目下、指揮をしたとみられる広告代理店の扱いを巡って壮大な水面下バトルが繰り広げられているようですが、ディズニージャパン公式の塩対応とは別に、なぜか依頼を受けてステマ漫画を担当した漫画家さんたちが謝罪と釈明に追われるなど、実に物悲しい状況に陥っているのが気になります。

アナ雪2のたぶんステマ(12月4日午前08時57分35秒をもっておそらくステルスマーケッティングであったことが確定)(Togetter)

当初広告代理店はステルスマーケティングを成立させるためにPRタグを付けないように指示したことが想像されます(7名全員が広告記事にPRタグを付けないということが指示なしに成立する可能性はほぼにありえない現象です)。

出典:Togetter

 これはあくまでtogetterをまとめた人物の推測によるコメントではありますが、一般的に漫画家が広告代理店にアサインされてパブ漫画を掲載することは少なくありませんから、そういう人たちが揃いも揃って「#PR」タグをつけずステマそのものを実施してしまう可能性は低いのは言うまでもありません。

 ネット民に簡単にばれてしまうようなこういう手口のステマをぶっ込むのもかなりみっともないのですが、それで騒ぎが大きくなってしまった途端に、仕事を依頼された漫画家全員が自ら「PR表記」を付け忘れていましたという体裁で謝罪ツイートをさせられるのはどういう地獄なんでしょうか。

 PRツイートされた漫画はいずれもディズニー映画の登場キャラクターを二次使用する形になっていますから、当然ながらクライアントであるディズニー側もその作品を実際に見て品性などがディズニーとして相応しくない内容でないことを確認していただろうと想像されます。仮に、何の絡みもなくディズニー作品をもじったような漫画作品を掲載したとき、ディズニーがどういう行動を取る可能性があるかは容易に想像がつきます。そういうリスクを漫画家に取らせないようにするためにも、ディズニー側がこういう広告企画であったという状況までは認識しているはずですが、ツイートにPRタグなどの広告を明示する情報を付加するかしかないという部分にまで関与したのかどうかは分かりません。しかし、厳密な上でそれぞれの漫画のテイストなどがディズニーの目指すコンテンツとしての品質基準などをクリアしているかといえば、そこはディズニーとしても公式な広告であるという立場は取りにくかった、という詮索もできます。まぁそのあたりの真相は藪の中であります。

 当該作品を取り巻く事情を考えれば、絶対にヒットさせなければならないというプレッシャーは相当なものがあったでしょうが、それにしてもTwitter上でのバズりを狙ったにせよ随分と雑な仕事をしてしまったものです。中の人達としては広告効果のありそうなものはとにかく何でもやるということだったでしょうし、今はSNSの時代だからこうですよと広告代理店から提案されれば、そこで起こり得るSNS特有のリスクなどについて細かく考慮する余裕はなかったのかもしれません。

 今回のステマについては、こういう広告企画を提案した広告代理店が一番悪いというのは間違いありませんが、これにゴーを出してしまったクライアントも大いに反省しなければなりません。少なくとも、現状でこの手のステマが割れると作品自体の風評に傷がつくのは当然ですし、今回の件でなにがしかのブランド価値を毀損したとしてもそれはそれで自業自得という覚悟が必要でしょう。

 また、この広告仕事を請けて自分のアカウントでツイートしてしまった漫画家の皆さんもギャラが試写会への参加のみだった(?)ぽいので、もしそんな条件であったのならかなり気の毒ですがやはりそれなりに責任の一端を担わざるを得ないであろうことを十分に認識し今後は二度と同じ過ちに巻き込まれないよう努めるのが肝要なのかなとは思います。

 ステマを気軽に捉えて請け負う人は少なくないのかもしれませんが、それが発覚したときに返ってくる自身へのダメージは想像するよりもずっと痛く重たいものになる可能性があるということで。

 で、徳力基彦さんがこの件についていつもの熱い感じで記事を書いておられました。

アナ雪2のステマ騒動で考えるべき、ステマ疑惑の大きすぎる代償(ヤフーニュース個人 徳力基彦 19/12/5)

現状日本のネット業界において問題になるのが、ステマが違法でない関係で、吉本興業やウォルト・ディズニーによる「ステマにはあたらない」という報道対応のコメント自体が、「ステマに近い行為をやっても問題ない」という誤解を広げてしまっている点です。

出典:ヤフーニュース

 やはり問題の根本はこのあたりですよね。すでに十分にブランドが確立した事業者であればたとえ少しぐらいネガティブな評判がネットの片隅で起きたとしても、コンシューマー全体にまで声が届くわけではないだろうし、仮に届いたとしてもコンシューマー側で気にする人はあまりいないだろうということで、こういう不正行為はある種の「やり得」みたいな認識が無いとは言えないのかもしれません。結果的にこうしたステマ行為で泣きを見るのは安いギャラで頼まれて荷担した末端インフルエンサーだけといういつものパターンなんですかね。さすがにそれで済ませていいはずはないのですが。

 直近の報道では広告代理店的な役割をはたしたであろうSNS漫画家エージェント会社の存在も指摘されていますがどうもすっきりしない感じですね。

ディズニー、アナ雪2“ステマ疑惑”で謝罪 「感想を自由に表現してもらう企画だった」(ITmedia 19/12/5)

ネット上では、感想漫画を投稿した漫画家の一部が所属しているマネジメント会社「wwwaap」(東京都渋谷区)の関与を疑う声も上がっている。4日にITmedia NEWS編集部が行った取材に対し、同社は「受注先と対応を協議している段階であり、機密情報に当たるものもあるため答えられない」と回答。5日午前に再び取材を試みたところ、担当者不在と答えた。

出典:ITmedia

 始末の悪いことに、過去の類似案件がネット民によって発掘されたようで、これはもう確信的にやってきたことがほぼ間違いないんでしょうね。ご愁傷様です。

ステマ騒動のディズニー、アベンジャーズとキャプテンマーベルでも同様のステマを行っていた。(Togetter)

 本件問題はいまなお延焼中ですが、いまでは「ステ雪」とまで揶揄するようなツイートも散見されるようになってしまい、今後しばらくは、ディズニー作品で多少好意的なツイートがあったとしても「ステマじゃないのか」と疑われかねない状況に陥りそうです。